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arc-en-ciel(アルコンスィエル)#3

arc-en-ciel#3

珠莉さんがお風呂へ行って、ソファーの反対側にはミネラルウォーターを持った海美さんが座った。


「珠莉とどんな話ししてたの?」


「あぁ、えーっと、ここに入居されて長いんですか?って私が聞いて…」


「私も珠莉も同時入居やからもう12年やね。早いわー」


「中学からずっと仲良しって素敵ですよね」


「中1の時に珠莉が転入してきて、高校も同じとこ行って、大学は離れたけど、珠莉は看護学校やからね。私は親が離婚してるから、高校から1人暮らししてて、椿ホームに珠莉と入職して、たまたま飲み屋で知り合った美華ちゃんのとこに2人で入居して。。。」


「珠莉さんと本当に仲良しなんですね」


「ま、多分珠莉が居なかったら中学の時に命落としてたやろうしなー」


「えっ!」


「私、母が自分の思い通りにいかないと気が済まない、手をあげるなんて当たり前のいわゆる毒親ってやつでさ小学校の時はイジメにもあってたから、珠莉が初めての友達やったんよ。高校の時に母ができちゃった再婚するから出ていけって言われて1人暮らし始めたんやけど、珠莉には本当に支えて貰ってるよ」


「心友な親友なんですね」


「んー。珠莉は永遠に特別な存在かな。」


「それって…」


「関係壊したくないし、離れたら嫌やから珠莉には内緒やでーっ?」


「めちゃくちゃ素敵です!」


「ほんと?」


「本当です。恋愛に性別は関係ないですよ」


「珠莉の言う通り、いい子やなぁ」


海美さんに頭を撫でられる


「そぉ言えば、今日藤城さん見てないですね」


「あぁ陽?部屋やないかな?」


「藤城さん、大人しい方ですね。同じ大学やって教えてくださったじゃないですか?でも多分同じの受けてないのかな。お見かけしたことなくて。話しかけてもいいかわからないです」


「あぁ。でも高齢者介護学科やから同じくない??大人しいか…声は私も何年も聞いてないな」


「え?」


「あぁ、さっき話した母ができちゃった再婚した時の子が陽。異父姉弟なんやわ」


すっごい美形の異父姉弟やん!


「陽は昔から外見が女の子みたいな可愛い子で、それが原因でイジメにあってて、さっきも言ったように母は毒親。そんな、色んなストレスが溢れてしまって陽は声を忘れてしまってん。」


「あの…耳は…」


「耳は聞こえてるけど、でも人よりも聴力は若干弱くて、ストレスで声を無くしたから、周りは声で伝えるけど、陽は筆談や手話で表現するんよ」


「手話で話しかけるのは大丈夫ですか?」


「できるの??」


「一応、日常会話程度は…大学で手話の授業もとってるので」


「えー。ホンマに?陽に話しかけてあげて!絶対喜ぶ!仲良くしてやってー!」


「はい!」


……ガチャ…


「ふー。ただいまぁ」


珠莉さんがお風呂から戻ってきた。


「珠莉おかえり。確かに穂稀ちゃんいい子やわ」


「でしょー。珠莉の妹。穂稀ちゃん、一緒にアイス食べよっか」


その後、七瀬さんと珠莉さんと海美さんとおしゃべりしながらアイスを食べた。

凄く暖かい雰囲気で落ち着く空気感…素敵な時間やな。。。


こんど、藤城さんに話しかけてみよう。

仲良くなれたら嬉しいな


。。。。。。。。。。。。


5日後


「ただいまでーす」


玄関入って、皆が予定を書き込むホワイトボードを見ると、海美さんと珠莉さんは遅番で帰宅予定は20時


七瀬さんはお友達とお食事。キッチンにシチューを作ってあるから各々で温めて食べてねって書かれてる。


ありがたやー


ドアの鍵は開いてたから藤城さんは居るのかな?


今は18時前か…夕飯には早いし、先にお風呂入るかな。


お風呂を済ませてリビングに入ると、藤城さんがソファーでテレビを見ていた。


「藤城さんこんばんは。お疲れ様です」


藤城さんの肩を叩いて、手話で話しかけてみた。


「手話できるの?」


「はい。一応。ちゃんと挨拶してなくてごめんなさい。早田 穂稀はやたほまれです。よろしくお願いします。」


藤城陽ふじきひかるです。よろしく」


「海美さんから、藤城さんが同じ歳で同じ大学やって聞きました。私は高齢者介護学科です。」


「俺もです。」


「同じ授業受けてますか?すみません。存じ上げなくて」


「俺は、声出ないから、当てられないように、1番後ろの窓際にいつも座ってるんです」


「今日の、医学の授業と、社会福祉概論の授業居ました?」


「もちろん」


「そうなんですね。」


「大学では誰とも交流してないから、こうして手話ができる人がクラスに居るって知って嬉しいよ」


「私、藤城さんと仲良くなりたいです。たくさんお話ししましょう」


「ありがとう。陽でいいよ」


「私も穂稀でいいですよ」


「敬語も無しで」


しばらく陽と話していたらお腹空いてきた。


「陽、ご飯食べた?」


「まだ。」


「シチュー温めて食べない?」


「食べる」


シチューを温めてると肩を叩かれて振り返ると陽が、トマト好き?って聞いてきたから、好きって答えると私の分も切ってくれた。トマトが大好きで、スーパーで買ってきたらしい。


テーブルに向かい合わせに、2人分のシチューとご飯、トマトを並べて一緒にいただきます。


すると、陽が難しい顔をしてる


「陽どうしたの?」


「にんじん」


「ぷっ…嫌いなの?」


「おいしくないし」


「大きくなれないよw」


「174cmもあるから大丈夫」


「もったいないオバケが出るよw」


「俺は子供かw」



「ただいまぁ」

「ただいまって…陽が…にこやかに笑ってる」


海美さんと珠莉さんが帰ってきた。


「海美さん。おかえりなさい。陽がにんじん食べないんです」


「穂稀がもったいないオバケがでるとか言うしw」


「めちゃくちゃ仲良くなってるやん。うんうん。嬉しいよ」


「穂稀ちゃん、手話できるんやねぇ。珠莉の妹すごぉい」


その後は4人で夕飯を食べて、

皆でメッセージアプリの交換をして、23時までワイワイ話していた。


。。。。。。。。。。。。。。。。。。


翌日

大学へ行き、1番後ろの窓際…居た!


「陽!」

「穂稀。おはよう」

「隣良い?」

陽の隣に荷物を置いて座った。

「隣に人が居るの初めてだ…」

「今日、2人1組のグループワークやで。一緒にしない?」

「俺、発表出来ないから穂稀に負担かけるよ?」

「そんなの気にしない!それに、わからないとこはできる限り通訳もするよー」

「そんな迷惑かけたら悪い」

「いいの!っていうか、他に友達居ないから、グループワークもする人居なくて…陽はクラスの友達第1号なんよ」

「友達…ありがとう」

「っていうか、私、大学以外も友達作り下手すぎて、仲良しなのは、バ先が同じの幼なじみと、ネッ友が1人居るだけなんよね」

「友達多そうなのに?」

「そう見える??人付き合い超下手なんよ」

「俺も友達はメールだけやから続けれてるネッ友1人しか居ないな」

「じゃあ、私、陽のリアル友達第1号??」

「うん。友達か…俺と友達になってくれる人が居るのに驚いてる…」

「やったねー。でも陽、ファン多そう」

「いないいない」

「ホンマに?」

今日は、グループワークも授業も陽と一緒に楽しく過ごせた。

グループワークを楽しめたの初めてやなぁ…


「では今日の授業はここまで。」


先生が出ていったら陽に肩を叩かれた。

「グループワークにちゃんと参加出来たの初めてだった。穂稀、ありがとう」

「私もやでー。友達居ないからさ。」

「でも、俺の隣だと疲れるやろ?」

「なんで???」

「発表1人やし、通訳までしてくれたり…」

「そんなの全然苦じゃないし、なんともないから。これからも、陽の隣きていい?」

「穂稀が良いならいいけど、しんどくなったり、面倒になったら離れなよ?」

「絶対に面倒になんかならないって!」



#4へつづく







 

 

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