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爆弾と呼ばれた男  作者: 岡上 山羊
Come back to the real world
41/50

ダークヒーロー復活

暑かった真夏を過ぎても、残暑と言う名の猛暑が、玉野たち肉体労働者の体力を奪い続けていた。華奢きゃしゃな身体ながらも体力に自信がある玉野も流石さすがにバテ気味だった。

そんなある日、新見から仕事終わりの居酒屋に誘われた玉野はそれに乗った。ウキウキしながら午後の配送に向かう新見の後ろ姿を見て、玉野は自分がムコウの世界に行った時と同じオーラを感じていた。

「マズいなぁ、そん時は近いで…イヤ!その方が、あの人にとってもエエかも知らへん。出来たら上手くリュウさんに拾われたらエエんやけど…」玉野は不気味な事をつぶやきながら、新見を見送った。


仕事が終わり、二人で乾杯をした。新見は久しぶりに酒を飲む玉野に、どこか不満そうだった。話しは新見の給料に対する不満があふれていた。玉野は、懸命に生きて行く大切さを、なんとか新見に分からせたかったが、途中で新見の彼女である高梁たかはし 美香からの電話で腰を折られた。

その時、新見から発せられるオーラが、より強くなった事に玉野は気付いた。

(いよいよか…こうなったら、もうムコウの世界に任せるしかあらへんかもな)

電話を切った新見は二十万円を貸してくれと言って来た。店を出た二人はATMに行き、二十万円を受け取った新見は美香が待つ場所へと向かった。そして、それを見届ける為に玉野は尾行した。


待ち合わせ場所で恋人二人は、何やらめている様子だった。しばらくすると、暗闇からガラの悪い男二人が現れ、恋人同士にからんで来た。そのガラの悪い男達を見て、玉野は目ん玉をひんいた。

「あ…アイツ、磯貝!」玉野は胸の奥から去来する復讐心を押さえるのに必死だった。

「落ち着け!アカン、押さえるんや」玉野は服の胸辺りをつかんで、自分を落ち着かせようと努めた。すると、四人は狭い路地の方へと移動した。そのまま後を付け、様子を伺った。

磯貝達は新見をいたぶり始めた。その事が、かえって玉野を冷静にした。自分がここにいるのは復讐の為じゃない。新見のすえを見届ける為だと。

しかし、玉野の予想に反して、磯貝達はやり過ぎた。このまま放っておけば、新見は殺されてしまう。玉野は満を持して姿を現した。

「もう、その辺でヤメェやー」

玉野の言葉に、磯貝は振り向きもせず

「何や!兄ちゃん、正義の味方ゴッコは向こうでしてや」とバカにした様に言った。

「ヤメェうとんねん!コロすぞ」玉野は一切、ひるむ事なく言った。

「何じゃ!ワリャ!おい、てまえ」磯貝は舎弟の山本に命令した。

てもうたるわ!」山本が玉野に襲い係ると、玉野の右足が伸び、山本の溝落ちに入った。

「ウグッ!」丸まった山本の背中に、両手を組んだ拳を叩き付けた。そして、前のめりになった山本の鼻をひざで蹴り上げた。

アッと言う間にされた山本を見て、磯貝は「わ…ワリャ何じゃ!」と威嚇いかくした。

しかし、玉野は全く動じる事なく「次、お前がコロされるんか?」と冷たく言った。

「お…お前、岡山組の"爆弾のタマミツ"か?」磯貝は思い出した様に言った。

「せやったら何じゃい!」玉野の台詞せりふは爆弾と呼ばれた、その時を彷彿ほうふつとさせる冷気を放っていた。

「ワレ、死んだんちゃうかったんかい?お…覚えとれよ」磯貝は、山本の腕を抱えると、捨て台詞を吐き捨てて去って行った。


「お姉ちゃん、コイツの事は任して、帰りぃ」玉野は静かに美香に言った。

「あの…ありがとうございます」美香の言葉をさえぎり、玉野は答えた。

「礼なんかエエから、はよ行き!多分、明日になったら解決してるわ…アンタもそうごとき」

美香は頭を提げると、口を押さえながら去って行った。

やっこさん、このまま"ムコウ"やな。取り敢えずウチに連れて帰ろか」玉野は、新見を抱え上げ、玉野のアパートに向かった。

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