22 囚われの令嬢
「君たちは旅芸人だと言っていたが、建国祭に合わせて来ていた旅芸人の中に行方不明になっているという一座はいなかったよ。調べはついている」
クリスはそういうと、アルフォンスをゆっくり見つめた。
「この間会った貴族から、興味深い話を聞いたんだ。隣国のティムール王国の第二王子が行方不明らしいと。その王子の髪色は薄く青みがかった美しい白髪だが、瞳は金色らしい。偶然にも瞳は君と同じだね、アル」
クリスはアルフォンスからシャルドに目線を移す。
「第二王子と一緒に側近の男も行方不明になったそうだ。シャルド、という名前らしい。君と同じだね。しかも頭脳派らしく胡散臭いことで有名らしい。まるで君のことのようだ」
嫌みたらしくクリスにそう言われても、シャルドは微動だにしない。
「こう見えてハイエンド家は伯爵家だ。貴族の中でも位は上なのでね、各国の情報が流れてきてもおかしくない」
ジェームスにも視線を向けてから、ほうっとため息をついた。
「俺を見くびってもらっては困る。俺もいずれこの家を継ぐ身だ。できればこれ以上失礼のないようにしたい。本当のことを話してくれないか」
クリスに見つめられ、意を決してアルフォンスが口を開きかけたその時。
「大変です!お嬢様が!!!」
バタバタと廊下をかけてくる音がして、メイドのリルラが入ってきた。
「ミレーヌがどうしたんだ?!」
「さきほど、茶畑にいたミレーヌ様に見知らぬ男が話しかけているのをカナムが見かけたそうなのですが、いつの間にかお二人の姿が見えなくなってしまったようで」
本当に一瞬だったそうだ。遠くで爆音が聞こえ、何事だろうとカナムがそちらに目を奪われた隙に、二人は姿を消したらしい。
息を切らしながらは言う。
「その後屋敷中を探したのですが、ミレーヌ様の姿がどこにも……」
今にも泣き出しそうなリルラの姿に、一同は息をのむ。
「その見知らぬ男の姿はどんなでした?」
シャルドが切羽詰まった顔で尋ねる。
「フードを被っていたそうですが、赤みかかったブロンドの髪と、サファイア色の瞳が見えたと」
ダン!!!!
思わず壁を拳で打ち付けるシャルド。
「あの野郎、俺を騙しやがったな」
「シャルド、まさかその男は」
「えぇ、ラインハッシュです」
アルフォンスとシャルドの会話をクリスが冷徹な瞳で聞きながら言い放つ。
「先程の話も含めて、一体どういうことか説明願いたい」




