制圧
光一郎と彰の名前は徐々に備後組にも広まって行った。その為か、備後組が岡山組の領地に現れる事は少なくなっていた。そのお陰か?最近の呼び出しは、酔っ払いの素人客、相手くらいになって行った。
「素人さんには手を出すな」と玉野に強く釘を刺されていた二人にとって、少し物足りなさを感じる日々が続いていた。
そんなある日、組長の岡山源蔵の命が狙われた。幸い、近くにいた市橋博己と言う、玉野も一目置く男が組長を庇って右肩に銃弾を受けた。
周りの連中は直ぐ様、相手の鉄砲玉を追いかけたが逃げられてしまった。
これを期に、いよいよ備後組との全面戦争の様相を催して来た。
玉野は全員に完全武装させて「おどれら!分かっとんな、組長の命が狙われた。備後組の事務所に殴り込む!全員、壊滅させるつもりで行くど」と激を飛ばした。
こうして備後組に殴り込む事になった岡山組の面々の中、成長著しい光一郎と彰に切り込み隊を命じた。
一応、彰も光一郎も短刀を持たされたが「あんなクソ共に短刀使たら、腐ってまう!彰、素手で行くど」とすっかり武闘派が板に付いた口調で言った。
彰も自信を付け始めたらしく「おうよ!決まっとる、先手必勝やな?」と頼もしく返した。
実は備後組の本体は東京にあるらしく、大阪にあるのは言わば支部と呼ばれる所だった。その為か、備後組の事務所には、ほぼチンピラの寄せ集めと言った感じの烏合の衆の集まりだった。事務所自体も雑居ビルの二階にひっそりと構える物だった。
光一郎と彰は乗り込むや否や、入口付近にいた三人を一気に倒した。すると岡山組の面々が雪崩込む様にして、一気に押し寄せた。
備後組事務所には20名ほどの組員が顔を揃えていたが、いきなりの襲撃と岡山組組員達の勢いになす術がなく、アッと言う間に全員が大怪我を負わされてしまった。
結局、事務所を壊滅させるのに、岡山組側の犠牲者は無しで、たったの十五分足らずで完全制圧出来た。
「お前ら!良うやった!しかしな、これで終わりちゃうぞ!この舐め腐った備後組の本部に乗り込みじゃ!気合い入れて行けよ」玉野は奥のデスクの上に立ち、真剣を掲げて怒号を発した。
「分かっとりますわ、若頭!一気に行ったりましょう」誰から言うでも無く、言葉が発せられた。
これを期に、岡山組は一気に東京進出して行く事になって行った。




