十七頁 既知の現状
そんなキザなセリフを吐くと同時に
「う……おおおお!!」
やってやるぞ。とその後ろで将校らが昂る激情を雄叫びへと変貌させ一心不乱に魔弾の破片の完全な除去作業に勤しむのであった。
将校らはビジュアライザーを用いているのでそこから溢れる様々な術式により具現化される魔法の数々が白光と共に次々と破片の除去を進める。
中には中隊規模に隊列を組み、眩く光る彗星の如く飛翔し、より近距離で作業を行うものまで出た。
そんなことをしていても、今は戦闘中で、相手が攻撃してきたのだ、こんなことばかりしていては戦闘体系がおかしくなってしまう。
ここはーーと「避難が完了していたほかのみんなも連れてきて、学生達だけで残りの作業をしよう!!兵士さん達は戦線の後退をするなりこのまま敵司令部に畳み掛けるなり策をねってみては如何ですかねっ!」
そう発案する。
いやね?と中佐殿は言う。
「後退という選択肢などもうどう持ち合わせておらんよ、前進するまでだ」
おっといけない、迂闊な口を縫い合わせてしまいたい。今の自分はあくまで一人の学生の身、いったいどのような意図からこのように軍と司令部の面子を否定するようなことを言い、あまつさえ提言するなど……「す、すいませんっ…!」と続けた。
こんなことを話していると、目下前方で進軍の開始を待とうと遅滞戦闘に切り替えようとしていた連合軍の少数のいた部分で爆発ーー
高々とはねあげられた。その向こうにいた味方も同様の運命を辿って行った。さらにもう1発大きな爆発。
「何事だっ!」と先程までの手を止め管制官に問う中佐殿。
半ば先程までの作業を放棄するような勢いであったが、実はつい先程ほとんど破片は除去し終えたのであった。
僕ですら、先程の爆発の含むところのーー
つまり暗黙裡に込められた爆発さんの言わんとする意図ははっきりと理解出来た。ストラテジーゲームなどで、大規模な攻撃を行ない、それが失敗した時に取れる手は個人的には2つ。
一つ、撤退に講じる
一つ、失敗していてもその対応、補填に終われている敵勢力の蹂躙に講じる
今回はその後者であろう。
にもかかわらず。
にもかかわらず、だ。
何事かっ!だと?
まさか軍務に準ずる中佐ともあろうものが先程の敵の攻撃の意図を汲み取れないとはな。
そこでボクは言い放つ「僕個人の意見ですが、おそらく敵は畳み掛けてこようとしているのだと思います。」
なるほどそういう考えもあるな、と納得の意を示すのか斜め上を軽く見上げ、視線を落とし頷くものも居れば「いや、はたして?いや…そうか…」と渋々理解した者もいた、
後者が中佐殿だ。
「本当に君はすごいな、魔法の威力もさることながら戦闘の才に秀でている。」いやふつうだ、お前たちは何も感じないのか?と周りに一瞥をくれると
「いやいやそんな…僕はただの学生ですよ…」とオブラートに包んで謙遜しておいたのだった。
「そんな謙遜しなくても良い、なぜ自分の才を表沙汰にしないのだ?私はそういう人間を見ると我慢ならん、スカウトさせてもらうぞ?」
よく見ると中佐殿の眉間が痙攣気味である、いや見るまでもないことかと僕は心中で苦笑する。
その状況を見ていたミリも続けて
「そうよそうよ、あんなこと出来るなら教えくれてたっていいじゃないの!すごいわよ?あれ」と
「いやいやだってあんまり目立ちたくないんだもん!!あんなの使えることがバレたらこういうことになるってのはすくなるとも既知の事じゃないか!事実そういう現状だ!」
なんだそんなことか、と
「わかったわよ……亮太くんが大人しめの性格なのはよく知ってるし、目立ちたくないってのも理解はするけど、あれだけの魔法を放置しておく余裕なんてないのよ?戦争なの!」そう言って僕に説明してきた。確かにそうだな……これから繰り広げられるであろう戦闘ーーひいては、戦争を想像すると、僕のあの力を有効活用しない手はないのだろうな
「わかった将校さんとミリがそんなにいうならこれからはもっと頑張る……でも進路は自分で考えたいです。スカウトして下さる、と言うのでしたらありがたいのですが、今のところはそういうつもりはありません!」としっかり意思表示をしてお断り……うーんすばらしいな。
そんなこんなで、処理を終えた破片の処理の後は、畳み掛けて来た敵達をさすがの中佐殿の指揮もあってか、返り討ちにして無事に戦闘は終了。
僕達は学校への家路に着くのであった。
この小説が完結する夢を見ました。なんだただの夢か、と儚い希望を打ち砕き。深夜にこんにちは塩島です。全話に比べて多少は文字が多くなった気がしますね。読者の皆さんに置かれましてはご機嫌麗しゅうことと思います。ぜひ感想、評価、ブックマークなどしていただけると励みになります。よろしくお願いします。それでは次回に乞うご期待……




