六頁 身近な猛者
そうか……ってことはやっぱりここはゲームとは別の……。
「じゃ、あなた――あ、名前言ってませんでしたね! 俺は亮太。志水亮太って言います。亮太が名前で志水が苗字です!」
「へぇー、あなた変わった名前なのねー! 私はミリアリア・フォースカム! ミリでいいわ、そう呼んで!」
「ミリさんですね! 分かりました! じゃ、その……ミリさんはおいくつなんですか? 僕と年近そうですけど……」
「私は15歳よ! あなたは?」
「え! 同い年ですよ!」
とは言ったものの。
まじかぁ、タメかぁ……! 見えねぇ! めっちゃ美人じゃねえか!
「亮太くんは魔法学生かしら?」
「魔法……学生……? 魔法の学校ですか??」
「あら、知らないの? そのためにこの国に来たのかとばかり思っていたわ! ごめんなさいね。
でも、その年ならちょうど今年の入試、受けられるわよ??」
彼女は少し黙って、そしてこう続けた。
「いい機会だわ! 受けなさいよ! 魔法学校!」
……は?
「軽く説明するわね! ここ、ウェミシア王国にある『ウェミシア魔法学園』は、この付近じゃ知らない人はいない名門校なのよ!」
へぇー! すげえ! そんな学校があるのか……。
前の世界ではちょうど高校行くとこだったし……行ってもいっか、魔法学校!
「最近魔法始めたの?」
「最近っていうか、やったことないです……うぅ……」
「やった事がないの!? それは大変ねぇ。
えっと、あと3ヶ月くらいあるし、私と入試の魔法実技の練習……しよっか!!」
まじか! 仮にもこの国で賢者のこの子に魔法教えてもらえるのか……。
圧倒的チートの想像具現化とかあるけど、あれは魔法とは違うしなぁ。
なにより! 魔法! 使ってみたい!(好奇心旺盛)
なんか、チートに魔法足したらチートに拍車かかりそうだけど……そこは! 気にしない方針で!!
というか、異世界に来ても俺は入試勉強をするわけだ!
はぁ……複雑……。
「おい! お前!」
はぁ……異世界でも入試かぁ……。
てか、俺異世界から来たわけだし、魔力とかあんのかな……なかったらどうしよ!
「お前だお前! 聞こえてるのか!」
「亮太くん!? 呼ばれてるわよ!」
え、あ! 俺? 俺のことか! 誰だ?
「なんで無能がミリアリアと一緒にいるんだ?」
「やめてあげて! カトリス!」
「ミリがそう言ってもこいつは魔力値が平民クラスだぜ!? なんでミリはこんなやつと一緒にいたんだ?」
「えと……私たちと同じ魔法学園に行くって言うんだけど……最近この国に来た子だし、魔法もやったことがないって言うから教えてあげようかな、と……」
「ミリが直々にか? 笑わせるなよ!
いくらミリが教えても、こんな無能……たとえ3ヶ月でも、名門のウェミシア魔法学園には遠く及ばないぜ?」
「それでもよ! この子は色々あって私と知り合ったわけだし……なにより! やる気がある子の方がいいじゃない!」
「え!? ちょっとまって? ミリさんってずっと気になってたんですけど、賢者とか魔導師だとか言ってましたよね……その、賢者とかって一体なんなんですか?」
やべぇやべぇ、よくあるゲームなんかだと賢者って魔導師の上位クラスだった気が……?
「言ってなかったわね。賢者というのは、生まれつき、魔力の量がすっごーく多いやばい奴のことよ。つまり、魔法の才能がなんかこう...すごい!!ってわけなの!」
はいやっぱりきた。 なにこの人、同い年なのに。というか語彙力は何処へ...
「おまえは一体なんなんだ? 賢者のことも知らなかったのか?」
「えぇ、まぁ……」
そう苦笑してお茶を濁す。
知るわけねぇだろ! この国ってかこの世界来たばっかなんだよ! なんだよこの!! 溢れ出すウザイ貴族感!!
そうは思うものの、そんなことはおくびにも出さない。
「ところで、カトリス……? さんは一体……」
「俺はカトリスだカトリス・エスフォード。俺も今年は学園を受験する。
言っておくが、平民クラスのお前の魔力じゃ到底受からないからな」
やっぱ俺……魔力少ないのかな……
と不安が募る…だって異世界人だもの。てかこいつはなんなんだ…?