表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

詩集その1

鍵を鳴らす

作者: 浅黄 悠

それは

造られた空間に

響くだけ


日常では起こせない

起こしようもない

世界。




片手では開けられない扉の中

木材の香と

かすかに黴の匂い

暗がりに冷房が効いていて

さながら水槽のなかの如く。


光あびる舞台を影が凝視している

そこへ襲いかかる訳でもなく

みんなただ押し黙って

くちびるを引き締めている


がつんがつん

自信と緊張をそのままに

ぴかぴかの重たい靴を木の床へ打ちつけ

今宵の案内人が闇の向こうより

扉を開かんとやってくる

彼のまだ細い背中が

黒く艶めく魔法の扉へ向かう

それは入口の扉より尚重い


厚い綿をつめられた静けさに

誰かのくしゃみがこだまする

余韻は表層を漂いつつもふかく夜の直中へ墜ちていった




やがて

彼がやさしく扉に手を掛け

鍵を鳴らす


音がさざ波に光る粒のように広がって行く中で

風は確かに

突上棒に見顕されたその扉の向こうから吹き流れた。







花吹雪の庭

革命前夜の熱帯夜

宮廷舞踊に消えた一夜の囁きや

あるいは絶えて久しいと伝え聞くあの__

今昔の境が溶ける

その扉の向こうの世界を

誰が愛さずにいられるだろうか




それなのに

心が痛みだして目を背けたくなってしまうのは


あの世界を支配する彼らが

眩しすぎるからなのだろう





(ユーザー名から察した方もいらっしゃるかもしれませんが)クラシックが好きなのでこんな詩を書いてみました。

ピアノは弾けるのですが自分の限界というかレベルの低さを知ってから複雑な気持ちもあります。

最後の部分は憧れ半分やっかみ半分ですね…w

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ