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51 兄からの書状

 ミレーヌを抱きしめたことで思いが溢れ、今にもキスをしそうな勢いのアルフォンスにミレーヌがたじたじになっていると、部屋がノックされた。


「レンブラント様、隣国デイリンハイムのクリス様から書状が届いております」

 ミレーヌは抱き締めるアルフォンスを見上げ、アルフォンスもミレーヌを見て頷く。


「入りなさい」

 書状を受けとり従者が部屋から出ていくのを確認すると、レンブラントは急いで書状を開き読みながら険しい表情をする。書状にはクリスが自国で得た情報が書かれていた。


「やはりそういうことか……」

 レンブラントはつぶやきながら書状をアルフォンスへ渡し、アルフォンスも読みながら眉間に皺を寄せ、ミレーヌは複雑そうな表情でレンブランドとラインハッシュを見た。そしてラインハッシュへ渡すと、ラインハッシュとシャルドは共に書状を読む。ラインハッシュは読み終わると顔を背けた。


「おおかたラインハッシュが言っていたこととつじつまは合いますね。本当の黒幕の目的もこれではっきりしました」


 シャルドが言うと、ラインハッシュは怒りに満ちた表情で壁を叩いた。

「俺はまんまと利用されていたというわけか。ある程度は利用されているとわかった上だったが、こんなことのために利用されたと思うと腹立たしくて仕方がない」


 ラインハッシュの様子に、レンブランドは悲痛な表情をしながらラインハッシュの肩に手をそっと添える。それに気づいたラインハッシュは、レンブランドの表情を見て胸を痛めた。


「レンブランド様。あんなことをした俺が今更こんなことを言うのもなんですが、レンブランド様のことは俺が絶対にお守りします。アルフォンス様やミレーヌ様のことも、シャルドと共に絶対に守り抜いて見せます。今度は絶対にあなた達を裏切るような真似も陥れるような真似もしない。レンブランド様とアルフォンス様お二人を引き裂こうとする輩を絶対に許しません」


 その言葉には決意の他にもはや憎悪のようなものさえ感じられる。シャルドはそんなラインハッシュの姿を見てやれやれと微笑んでいた。


「そういえば、クリス様はそのうちまたこちらへ出向くと書状に記載しておられますね。何かしらの理由をつけてなんとしてでも来ると」

「よっぽどミレーヌ嬢のことが気になるんだろう。兄上として当然のことだろうな」

 シャルドとレンブランドが言うと、アルフォンスは苦々しい顔をしてミレーヌを見る。だが、ミレーヌはそんなアルフォンスを不思議そうな顔で見ていた。


「クリス様が来るまでには全て決着をつけて、クリス様のことも安心さてあげなければいけませんね。……俺が言える立場ではありませんが」

 ラインハッシュが言うと、シャルドが本当だな、とニヤついた顔で野次を飛ばした。


 そんな中、また部屋がノックされる。だがノックの回数があきらかにおかしい。


 シャルドがドアを少し開くと、またすぐに閉じて振り向く。どうやらシャルドが放っていた人間から情報が届いたようだ。

「クラリーゼ様が動き出したようです。まんまとひっかかってくれましたね。行きましょう、証拠を掴む絶好のチャンスです」



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