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はぁ…今回でやっと新章ですよ!?(逆ギレ)ちょくちょく編集はしてたんですが、次話投稿は久しぶりですね。今回から、どうぞ、よろしくお願いします。
- 7話 -
「なんだよ、お前、不服そうな顔してるな。なにか文句でもあるのか?」
「いや……べつに何も言ってないじゃないですか!」
なんだこいつ? 典型的なウザキャラっていう俺の迷推理は的中してたわけだな!
「そうよ、カトリス! いくらなんでも!」
とフォローしてくれるミリ。あぁなんて優しいのだろうか
そんなミリの優しさに浸れるのは刹那。直後再び奴が言葉を吐いた。
「いいか? ミリ、こいつに現実ってものを教えてやるんだよ! ミリは甘やかしすぎだ! 叶いもしないことを追わせることほど無様なことはないだろ?」
「叶いもしない? 俺まだ何もしてないんだけどっ……。」
と言いかけると、そんなことは知らないと言わんばかりにカトリスは言い放つ。
「どうだ? 今の実力で俺と決闘してみないか? 俺に一撃でも食らわすことができたら、無能呼ばわりを撤回しようじゃないか、平民くん?」
べつに謝って欲しい訳じゃないし……そもそも決闘なんて! 俺魔法使えないんですけど? なのに何その無茶振り!
でもまぁ……一応聞いとくか。
「え、えと、決闘ってどうするんですか?」
「決まってるだろ、お互いに1発ずつ魔法を撃ち合うんだよ」
魔法を撃ち合う!? 俺使えないんですけど!?
「カトリス! それは酷いじゃない! 亮太は魔法が使えないのよ!?」
「そうだそうだ! その通りだ!」
「そんなことはわかってんだよ! 今ミリが教えればいいじゃないか!」
今!? こいつはアホなのか!
「い、今ですか? それは難しいのでは……? 俺にできますか?」
「うーん……やるしかないわね……。
私は生まれた時から魔力が多かったから、魔法の習得は早かったけど……。
いい? お互いに撃ち合うんだけど、カトリスはあなたが魔法を使えないと知ってて挑んでるの。だから先攻で当てればいいのよ! 一番簡単なファイヤーボールなら直ぐに出来るかも知れないわ!」
そうか、そうだな! この野郎は一撃当たれば勝ち、そういえばそう言ってたな! つまり先手必勝か! ……って今すぐできるもんなの、それ!?
「そんな簡単にできますかねぇ、魔法」
「カトリス! 亮太くんの先攻でいいわね?」
いや人の話を聞け。
「ああ、構わない。どうせ無理だしな」
俺でも小さい頃、魔法を覚えるのには苦労したんだ。あいつが今すぐできるようになる訳がない――カトリスが心の中でこう思っていたのを、俺は知る由もない。
「いい? 亮太くん、魔法はイメージなの!」
え、なんかそれ聞いたことある、というか最近やったことあるぞ? なんかチートスキルもそんなんだったな……。
……あれ? なんか魔法って簡単そうじゃね?
「ファイヤーボールは魔力消費も少ないから、君でも十分可能よ!」
やっぱ俺、魔力少ないのか……。
「燃える火の玉をイメージして、こう……手に力を込める感じでぇ……ほら、出た! やってみて! 普通は詠唱しなきゃだから、ファイヤーボール! って叫んでね!』
詠唱かぁ……厨二病っぽくてやだなぁ。
でもまあやってみるか……!
「おい! そろそろ始めるぞ! まだか、早く来い!」
マジかよ! 慣らし運転なしって……。
「決闘を開始する!」
『いい? イメージよ! イメージさえしっかりしていればいいの!』
ミリの言葉を思い出す。
イメージか……。
「カトリス! 亮太くん! 準備はいい?
念の為、お互いに防護魔法を付与するわね!
では! 決闘開始!!」
「どうした? 先攻はお前だぞ? ほれほれ、打ってこい!」
カトリスが煽ってくる。
うるさい! 今イメージしてるの!
「大丈夫かしら、亮太くん……」
「チッ、ミリのやつ、あんなやつに……!」
えぇと、イメージイメージ……。
なにを、イメージするかだな……。
あ、ガスバーナーの青い炎でいっか。
ガスバーナー、ガスバーナー……。
よし! イメージはした!
やってみるか、初魔法!!
「 「 ファイヤーボール!!」」
その瞬間、手に青い火の玉が燃え盛り、カトリスに目掛けて飛んでいく!
できた!!
「 おい! なんだその青い炎h……ああああ! ……あっぶねぇ……かすっただけか……なんだ? 今のは…」
「勝者! 亮太くん!」
「おい、なんでだ? かすっただけだぞ!?」
まじかこいつ、自分で言ったこと忘れてるのか??
「お忘れですか? カトリスさん」
少し違う口調で、ミリはカトリスを諭す。
「亮太くんの勝利条件はあなたに一撃傷を負わせること。かすったなら亮太くんの勝ちでしょう?』
にしてもあんな簡単なんだな! 魔法って!
「っ……そ、それに! なんだ! 青い炎のファイヤーボールなんて見たことがないぞ! 威力も普通のより明らかに上じゃないか! そんな魔力でなんであんなものが使えるんだ! 」
そうだな! たしかに! それは俺にもわからん。召喚されたからかな……。
まぁこれは多分誰にも言っちゃいけないやつだろうし、黙っとくか!
「それに関しては私も驚いたわ……この短時間で魔法を覚えて、しかもあんなにも高威力なんて……」
なんででしょうね……俺にもわからないです。
「あなた、凄いわよ! 私と一緒に魔法の勉強をしましょう!!」
「ちくしょう! 入試での実技試験で覚えてろよ!」
そう言うと、モブキャラくんのカトリスは帰っていったのであった。
こうして、かなり濃い王国での一日目が無事(?)終わろうとしていた。
日も暮れそうで、泊まるところがない俺は、ミリの家に泊まらせてもらえることになったのであった。
まじかぁ、まじかぁ……なにこれ!!
超豪邸じゃないですか!!
「ミリさん、これって?」
「私の家よ! 案内するわね!」
家を案内ってそれどういうことなんだろ……。
「亮太くんの部屋はここ! 自由に使ってね!」
「え、でもこの部屋って……」
その色使いや小物に、俺は少し困惑した。
「そうね。最近知り合いの女の子が家に来てたから泊まってもらってたんだけど、その時にリフォームしたばかりだから女の子の部屋よ!!」
おぉー、ノー!
なんということでしょう! なんですか! その悲劇的ビフォーアフターは!!
「あ、ほら、お布団は、君でも使えるよ……」
あぁ、匠の気遣いですか! 助かります!!
と、そんなこんなでかなり濃い目の一日がおわるのであった。
明日からは魔法の勉強か。頑張ろう!