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爆弾と呼ばれた男  作者: 岡上 山羊
新天地 東京へ
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東京事務所

東京に拠点を置く事となった岡山組は、新宿は歌舞伎町かぶきちょうにほど近い、西新宿に事務所をかまえた。敵対する備後組の事務所は、歌舞伎町の少し北に行ったゴールデン街近くにあり、双方の事務所が、歌舞伎町のど真ん中をはさむ様な形で位置付けられていた。

これは、備後組の資金源シノギの中核をになう歌舞伎町ににらみをかせ、きあらば、領地シマを奪ってやると言う、岡山組からの宣戦布告と言えるものだった。その事は、岡山組でも武闘派の前線を行く、浦川 茂樹、玉野 光一郎、そして浦川の下に付く甲本、真島に加え、河野 修一の下に付く兎我野とがのらが、夜毎よごとごとく歌舞伎町に送り込まれていた事からも分かった。

そして、若頭の玉野 哲也には組に、ある強みがある事も分かっていた。それは、資金源シノギのやり方が、岡山組内では覚醒剤シャブ拳銃チャカと言った物を扱う事を御法度ごはっととしていた。それに対して備後組はそれらを元手としており、備後組が大阪に進出して来た際も、これらを使い岡山組の領地シマを荒らす様になった事から敵対、抗争へと発展して行ったのだった。

一般市民しろうとからすれば、街の治安を崩し、犯罪の温床となるこれらは、当然の事ながら蔓延まんえんして欲しくはない。

つまりは、これらに睨みを効かせる事によって街ぐるみで岡山組コチラに取り込もうと言う算段だ。その為に、光一郎ら、武闘派達が、夜の歌舞伎町を見て回る日々が続いた。

これに対し、備後組の若頭、磯貝 俊英はジレンマを抱えつつも、動けずにいた。それは、誰よりも"マタテツ"と"タマミツ"の恐ろしさ、強さを身をもって知らしめられたからに他ならない。


「何やっとんじゃい!ワレらはあんなクソガキ共に何も出来んと毎晩帰って来よるんかい?」磯貝は、事務所でテーブルを蹴飛ばしながら叫んだ。

若頭カシラ、分かってます、オレらもヤツらが来たら、ちゃんと応戦をしてるんです。しかし、ヤツらはとにかく強い!特にあのタマミツとか言うガキですか?本当にオレらが束になってかかっても、アイツ中心に爆弾を落としたみたいに一気にられてしまいます。コチラが拳銃チャカを持っていようが、短刀ドスを持っていようが、関係なく倒られてしまうんです」

舎弟の小林は身体を前屈まえかがみに、両手を膝に付いて言い訳をした。

「また、爆弾…クッ、爆弾、爆弾、うるさいんじゃ!爆弾がこわあて、極道が出来るかぁ!…こうなったら闇討ちや、アッチに探させるんやのうて、コッチからあのクソガキを先に見つけて、拳銃チャカをぶっ放せ!」磯貝は咥えていた火が付いたままのショートホープをてのひらで握りつぶした。

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