二十一頁 虚偽の口碑
そういうこともあってか。ミリさんは最近は僕に卒業後のことについてよく訊ねてくる。
無論僕としては「安全第一」な訳ですが、僕のあのトンデモスキルを最大限活かして、祖国に貢献ーー
というのもありなのかな。とかも考えたりするのであった。
ーー偽りの口碑、虚偽の伝説とでも言おうそれは。一種の願いなのである。
ーー例えば、「あいつがこの前演習で見せたあの的壊しは全力でやったものだ」というもの。
ーー例えば、実地研修でやった方のやつは実は軍の人も手伝っていた。
これらの「噂」でしかない嘘の数々を眺めれば、詰まるところ、根はあっても葉はない。
身も蓋もない言い方で言うところのデタラメ。
ーーさて、そんな文字数にして積み上げたら大体普段使ってるものさしくらいにはなるであろうデタラメに告げるとしよう。
なんだこれ?と。
そんなことあるわけねぇじゃねぇか、的壊しのやつとかその場で先生に発言したし、実地研修に関しては明らかに俺から出てただろ!?
ーーと、思考を数分前に。
つまり…ただ廊下を歩いただけで、他のクラスのやつから変な目で見られた時へ思考を戻すわけだ。
※ ※ ※
「え…なんなんだろ…?」
「わかんない…」
いつものように4時間の授業を終え、昼食の後、ミリと雑談しながら5時間目の体育へとグラウンドへ向かっていると。
(なお、この日は模擬戦の練習を行うため男女同じ場所で行う)
「なんなんだろうね」
「ホントそうだよ…僕が何をしたと?」
まぁ大体想像はつく。詰まるところ、嫉妬か恐怖または哀れみ、若しくはその全てだろう。
あの魔導師のミリさんと肩を並べて歩くだけに済まず。こんどはどこからともなく実はあいつもヤバいやつだったーー
などと情報が知れたら妬みは大変なものだろう。
事実ミリさんに告白してくる男子生徒も少なくないようだし。
「行こいこ!無視だよ!無視!」
「そうだね…ありがと…」
珍しく素直に感謝した、実際助かったからだ。
「(な、なによ…素直になって…)」
こういう些細なこともあったが、来月辺りに行われる体育大会に向けて、種目の練習がはじまるのであった。種目、と一括りに行っても行うのは一つだけ、模擬戦である。これを行い、成績優秀者は選抜クラス。僕達1組への編入資格が得られる。受験会場で僕の通常の魔法に常人ながらも到達し得たあのエリートさんとももしかしたら対戦しなくちゃならんのかもしれない、そう思うと多少楽しみになってきた。
選抜クラス、一般クラスは隔てなくマッチするようになっているらしい、つまり、ワンチャン狙ってけ!の精神で攻めてくる一般クラスの人達に負ける、なんてこともザラなんだそうだ。まぁ僕としては負ける気なんてないんですがね、実技試験の時にレベルの低さは痛いほど理解しておりますので。
何かあったのか少し遅れてきた先生は頭を下げ
「少し遅れましたね。すいません。えぇと、それでは本日から体育の授業では、来月末に行われる体育大会兼模擬大会について説明する。」
対戦形式は一体一の1on1らしい。
使用するのは魔法のみで武器は無し、加えてどちらか一方がギブアップするか、先生による中断があるまで、ということらしい。
ヌルゲーかよ。ここらで1個優勝いっとくか?
なんとなんと、一様は成人の年齢に達していることもあってか、賞金も出るらしいそれも、かなり高額…これは俄然優勝せねば、そんな希望を胸に授業に励むのであった。




