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12 安堵(シャルド視点)

ようやくアルフォンス様が見つかった。国内のどこをどう探しても見つからず、隣国で似た人間の目撃情報があったため来てみればまさに、だ。


第一王子のレンブランド様と弟アルフォンス様はそれはそれは仲の良いご兄弟だった。小さな頃からいつもアルフォンス様がお兄様の後ろを追いかけ、レンブランド様もそれを嬉しく思っていたはずだったのに。


アルフォンス様が成人してすぐの頃だったろうか。旅商人のサイオスがレンブランド様の前に現れた。サイオスはお父上である王の代からずいぶん贔屓にされていて、お二人にもお目通りがかなったのだった。


次期王として外交にも興味を持とうと思ったのだろう、レンブランド様は各国の様々な品に心を奪われた様子でサイオスにあれこれと教えを願っていたらしい。


そこからだ、レンブランド様の様子がおかしくなったのは。ご兄弟はあれだけいつも一緒にいて何でも相談し合う仲だったのに、いつからかアルフォンス様を遠ざけはじめた。


そして、今回の事件だ。


突然、謀反の罪を着せられ追放されそうになったのだ。どんなに潔白を証明しても耳も貸してもらえない。それどころか一方的に攻撃され、命さえも狙われはじめたのだ。

自分を含め最低限の少ない護衛でアルフォンス様をなんとかお守りしながら、髪色も変えて国の外れまで逃げていた。


だが、追い詰められてしまい、なんとかアルフォンス様だけを逃がすことになってしまう。

敵を倒してからアルフォンス様が見つかるまでどれほど辛く苦しい日々だったか。俺の采配のせいでアルフォンス様がどこかで倒れているかもしれない、そう思うといてもたってもいられなかった。


こうして目の前にアルフォンス様がいるのが奇跡のようだ。アルフォンス様らしき人物が見つかって、遠くから様子を見ている間にどうやら記憶がないことがわかったが、むしろ好都合だった。

記憶がなければ本人とばれる可能性も低くなる。そして万が一バレたとしても、隣国内であれば下手に騒ぎも起こしにくいだろう。


拾われた先がこの家だったことも幸運だった。どうやら伯爵家のご令嬢の屋敷のようだが、わけあって辺境の地に追いやられているようだ。ここならこの国の重鎮と顔を合わせることもないはずだ。



ミレーヌ様とアルフォンス様、そして機転をきかせてくれたジェームス様にことの次第を簡潔に説明する。ジェームス様はなるほど、と落ち着いた様子で、さすがは年期の入った執事といったところか。

ミレーヌ様は驚きと不安と悲しみが入り交じった表情で俺とアルフォンス様を交互に見ている。

なんともお美しい人がアルフォンス様の側にいたものだ。まぁ、アルフォンス様の方がもっと美しいと思うけどね。


アルフォンス様は片手で頭をおさえながら険しい顔で話を聞いていた。記憶が錯乱しているのだろう、早く記憶が戻ってくれるといいのだけれど。


「シャルド様や他の皆様は怪我などなさっていないのでしょうか、泊まる場所などは大丈夫なのですか?」


へぇ、アルフォンス様だけでなく側近の俺たちのことまで心配してくれるなんて、ずいぶんと心のお優しいご令嬢なんだな。


「まぁ何度か怪我はしましたけど治癒魔法でなんとか。命を落とした者ももちろんいますが、主をお守りすることが我々の使命ですから。宿は詳しくは言えませんがなんとかなってます。我々も変装してこの国に入りましたからね」





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