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爆弾と呼ばれた男  作者: 岡上 山羊
Come back to the real world
33/50

週刊誌と求人誌

玉野 光一郎と言う男の免許証を持っていた男は、マンションの部屋を家探しした。玉野と言う男は物欲がないのか、はたまた物への執着がないのか、ほとんどが洋服ばかりで、玉野と言う男の正体を指し示す物は無かった。

洋服はシックな色のダブルのスーツや黒めのカッターシャツなどが殆どで、男は"まるでヤクザの様だ"と思った。

結局、小物は一枚のスナップ写真とマンションの権利書、実印と貼り紙がしてあるハンコと、ピンク地に白抜き文字で印刷された名刺が出て来た。

写真には同世代の知らない男と二人で、撮影者を威嚇いかくする様ににらみをかせた自分が写っていた。

権利書は玉野 光一郎名義になっており、ハンコは玉野と刻印されている。

名刺には"キャバレー フェアレディ ゆり"と印刷されていた。

「ボクは本当にヤクザだったのかな?キャバレーなんて行ってたのか?それに隣に写ってる写真の人もボクも、やたらと恐い顔つきをしてる」

男は過去の知られざる自分に、畏怖いふねんを持った。

「とりあえず、過去の自分は分からないけど、今のボクはケンカなんて出来ないし、このマンションも不釣り合いだよなぁ。お金だって、あんまり無いし、マンションを売って引っ越ししようかな。もし本当にヤクザだったとして、ここに住んでたら変な事に巻き込まれる危険があるしなぁ」

独り言を呟いた男は、部屋を出た。行き先はマンション下にあるコンビニエンスストアだった。

店に入ると書籍売り場に行った。そして無料の求人雑誌を手に取った。

雑誌をペラペラめくっていると、ふと、週刊誌が目線に入った。週刊誌の表紙の見出しに気を引かれ、雑誌を手に取った。

"ヤクザ同士の抗争か?備後組の事務所で三人の構成員が重症!"と書かれていた。

男はそれらを買い物カゴに入れ、500mlパックのオレンジジュースとサンドウィッチを入れた。店を出ようとした男は、コンビニエンスストアの定期配送員とすれ違った。

「配送員か。そう言う仕事も良いよなぁ」と呟いた。

マンションに戻った男は、サンドウィッチをかじりながら、週刊誌を開いた。

"昨夜、新宿ゴールデン街近くにある事務所で、23人の逮捕者を出した備後組で、警察が事務所をあとにしたのち、何者かが事務所を襲撃、三人の男に重症を負わせた。若頭の磯貝 俊英はスキを見て逃走!難を逃れた。磯貝氏は犯人に心当たりはないと語っている。警察の捜査では、備後組と抗争を繰り広げる岡山組の構成員による犯行と見ており、西新宿に事務所を構える岡山組を捜索する予定との事だ"

「まさか、これってボクがやったんじゃないよなぁ…とにかく早めに引っ越した方が良さそうだ」

男はオレンジジュースをストローで吸い込むと、求人情報誌から適当な不動産会社を見つけて電話した。

「スミマセン、実はマンションを売りたくて。見積もりですか?ハイ、住所はですね…」

見積もりの予約をすると、今度は芝浦にある"真庭エキスプレス"と言う運送会社に電話した。

「スミマセン、求人広告を見て電話させてもらってます。ドライバーの募集なんですが、まだ応募出来ますか?ハイ、経験はありませんが、ハイ、23歳です。ハイ、明日の午後三時ですね。よろしくお願いします」

男は残りのサンドウィッチをたいらげ、オレンジジュースを飲み干した。

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