arc-en-ciel(アルコンスィエル)#5
arc-en-ciel#5
-HOMARE-
今日は授業もバイトも無い日……暇……めっちゃ暇……
海美さんと珠莉さんは早番、七瀬さんは図書館の仕事、陽は今日は18時までビル清掃のバイト。
久しぶりの1人⋯寂しいなぁ⋯
最近は、陽と話すようになって、授業のある日は、毎回一緒に登校して、陽の隣で授業を受けてる。
陽は、一緒に授業を受けたり、arc-en-cielに帰って、海美さんと珠莉さんが夜勤の時以外は夜までだいたい皆でワイワイ喋っていたり、海美さんと珠莉さんが夜勤の時は七瀬さんと3人で話してる事もあるし、陽と2人で課題をしていて、最近は笑顔を見せてくれるし、思ってる事をちゃんと伝えてくれる様になった。
arc-en-cielで過ごす時間が本当に楽しくて、本当に幸せ。
おばあちゃんと2人の時は、帰って、自室でネッ友とSNSのDMで話して居る事が多かった。
私が唯一DMで話すネッ友のキャロちゃんこと、キャロルセブン君、5年前にSNSを始めた頃、私の好きなテレビアニメの感想のつぶやきにいいねくれたのがきっかけでコメントしたり、コメントくれたりが始まって、フォローしあって、3年前くらいからDMで話してる。同じ年の男の子という情報しか知らないけど、顔を知らないからこそ、何でも話せたりする。
ちょっと久しぶりにキャロちゃんにDM
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to キャロルセブン
ちょっとだけ久しぶり!最近、引越しとかあってバタバタしてたよー☆
最近は、友達ができたんよー!めっちゃ綺麗な男子なんやけど、めっちゃ笑顔も可愛くて、話してて楽しくてさー、初めてクラスで一緒に居れる子が出来て、学校も楽しめてるよ☆
キャロちゃんは最近はどう?
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from キャロルセブン
久しぶり。友達が出来ることは良いことやね。
楽しそうで何より。
俺も実は最近友達が出来て、楽しくやってる。
本当に優しい子でさ、素直で、ちょっとドジでwすごい元気をくれる人でさ、
そんな存在があるってこんなに生活に彩りが出るもんなんだなって思う。
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toキャロルセブン
キャロちゃんも楽しそうで何より☆
いいねー☆彩りをくれる存在かー☆
お互い楽しめてるね☆良かったよー☆
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キャロちゃんとDMをしていると、遠くで、玄関のドアの音がした。
七瀬さんかな?
数分後、ノックの音がして、七瀬さんが顔を出した。
「穂稀ちゃん。ドーナツ買ってきたけど、一緒にお茶しない?」
「七瀬さんおかえりなさい。ドーナツ食べたいです!」
リビングに行くと七瀬さんが紅茶とドーナツを出してくれた。
七瀬さんは、ご両親が亡くなって、観光客向けのホステル経営をしていたこの家と同じ大きさの家をもう1つ相続して、1度結婚したけど離婚して、家族が欲しくてこのシェアハウスを始めたらしい。
そして、職場でもらったけど誰かと行かない?って水族館のチケットを2枚くれた。
「陽でも誘ってみようかなー」
「最近、陽と仲良いよね。穂稀ちゃんと仲良くなって、陽に笑顔が増えたって、海美も嬉しそうだったわ」
「私、お友達ってバ先が同じの幼なじみしか居なかったから、陽と仲良くなれて、学校も楽しいです。陽は綺麗やから、はじめは目のやり場に困ってましたけど、話すと面白くて、素直で、めっちゃ笑顔が可愛くて……」
「うち、ハウス内の恋愛はOKやからね」
「なっ……///いやいや」
「ん?穂稀ちゃん、彼氏居るの?」
「いませんけど、陽みたいな綺麗なモテそうな子と私って釣り合わないですよー」
「穂稀ちゃん可愛いよー」
「可愛くないですよ///七瀬さんも海美さんも珠莉さんも陽も顔面偏差値高すぎて、私はいつもどうしようってなります。」
「私も顔面偏差値高い側に入れてくれるの?うれしー」
「めっちゃ綺麗ですよー。並ぶと私だけ格下どころか下過ぎて……」
「それはないって」
―カチャっ
「ただいまぁ」「ただいま」
海美さんと珠莉さんが帰ってきた。
「海美さん、珠莉さん、おかえりなさい」
―ギュッ
「ただいまぁ」
「珠莉さん///」
「2人ともおかえり」
「美華ちゃんと穂稀ちゃんの2人で喋ってたの?」
「お茶してたの。穂稀ちゃん、自分の事可愛くないなんて言うんよー」
「えー。穂稀ちゃんはめっちゃ可愛いよぉ」
「か、可愛くないですってー///」
「さ、そろそろ陽も帰ってくるかな?夕飯の支度するわねー」
「今日、にんじんしりしりが食べたいんやけど、着替えたあとに作っていい?」
「お願いするわー」
七瀬さんはキッチンに入って行って、海美さんと珠莉さんは部屋に着替えに行った。
―カチャっ
「陽おかえり!」
「ただいま」
「ねえ陽、さっき、七瀬さんから水族館のチケットもらったんやけど、良かったら一緒に行かない?」
「ありがとう⋯でも、俺で良いの?」
「なんで??」
「俺と二人行動って疲れないかなって……」
「またそんな事…変な事気にしないの!って次そういうの気にしたら、怒るからね!」
「ありがとう。」
「いつがいい?来週の金曜日の授業ない日はバイト?私はバイト休みなんやけど」
「その日はなんも無いよ」
「OK!水族館なんて何年ぶりやろー。めっちゃ楽しみ!」
「俺も楽しみにしてる」
陽にチケットを1枚渡すと、陽は部屋に荷物を置きに行った。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
―HIKARU―
「なーにニコニコしちゃって」
穂稀からチケットを受け取り荷物を置きに行くためにリビングから出たら姉ちゃんに話しかけられて、心臓が止まるかと思った。。
「姉ちゃん、別に///」
「ふーんw陽、色んな意味でおかえり」
「え?色んな意味?」
「陽の自然な笑顔が最近多くて、毎日楽しそうで、姉ちゃんは嬉しいの」
「うん。俺と嫌がらずに会話してくれる子は初めてやから。姉ちゃんに勧められてとりあえず決めた学校も含めて毎日が楽しいよ。姉ちゃんのおかげでここまでやってこれて、 20歳過ぎてこんなに毎日が楽しくなるなんて思って無かった」
「なーに。泣かせにかかってる?⋯でも本当に良かった」
部屋に入り荷物を部屋に置き、初めてスケジュール帳に水族館なんて書き込んだ。……ダメだ……嬉しい……
嬉しすぎて蛍光マーカーを取り出してスケジュール帳の金曜日を囲ってしまった。。女子か///はずっ……。
リビングへ降りると夕飯が並び、全員揃っていた。
「陽、この珠莉さんが作ってくれた、にんじんしりしりめっちゃ美味しいよ〜」
前に座った穂稀がイタズラっぽい顔で……
「穂稀、俺の分も食べて身長伸ばすといいよ」
「とったげようか?」
「お気持ちだけいただきます」
「っていうか、穂稀、家は教室と違ってガヤガヤしてないし、手話つけなくても声は聞こえてるから良いのに。疲れるやろ?」
「穂稀ちゃん手話うまいよね?日常会話程度じゃない気がするけど…本当に大学で授業取ってるだけ?」
姉ちゃんが穂稀の手話を見て話しかける。確かに穂稀の手話は読み取りやすい。
「あ、実は、手話は小学校5年の時に勉強し始めました。」
経験値長い!!
「おー。凄いねー。きっかけは??」
「小学校5年の時に、聴覚障害の方のドラマがテレビでやってたんですけど、そのドラマにハマって観てて、普通に会話するのってお互いがそっぽ向いていても成り立つし、お互いがスマホ触ってても、違う事してても成り立つけど、手話ってお互いが顔をしっかり向けて、表情と口の形、手の言葉とセットでないと通じ合わない言葉で、それがすっごい素敵って思って、覚えたいって思って、お小遣いで手話の本を買って勉強し始めました。ネットの動画とか、手話の出てくるドラマや映画を音声消して、手話を読み取る練習したりして、だから大学までは完全独学なので、手話は大好きな言葉なんですけど、ちゃんとあってない事もたくさんあると思うし、レベルは低いって思うんです。だから陽と話してて間違ってたらごめんねって感じなんです。」
「陽、珠莉、何?この素敵な子」
「ね〜。泣きそうになるよぉ」
「ありがとうございます///」
「穂稀の手話は凄いわかりやすいよ」
「ホント?やったー。間違ってたら教えてね」
キラキラした目で語る穂稀は本当に人として魅力的。
ん……?動悸が……
#6へつづく