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13 進展 ♢

シャルド様の話を聞けば聞くほど、アル、いやアルフォンス様の身に起きていることがどれほど大変なことなのかがわかる。あの日ぼろぼろになって倒れ込んできたことにも納得だわ。


「アルフォンス様、話を聞いた感じどうです?何か思い出しましたかね」

シャルド様がそう尋ねると、アルフォンス様は唸りながら言う。

「確かに所々思い出す所はあった。お前達にもずいぶんと心配をかけてしまった、すまない。亡くなった者もいるなんて……」

悲しげに瞳を閉じるアルフォンス様。あぁ、こんな時でさえもなんて美しいのだと思ってしまう私ってばなんて不謹慎なのかしら!

パチン、とシャルド様と目が合うと、まるでこちらの考えを見透かされているようににっこりと微笑まれてしまった。どうしましょう、とっても恥ずかしい!


「所々ということは全て思い出したというわけではなさそうですね。慌てなくて構いませんよ、少しずつの方がきっとあなたの脳のためにもいいでしょうし」

ふぅ、と息を吐くと、シャルド様がこちらを向いた。


「そこでですがミレーヌ様。申し訳ないのですがもうしばらくアルフォンス様を匿ってはくれませんかね。危険なことに巻き込んでしまっていることは重々承知ですし、本当に申し訳ないと思っています。この通りだ。だけど、ここで放り投げられてしまってはアルフォンス様の命が危ない。それだけは回避したいのです」

深々と頭をさげるシャルド様。シャルド様もきっとここまで沢山大変な思いをしてきたのだろう。アルフォンス様のことがどんなに心配だっただろうか。考えただけで胸が押し潰されそう。


「シャルド様、そしてアルフォンス様。お話をお聞きしてどれだけ大変な思いをしてこられたのかよくわかりました。たいしてお役にはたてませんが、私達ができることであれば喜んで力をお貸しします」

いいわよね、とジェームスの方をちらりと見ると、ジェームスもにっこりと微笑んでうなずいた。


「本家の方々でアルフォンス様を見たことがあるのは兄上であるクリス様だけですし、この屋敷へ本家からいらっしゃるのはクリス様くらいですから大丈夫でしょう」

ジェームスの言葉にシャルド様はほっと胸を撫で下ろす。


ふと、横にいたアルフォンス様が私の手をぎゅっと握ってきた。

「迷惑をかけてしまうのは目に見えているのに、こうすることしかできないなんて本当に申し訳ない。だが、私からも頼む。どうかしばらくの間ここにいさせてくれ」

深々とアルフォンス様からも頭を下げられてしまう。


「そんな!おもてをおあげください!」

あわあわと慌てる私を見て、アルフォンス様はまるで愛らしいものを見るような表情をする。そんな、そんな目で見ないでください!






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