表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/14

興梠の土地

 私は掃除夫である。

朝、団地の広場の掃除をしていた。

そこに小さな「立て看板」が有った。

 『芝生の中には入らないで下さい』

私はその地区を管理している興梠コオロギに聞いてみた。

すると昨夜また、三匹の興梠達が肩から籠を下げて網を持ったロシア兵の捕虜になったそうだ。

コレで五十匹の興梠達が、夜な夜なやって来る懐中電灯を持ったロシア兵の捕虜になってしまったそうだ。

ここは私達の土地であると怒っていた。

 お祭りの夜の事である。

小さなロシア兵達が数発の花火を私達の土地に投げ込んで行った。

みんな息を殺してロシア兵の去って行くのを草葉の陰から覗いていた。

三匹居る螽斯キリギリスだけは大声で喋っていた。

螽斯の一匹は片脚が無い。

アイツは残虐なロシアの捕虜収容施設から解放されたヤツだと、螽斯の友達が話してくれた。

その日から片脚の螽斯は精神に異常をきたし、昼夜大声で喋っているらしい。

興梠達はこの螽斯の周りには近付かない。

喋り声を聞いてロシアの狙撃兵が殺虫剤攻撃をするそうだ。

だから昨日、仲間と看板を立てたと言った。

 『芝生の中には入らないで下さい』

翌日、八匹の興梠達の遺体が看板の周りに放置されていた。

やったのは肩から籠を下げた、『ロシアの憲兵』達だと言っていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ