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爆弾と呼ばれた男  作者: 岡上 山羊
新天地 東京へ
30/50

カオスの世界

多少の傷を負ってしまった玉野 光一郎は、天王寺区旭町てんのうじくあさひまちきょかまえる岡山組、大阪事務所を訪れた。

「こ…光一郎か?お前、何で大阪ここに?」大阪で若頭となった市橋 博己が、東京にいる筈の光一郎を見て、立ち上がった。

「毎度、元気してまっか?」おどけた言葉とは裏腹に、黒いジャケットからでも分かる程に血が染み出していた。

「お前、どないしたんや?その傷は何や?」突如現れた、いるはずのない男が、傷だらけで立っているのを見て、流石さすがの市橋も、亡霊でも見る様な表情に変わっていた。

「スンマセン、先がとがったハサミとかあります?」光一郎の意外な問い掛けに狼狽うろたえた市橋は、小刻みに震える手で光一郎にハサミを渡した。

ハサミを受け取ると、光一郎はハサミの尖端を右肩の傷に目掛けて突き刺した。

「ウグッ」うめき声を上げるとハサミで何かを挟む仕草をし、一気に引き抜いた。ハサミの先には銃弾が挟まっていた。

そしてソファに崩れ落ちる様に座ると、天井を見上げ、荒い呼吸をした。

「お前…何考えとるんや?ほんま、どないしたんや?」市橋の問いに光一郎はフッと鼻から空気を抜き「今、話してましたんやろ?三田村クソ共の成敗の仕方しかた。その話し合いの必要をなくしに行っとったんですわ」

市橋は改めて痛感した。この兄貴分が連れて来た若者の恐ろしさと狂気を。市橋自身もう20年以上も極道この世界に身を置いて来た。そして、幾多の猛者や狂人と思える様な人間を見て来た。しかしこの男は、そのどれにも当てはまらない、どの人間も持っていない覚悟を持っている。

「お前、死ぬんがこわないんか?」若頭としてじゃ無い。極道この世界の先輩としてでもない。ただ、この若者に対して畏怖いふねんいだかせた為にれ出た言葉だった。

「ハン、死ぬの恐いて、冗談テンゴは止めてくれませんか?ワシは生まれた時から生きる為に生きて来た事なんかありませんで。ずっと死に場所を探して生きて来た。アイツと出会うまでは…

後の人生、ワシからしたら余生や。死に場所を探す旅の再開や」そこまで言うと、打って変わって子供の様に眠りに落ちてしまった。

最早、誰にもこの男を止める事は出来ないと市橋は思った。



一方、東京では、大変な事が起こっていた。光一郎が姿を消した後「連れ戻して来ますわ」と言って出た、浦川配下の花川と宇治田、臼井の3人が、備後組構成員18名を引き連れ、岡山組事務所に乗り込んだ。

狙いは玉野の命だった。花川は備後組若頭、磯貝 俊英と密約を結び、花川の兄貴分、浦川 茂樹の命だけは助けると言う約束の元、乗り込んで来たのだった。

岡山組構成員は、刺客に皆殺しにされ、磯貝は花川らとの約束も破り、浦川をも射殺してしまった。逆上した花川ら、三人だったが、三人も他の構成員により射殺、岡山組東京事務所は壊滅させられた。


「ハイ、岡山組事務所」

「い…市橋…東京コッチはアカン!裏切りや…スマン…後は…た…の…む…」

「アニキー!玉野のアニキ!」

岡山組の東京進出並びに玉野 哲也の磯貝への復讐は、風前ふうぜんちりごとく、呆気あっけなく消え去った。

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