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爆弾と呼ばれた男  作者: 岡上 山羊
青春の旅路の果てに
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晴天の霹靂

高梁美香改め新見美香は、玉野の姿を見て驚いた。自分たちが地獄のふちに立たされた時、颯爽さっそうと現れ、そのピンチを救ってくれた命の恩人がそこに立っていたのだから無理はない。新見と玉野、二人しか知らない不思議な経験について、美香に説明するのに、随分と苦労させられた。しかしながら新見のたった一晩での変貌振へんぼうぶりから、少しづつ納得して行った。そして、玉野が連れて来た最愛の女性とも直ぐに打ち解けて意気投合した。

「良いなぁ、景子さん。タマミツさん…じゃなかった、玉野さんみたいな素敵な人と一緒になれて」初対面で玉野の一番カッコいい所を見てしまった美香は、まるで乙女の様に振る舞った。

「良いなぁ、玉野君。景子さんみたいな素敵な人と一緒になれて」新見が嫉妬からか?美香を真似て言った。

「何よ!それ、アタシの真似しないでよね」ふくれっつらで美香が言った。

「まぁまぁ、お二人さん、あんましイチャイチャを見せびらかさんといて下さい。ボク等も我慢してんねんから」玉野が二人をなだめるつもりで言った。それがヤブヘビだった。

「えっ?光一郎さん、我慢してんの?」景子が顔を赤らめて言った。

「なんだ!結局、玉野君たちもイチャイチャしてんじゃん」こんなやり取りをしながら双方に行き来しつつお互いのカップルは交流を深めて行った。

新見と玉野、この不思議なえにしで結ばれた二人が、今や公私共にお互いを必要とするパートナーになっていた。

赤ん坊の頃に親に捨てられ、信じる者は誰一人おらず、唯一、信頼出来た友と、暗黒の世界で暴れ回り、仲間達の裏切りから、友も親と呼べる存在をも失い、死に場所を探し求めた日々。

それから比べると、玉野は今の幸せが信じられなかった。しかし、それは玉野自身が自分の力で築き上げた物だ。

確かに異世界での経験は大きいだろう。それでもやはり玉野が他人を信じようと奮闘した結果なのだから。

そんな幸せな日々を過ごす玉野だったが、暗黒時代のごうとも言うべきものが、甲高かんだかい足音を鳴らして、確実にせまって来ていた。


「玉野君、お疲れっす!今日さぁ、娘の杏奈あんなの一歳の誕生日なんだ。景子ちゃんとウチ来ない?」すっかりパパらしくなった新見が誘って来た。

「分かりました。八時くらいに伺います」玉野は、ごく自然に返した。

「ん?何か、向こうの方が騒がしいなぁ」新見は事務所とは反対側のプラットホームがある辺りでスーツ姿ながら、おおよそサラリーマンとは思えない二人組を見て言った。すると二人組はこちらの方に歩み寄って来た。

「玉野光一郎だな!傷害の容疑で逮捕状が出ている。署までご同行願おう」男の一人が、紙切れを広げて言った。

「ちょ…ちょっと待って下さいよ!何かの間違いでしょ?」新見は手を広げて玉野と男達の間に立った。

「邪魔をしたらアンタも公務執行妨害で逮捕する事になりますよ」刑事と思わしき男は鋭い眼光を投げ掛けて来た。

「新見さん、良いですから。ちゃんと話して来ます」玉野は同行に応じ、警察署へと連行されて行った。

「何だよ!何の冗談だよ!ふざけんなぁ!!」玉野の為に何も出来なかった自分の無力さに、新見は咆哮ほうこうを上げた。

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