14 アル ♢
「さて、ついでといってはなんですが、私もここに置いてもらうわけにはいかないでしょうか」
シャルド様が口をひらく。
「こちらはもちろん構いませんが、そんなことをしては追っ手にバレやすくなってしまうのでは?」
アルフォンス様にはシャルド様がいつも側にいてお守りしていたそうだ。となれば、アルフォンス様に似た人物に守るように男がつきっきりでいてはバレる可能性も高まりそうなのだけれど。
「そこなんですが、きっといつかはバレてしまうでしょう。その時に私がいないのは逆に困ります。だったらリスクを犯してでもアルフォンス様のお側にいたい」
ほっほっほっ、側近の鑑ですな、とジェームスは微笑む。
「俺もシャルドが近くにいてくれると心強い。離れていた時の状況ももっと詳しく知りたいし。重ね重ね迷惑をかけてしまうが構わないだろうか」
アルフォンス様はまた手をぎゅっと握り悲しげに見つめてくる。あぁ、そんな瞳で見つめられたら嫌とは言えません。もちろん最初から嫌だなんて言いませんけど。
「もちろん構いません。私としてもアルフォンス様をよく知る人物がお側にいてくださる方が安心です」
「あぁ、そういえばミレーヌ」
ふと気づいたようにアルフォンス様が手を握ったまま言う。
「そのアルフォンス様というのはやめてくれないか?俺は今まで通りアルと呼んでほしい」
アルフォンス様の言葉にシャルド様はほう、と目を丸くした。な、何をおっしゃっているのでしょう!
「アルフォンス様、それはだめです。ご身分がわかった以上、そんな失礼なことは絶対にできません」
ぶんぶんと首を振ると、アルフォンス様はしゅん、と悲しげに目を伏せる。
「別にこちらとしては構いませんよ。俺も身分を隠す際にはあえてアルと呼んでましたから」
にっこにこの笑顔でシャルド様が言う。その笑顔がなんとなく憎たらしい。きっとからかって楽しんでらっしゃるんだわ。
「シャルドもこう言っているんだ、アルと呼んでくれないか」
アルフォンス様ったら今度は両手を掴んで頼んでくる。
「あぁ、もうわかりました!ですが、シャルド様の前では言いません、二人きりの時だけですからね!」
そう言うと、アルフォンス様は目を輝かせ、シャルド様はふぅ~♪と変な声を出す。
この二人、緊迫感が無さすぎる。思わずため息をつくと、にこにこ笑顔のシャルド様とまた目があった。
はぁ。




