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爆弾と呼ばれた男  作者: 岡上 山羊
極道の世界へ
10/50

警護

岡山組の資金源シノギほとんどは、繁華街で営業されている店からの警護代と言う名目の所謂いわゆる場代ばだいと呼ばれるものが八割をめていた。

あまり治安の良くないこの街では、夜の店は結構揉め事が多い。

その為、若頭でもある玉野は、腕の立つ勢いの良い若者を探していた。光一郎達がめた五人組もそんな中の1グループではあったが、利己が強く、組の為にどんな事でもすると言う集団ではなかったし、グループ内の揉め事も多かった。

その為に、玉野は目をかけてはいたが、正式に組に入れる事をはばかったのだった。そこに五人組を相手にたった一人で自分の仲間の為に戦った光一郎をスカウトしたと言う訳だ。

事情を知らない光一郎は、ちょっと彰が心配になった。彰は勢いは良かったが、正直な所、喧嘩は強いとは言えない。

武闘派で鳴らす"岡山組"の中にあって生き残って行けるかは、自分次第だと光一郎は肝に命じていた。


そんなある日の事、場代を徴収している一つの店から連絡があった。敵対している"備前組"のチンピラ三人が難癖を付けて暴れ回っていると言うのだ。

これに対し玉野は彰に一人で解決して来いと命じた。言うなれば、彰の最終試験と言った所だった。

光一郎は彰一人では無理だと訴えたが「これ位収められへんかったらこの先、ウチでやって行くんは無理や」と言い"一応護身用に"と短刀ドスを渡した。

しかし、これを使ってしまえば、警察沙汰は避けられないし、下手をすれば護衛すべき店まで営業停止などの迷惑をかけ兼ねない。そんな光一郎の心配を余所よそに彰は「心配すんな!まかしとけって」と言って事務所を飛び出して行った。

一時間ほどして、また店から連絡が入った。悪い予感は当たるもので、店のチーフは「来てもろた若いモンが半殺しの目に合うたで!玉野はん、どないしまんねん」と言って来た。

玉野は直ぐに光一郎に「収束カタ付けてこい」と命じ、光一郎が店に着いた頃、店の中は滅茶苦茶になっていて、備後組の者はもういなかった。

「こんなん言うたらアレやけど、ちゃんと金払かねはろてんのに、こんなん寄こされて敵わんわ」と店のチーフに彰をバカにされる様な事を言われた光一郎は「何やと?オッサン何、イキッとんねん!コロすぞ」と言ってはいけない事を言ってしまった。その時だった。

「何、分かった様な事言うとんじゃ!店の人の言う通りやろが」と怒声が聞こえた。光一郎が振り返ると、そこに玉野が立っていた。

玉野は店のチーフに謝罪して「今月の場代はいりまへん。それとこれは店の修理代にでも…」と金を渡した後「彰を連れて付いて来い」と言って店を出た。

事務所に戻った玉野は「光一郎、コイツは無理や!お前らの絆は分からんでもないがコイツはこの世界で生き残って行かれへん」と最後通告を告げた。

しかし光一郎は反論して「コイツはワシが責任持って鍛えるからちょっと猶予を貰えませんか?」と食い下がった。すると玉野は、ちょっと考え込んで「ほな、三ヶ月や!三ヶ月後にもう一遍いっぺん一人でヤラす!そんで出来でけんかったら、コイツには足洗あしあろてもらう」と告げた。

「分かりました…三ヶ月で何とか一人前に鍛えます」

そう言う光一郎の頬にツーッと汗が流れた。

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