告白
ガチャガチャと言う音を聞き、光一郎は目を覚ました。寝室を出てリビングに向かうと、案の定、光一郎が予想した通りの状況がそこにはあった。
光一郎は百合の右手首を掴むと「大丈夫や!しっかりせぃ」と声を掛けた。しかし、百合には光一郎の声は届かず、自分の右手首を掴む光一郎の右腕に噛り付いた。"ウッ"と声が漏れたが、光一郎は構わず、そのままの体勢を保った。
最早、百合は野獣の如く「ウギャー!クスリ、クスリを頂戴」と唸り、光一郎の身体を殴り付けたり、噛み付いたりを繰り返した。
40分ほど経ち、ようやく百合は落ち着きを取り戻した。百合は魂が抜かれた様に、口から涎を垂らし、半分白目を向いていた。
光一郎はチェーンを外すと、服を全て脱がせ、百合を抱きかかえ、バスルームへ向かった。そして、老人でも介護する様に、全身を洗ってやった。
「アンタさぁ、アタシの全裸見て、何とも思わない訳?これでもアタシ…プロポーションには自信あるんだけど」百合は力無く言った。百合が言う様に、百合の身体は、年頃の男が見れば、直ぐにでも抱きたくなるほど美しかった。
しかし光一郎はその言葉を無視する様に「そんだけ喋れたら上等や。それより、ワシは汚いんは嫌いやからなぁ。いくら美人でも、こう臭かったら抱くに抱けん」と百合の身体を洗い続けた。
バスルームを出た光一郎は、百合の身体を丁寧に拭いてやると、自分のTシャツと、スウェットを着せてやった。
「流石にパンツは紙オムツやけど、我慢せぇ」と言いつつ、再び百合をチェーンで繋いだ。
「青島…青島 武」いきなり百合は口を開いた。
「何?何や、青島って?」光一郎が聞き返すと「アタシに覚醒剤を打ったヤツ。ウチの店の客で、アンタの思ってる通り、備後組の構成員よ。確か…イソガイって男の命令で、ウチの店の女、半分位はアタシみたいに覚醒剤付けにされてるわ。店のチーフも仲間で、覚醒剤を長い事やって、お金払えなくなった女は、みんな系列店の風俗店に沈められんの」
力は籠もらないながらも、ハッキリと百合は喋った。
「良う喋れたな、ほんで?その風俗店の屋号は?」光一郎は百合の髪を丁寧に拭いていた。
「ウチの店から東に50m位行った所にあるピンクサファイア」
「そうか、スマンな」光一郎は百合の頭をポンと軽く叩いた。「お礼を言うのはコッチだよ。アンタに会うのが後、一ヶ月位遅かったら、アタシも風俗店に沈んでた」言っている百合の瞳には、キラッと光るものがあった。
「もうチョイそのまんま、居ってくれるか、お前らの始末はワシが付けたる」
そう言って部屋を出て行く光一郎の背中を見ながら、百合は光一郎の身体から発せられる怒りと言う名の闘気の様なものを見ていた。




