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爆弾と呼ばれた男  作者: 岡上 山羊
新天地 東京へ
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訃報

"爆弾のタマミツ"の名は備後組内はもちろんの事、岡山組内、いては極道の世界全体に知れ渡っていた。光一郎の大柄な男や大人数を相手にしても、全く動じない強さ、度胸の良さは敵対する組織も警戒し、恐れた。

その為、岡山組の東京進出以前からの備後組敵対組織で、今や弱小化してしまった"牛窓会"を始めのする組織が、続々と岡山組傘下に参入し、岡山組自体の勢力拡大の手助けを担って行った。

こうなると玉野 哲也は、東京拠点を盤石なものに出来たと確信し、本来の本拠地である大阪にも力を入れるべく、人事異動を決断した。

先ず、大阪の市橋 博己を大阪の若頭に昇格させ、鬼塚 真也を若頭補佐とした。それからも、新しく参入した組織で一番に信頼の置ける"瀬戸組"の面々を大阪に送り込んだ。

そして、兼ねてからの光一郎の望みであった井上 彰を東京に呼び寄せる事とした。


「皆んなも知っての通り、光一郎のこの所の暴れっぷりのお陰で、岡山組ウチ大分だいぶんおおきゅうなった。そこでや、光一郎をワシの側近とする為、補佐に格上げしようかと思とる」玉野の鋭い眼光が光った。

「待って下さい、若頭カシラ浦川アニキは、どないしますねん!これやったらアニキをないがしろにしてるんと一緒でっせ」

浦川 茂樹の直ぐ下に付く、花川が食い下がった。

「アホんだら!若頭アニキの決めた事に、お前如まえごときが口出すなや」浦川は部下をたしなめた。

「しかしですね…ワシは納得…」花川が言っている最中に光一郎が口を挟んだ。

「花川さんの言う通りですわ。ワシは補佐やら何やらの肩書きに興味はあらへん。浦川さんでよろしいがな」光一郎の言葉に花川の表情は明るくなり「そやのぅ、お前、良う分かっと…」と言いかけた花川の言葉を遮り、光一郎が凄んで言った。

「勘違いすなや!ワシは変な役職付けられて、窮屈きゅうくつなんがイヤなだけや。まぁ、事務所一個任して貰える言うんやったら考えてもエエけどな」

組織クミ内の自分の力を当の本人である光一郎も自覚していた為、今や多少の無茶を言っても嗜める事が出来る者は玉野だけになっていた。そしてこれは、彰を東京に迎え二人で見た夢"二人で天下を取る"為の下地作りの意味をも含んでいた。

「まぁ待て。光一郎の言う事は良う分かった。補佐は浦川でエエとして、事務所一個は飛躍し過ぎや。もうチョイ待っとけ」

玉野の言葉を聞き、一同は不満を募らせた。確かにこの所の岡山組の大飛躍は光一郎の力あっての事である事は、全員認めていた。しかし、年功序列を重んじる世界のごうであろうか?光一郎のこの態度に全員が違和感を覚えていた。


その時、けたたましく電話が鳴った。

「アニキ、市橋です!大変ですわ!彰が…彰のヤツが殺されました」大阪からの耳を疑う訃報だった。

「何やと…彰が…殺された?」光一郎は玉野の電話での会話を聞き、茫然自失になっていた。

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