表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
爆弾と呼ばれた男  作者: 岡上 山羊
極道の世界へ
18/50

タマテツの過去

「ただいま帰りました」光一郎は肩に傷だらけの彰をかついで岡山組じむしょに現れた。

「何や?どないしたんや?」ソファに座ってくつろいでいた玉野は驚いて立ち上がった。

光一郎は彰をソファに降ろすと「備後組です!備後組のヤツらが、コイツを拉致ってワシに一人で来いと連絡して来よったんです」彰は"ウウッ"とうめき声を上げて寝返りを打った。

「まぁ、取りあえず座れ。くわしゅう聞こやないか?」

玉野は光一郎にソファに座る様にうながした。光一郎は腰を降ろすと「若頭かしら、多分やけど、コイツ拉致ったんは、東京から来てる幹部連中やと思います」光一郎は横で横たわる彰の腰辺りをさすりながら言った。

「何やと?東京?おい、市橋、あれ…写真や」玉野は傷がえた市橋に、奥のデスクに目配せして言った。そして市橋から受け取った四枚の写真を光一郎に向けてテーブルに並べた。

「この四人はな、備後組のビッグ4と呼ばれとるヤツらや。こん中にソイツはおらんか?」

光一郎は写真に目を通して行って、左から二番目の写真を手にした。

「コイツですわ!この真っ黒いサングラス、間違いありません」それを見た玉野は暗いブラウンのサングラスからでも分かるほど目を見開いて、光一郎から写真を奪い取った。

「磯貝…このクソミソやったんか?なるほどのぉ」写真を手にする玉野の右手が小刻みに震えていた。

「若頭?どないしたんです?」ただならぬ玉野の様子に光一郎は嫌な気持ちを抱えた。

「ハイエナの磯貝や!コイツは極道や無い!汚い事で、のし上がって力を持っただけの、ただのチンピラや」横に立っていた市橋も、小刻みに身体を震わせて口をはさんだ。

「せや!光一郎、コイツは極道の風上にも置かれへんハイエナや」そう言うと玉野は写真をグシャと握り潰した。

若頭アニキ、後はワシが話すんで、アニキは奥で休んどって下さい」

市橋は玉野を奥の部屋へいざなうと、直ぐに戻って玉野が座っていた場所に座った。

「光一郎、磯貝はな、アニキの娘さんをレイプして、死に追いやったヤツや!そんで、アニキの報復を恐れて東京に逃げて行きよったんや」光一郎は耳を疑った。事実上、自分の父親オヤジである玉野に、そんな過去があったとは…

「そんなん、若頭が東京に追いかけて行ってコロしたったら良かったんちゃいますん?」珍しく光一郎は感情的にしゃべった。

「そこが、アニキのすごいトコや!アニキは私的な感情を押し殺して、大阪を盤石にするまで大阪ココを離れへんと言わはった。備後組のち込みにワシは行かれへんかったけど、東京進出をデカイ声でえはったんやろ?そん時に、多分アニキの脳裏には、ハッキリと磯貝の顔が浮かんどったと思うぞ」

何もかもが信じられない話しだった。光一郎とて、親切な人や優しい人に囲まれて育った訳ではない。しかし、こんなにも、人間からかけ離れた外道の話しは聞いた事も体験した事もない。どんな人間も最後には人間らしさや、その人が持つ美学の様なものを見せるものだ。

「クソ!そんなん知っとったら、あん時コロしたったのに」光一郎は両手の拳をテーブルに叩き付けた。

「光一郎、それはアカン!あんなクソミソ殺して、お前が刑務所ムショに行く様な事になったら、アニキはもっと悲しむ!エエか?光一郎、アイツには手を出すな。アイツの処遇はアニキに決めさせたってくれ」市橋の言う事は最もだと光一郎は思った。

「ほなら、ワシ…どうしたらエエです?ワシに出来る事は何ですか?」光一郎は訴える様に叫んだ。

「東京や…お前のお陰でアイツは必ず、また東京に逃げよるはずや。決着ケリはアニキが東京でつける事になるやろ」市橋の言葉にもくやしさをみ殺す感情が含まれている事が光一郎には分かったか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ