牢の中の生活
アレクシス殿下にしがみついて号泣した日から一週間。
牢の中での生活は、色々あった。
母との面会ができた。
本来なら許可が出るはずないらしいけど、母が出歩くのが無理である以上、わたしから行くしかない。
事情を鑑みて、国王陛下が特別に許可を出して下さったらしい。
万が一の逃亡に備えて、アレクシス殿下が常に側にいることが条件だった。
見張り役が必要なのは分かる。けど、なぜそれを殿下がやるんだろうか。
普通は、兵士の役目だと思う。
殿下の剣の腕を考えれば、兵士以上に適任であることは分かるけど。
殿下を出し抜いて逃げ出すなんて、よほどの運に恵まれたとしても難しい。
母は、まだやつれていたけれど、元気だった。
二人で抱き合って、泣きじゃくった。
※ ※ ※
クリフォードも、王宮にいた。
何せ、ユインラム様に逆らったのだ。屋敷に戻れば何をされるか分からない。
今、ベネット公爵邸はひどく荒れているらしい。
ユインラム様の癇癪が収まらないそうだ。
分からなくもない。
国王陛下の直接の命令で、公爵閣下とわたしが牢に入れられた。
まあ、わたしがどうなろうと気にしないだろうけれど、公爵閣下に関してはそうはいかない。
国王陛下からの直接の説明を求めたらしいけれど、陛下は使いを送ったのみ。
一応それで事情は判明したけれど、ユインラム様は荒れた。
わたしの責任だと、母に罰を与えていたけれど、その母は、王宮から送り込まれた兵士たちによって公爵家から連れ出された。
母に向けられていた癇癪が、その母がいなくなった事で、使用人たちに向いてしまっているらしい。
「国王陛下に言わせれば、ベネット公爵家全員を拘束するところを当主と娘だけにして、次期当主は残してやったんだから、十分だろう、という事らしいですけど」
クリフの呆れた口調に、わたしは笑った。
ユインラム様の苛立ちの原因の一つは、クリフが先頭に立って母を連れ出したことにもあると思う。でも、そこまでして母を助けてくれたクリフには、本当に感謝だ。




