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晒された罪

謁見の間は、普段は中央に赤い絨毯が引かれているけれど、今は何もない。

石畳がむき出しになっている。


「うー! ううー!」


公爵閣下が何かを唸ったのは、もしかしてそれに文句を言いたいんだろうか。


でも、赤い絨毯は来客への敬意を示しているものだ。

今のわたしたちは罪人だ。むしろ、ないのが当然だと思う。


階の上、正面には国王陛下が座している。

その脇には、王太子のアークバルト殿下、そしてアレクシス殿下が立っている。


さらに、段の下、右奥にはカルビン様とそのお父様。ロドル伯爵親子だ。

反対の左奥にいらっしゃるのが、ヴィート公爵閣下。国王陛下の側近であり、王太子殿下のご婚約者の父君だ。

同じ公爵家だけど、あちらは国王陛下からの信頼が厚い。


両脇にはたくさんの貴族がいる。

衆人環視の中で、処分が下されるようだ。



そして、ユインラム様とクリフォードが、謁見の間の中央あたりに跪いていた。


「なっ!? 父上!?」


公爵閣下が囚人服を着ているからなのか、あるいは手を拘束されているからなのか、猿ぐつわのせいか。

ユインラム様が叫んで動こうとした。


「ユインラム・フォン・ベネット! 動くな!!」


ヴィート公爵が声を張り上げる。

同じ公爵に上から注意をされて、ユインラム様が明らかに不機嫌になった。

けれど、国王陛下の厳しい視線に気付いて、そのまま跪く姿勢に戻る。


わたしと公爵閣下が、ユインラム様とクリフォードの所にたどり着くと、そこで再びヴィート公爵の声が響いた。


「罪人二名はその場で平伏せよ。他二名も頭を下げろ。許可あるまで、そのままだ」


その言葉に、わたしは黙って従った。

石畳の冷たさが伝わってくる。


「ううーっ!!」


公爵閣下のうめき声と共に、兵士たちに強引に平伏させられているのが、チラッと見えた。



「それでは、これよりベネット公爵、並びにその一家の罪状を明らかにし、処罰を下す事とする」


ヴィート公爵の前置きで、その罪が衆人の元に晒されたのだった。


ロドル伯爵が、借金を支払うことになった経緯。

それによる困窮。

公爵閣下の資金援助と、それと引き換えの婚約。

将来的に、ロドル伯爵領を乗っ取るための、公爵閣下の企みだった事。


「出鱈目だ!!!」


ユインラム様が途中で遮って騒ぎ出した。

静かにするよう言われても、ずっと叫んでいるので、ユインラム様も猿ぐつわを噛ませられていた。


公爵閣下と揃って、それでもうなり声を出しているけれど、ヴィート公爵は構わず話を進めることにしたようだ。


「借金をしたクマル子爵、キング男爵、商人のパテル、三名の殺害を、ベネット家当主ディックがリィカルナに命じた。しかし、当時十四の少女は人を殺せず、逃した」


その内容は、わたしが地下牢で話した内容だ。

実際には、殺せなかったんじゃなく、殺さない選択をしただけだと、わたしは取り調べの時に話している。

でも、それはどうやら伏せてくれるらしい。


「なお、これらについて、リィカルナはすべてを認めているが、ベネット家当主は認めずに、すべてリィカルナがやったことで、自らは知らない、と供述している」


公爵閣下がどんな自供をしているのかを聞いたのは初めてだ。


何でわたしがそんな事をしなきゃなんないのか。

他人事のように考えてしまう。


公爵閣下は、その通りだとでも言うように、頭を縦に振っていて、兵士さんたちに押さえられていた。


「だが、ここでもう一つ明らかにすべきことがある。――リィカルナ・フォン・ベネット。面を上げよ」


なんだろう、と思いつつ、顔を上げる。

周囲が、ざわついたのが分かった。


「陛下、お願い致します」


ヴィート公爵が国王陛下に頭を下げる。

陛下が鷹揚に頷いた所をみると、ここからは国王陛下の話になるらしかった。




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