三十二頁 大一番
「何事も、過ぎたるものは体に毒だ」
誰もがそういうだろう。
彼ーー亮太はきっと知らなかった、もしくは気にも留めなかったのだ。
* * *
[参謀本部にて]
セルドリア准将は言葉を零す
「新人将校たちだが、思っていたよりも成果が出ていないように見える」
踵を返すようにキルドス准将も
「まぁよかろう。彼奴らとてそう戦況を翻そうとはしまい。こちらも焦らず対応すれば良いだけのこと、それに次回加入が見込まれている魔法学園の優秀な諸君の中には魔導師「フォースカム・ミリアリア学生」もおることだ。彼女が居ればまぁよかろう。」
それに加えてと言葉を続けて
「ほかの生徒にも目を見張るものがあるというではないか、特にこの「志水亮太学生」彼は先日の大会にてミリアリア氏と互角に渡り合ったそうではないか」
「今回のは期待できそうだなぁ」と不敵な笑みを浮かべる
* * *
かつて、ここは何かに使われていたのだろうか。古びた軍の施設で実地研修が行われている。
その建物がかつて誇っていたであろう雄大さやその他諸々も今ではヒビなどにより文字通り二つに割れた壁から「あぁ...」というほどでしか感じることはできない。
それでもこの施設を使用していた先代の方々の焦り、不安が染み付いているのかその壁からは哀愁が溢れ出ているように見えた。
退屈ゆえか、はたまたそのほかの理由かは定かではないが、ふと彼女の唇が引き攣る。
ゆらりと体を寄せてきて、ぼんやりと、だがはっきりとした口調で言葉を零す。




