第三楽章 そこは、佐世保の「VELVET 」
ぼくは慌てて、パソコンの検索画面を開いた。
波多津薫が演奏しているステージの後ろに書いてあった「VELVET」という文字を検索すれば、なにか、詳しいことがわかるかもしれない。
「VELVET」と「佐世保」……。
あった!
佐世保の、ライブハウスのホームページがヒットした。
店名は「VELVET」……!
さっきの動画の右下には、録画日の表記があった。
それは、今からほぼ一年前。
去年の今頃、同級生の波多津薫が、佐世保で聖飢魔Ⅱのコピーバンドを……?
思いがけない発見に、なんだか、ぼくの胸は今まで感じた事のない“ざわざわ”に支配されている。
「VELVET」のホームページから「今後のライブ予定表」を開いてみる。土日を中心に、様々なイベント予定がずらりと並んでいる。
もし、毎年定期的に開催されているイベントなら、今年も、この時期に行われる可能性が高いと、ぼくは思った。
そして、その読みはピタリとはまった。
『狡決亜Ⅱ 悪魔の黒ミサ』
……見つけた!
ぼくは、震える手で「詳細」欄をクリックする。
『キリスト教の聖地長崎に、今年も血の雨を降らす! さらに、豪華助っ人もⅡび参戦』
凄いセンスのキャッチコピーに苦笑いしながらも、ぼくは、興奮を抑えきれなかった。
隣の街に、聖飢魔IIを聴いている人間が集まる。それだけでも、凄い事だと思った。
公演日まで、あとひと月。
ぼくはそわそわして、カレンダーに◯を付けた。
スピーカーをオンにして、ボリュームつまみをぐいとひねる。
アルバム「NEWS」の収録曲「NO GOOD NEWS TODAY 」を再生し、胸元でエアギターをかき鳴らした。
「うるさい!」
ドン! という殴打音と共に、壁越しに、姉ちゃんの怒鳴り声が響いた。




