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arc-en-ciel(アルコンスィエル)#1

arc-en-ciel#1

早田 穂稀 大学2年生


ぼーっと商店街の不動産屋のウインドーに並ぶ物件チラシを見ている。


敷金礼金って何?はい。無知です。


おばあちゃんが3ヶ月前、心不全で入院、ずーっと寝たきり生活で退院が決まったけど歩けなくなってしまった。


おばあちゃんと2人暮らししていた狭いアパートに車椅子で帰ってこれるわけなく、福祉大学の学生で、介護士の卵の私にもまだ介護のスキルはなく、叔父はおばあちゃんを高齢者施設に入所させる決断をした。


私の母は私が3歳の頃交通事故で他界、父も10歳の時に病気で他界した。おばあちゃんと暮らしたアパートか、外に出て1人で暮らすかの選択をしなければならなくなった。大学の学費は叔父が卒業まで面倒をみてくれると言うけど、叔父の家に私が住むスペースなんてないらしい。私は、外に出て1人暮らしという選択をしたけど…なんせ世間知らずというか自分の知識の無さに嫌になる…


バイトはしてるけど、貯金なんてないし…家賃、生活費、自分でなんとかしていくとなると厳しくて、出来れば月末には引っ越して欲しいという叔父の言葉に笑顔で軽くOKしたのだが、進展しない…あーどうしよ…


とりあえず、バイト行くか…


バイトはカフェで、今日は保育所時代からの幼なじみであり、仲良しな2つ歳上の美紅お姉ちゃんと同じシフトの日。


美紅ねえはいつも優しい笑顔で、あったかい空気で包み込んでくれる大好きな人。


「おはようございまーす」

「ほまちゃんおはよー」

「美紅ねえ。おは」

「んー…よし、ほまちゃん、今日は美紅の家にお泊まりねー」


バイト先に入って美紅ねえに挨拶したら何かを察したらしい…


美紅ねえにはなぜかいつもバレるんだよね…




バイトが終わって、美紅ねえの家で、美紅ねえが作ってくれた温かいお鍋をつつく。


めっちゃあったまる…料理スキルのない私は、最近コンビ二弁当やスーパーのお惣菜ばっかり食べていた。


「美味しかったー」

「うん。ほまちゃんスマイル57%やね」

「ぷっ…57って微妙な」

「今日会った時は55%やったやん。鍋効果2%頂きましたー」

「こんな美味しい食事で効果2%はないでしょ」


「はい。ホットミルクティー。ゆっくり飲んでテレビ見たらいいよ」


何か察してもいつも無理に聞かない優しい人なんよなー


ソファーでミルクティーを啜る美紅ねえの肩に頭を乗せる


ミルクティーをテーブルに置いて、頭を撫でてくれる優しい手に涙が出そうになる…


「美紅ねえ…あのね…」


私は美紅ねえに、おばあちゃんが入院した事から、月末に家を出なきゃいけない事を話した。


「そっか…ほまちゃん頑張ってるね。話してくれてありがとう。一応1人暮らしの先輩やし、もちろん協力するから頼ってくれていいよー。よし、PCだー。先にゆっくりお風呂入っておいで」


お風呂から上がると、美紅ねえにちょいちょいって呼ばれた


美紅ねえは1人暮らしもいいけど、低価格で住める学生専用のマンションやルームシェア物件がある事を教えてくれた。


学生専用マンションもルームシェア物件も敷金礼金無しの所が多いけど、学生専用マンションは卒業したらでないといけない。ルームシェア…女性専用とかあるんや…お?食事付きなんてのもある…良いかも!


翌日


大学は今日、朝イチの授業1つしかなくて、バイトまで3時間もある。


近くの図書館にパソコンを触りに…ルームシェア物件を調べていた。



結構あるけど、やっぱり人気なのかなー…何枚かプリントアウトボタンを押して、カウンターに取りに行く。


「すみません。プリントアウトしたんですが…」


「はーい。ちょっと待ってね!」


50代くらいかな?何度か話した事ある、めっちゃ綺麗なお姉さん…めちゃめちゃ話しやすい人。ワンピースにカーディガン姿が可愛い感じ


「おまたせ〜。5枚ね。白黒やから1枚5円ね。貴女…一人暮らし始めるの?」


「はい。」


「へ〜って、シェアハウス物件ばっかりじゃない」


「まあ、安いとこ多いし…学生専用マンションとかシェアハウスを探してて、でも、女性専用のとこは人気だったり、大学から遠かったり」


「そっか。学生専用ではないけど、ここから歩いて行けるシェアハウスのオーナー知ってるよ。多分ほかより安くて、食事付きでおすすめだよ」


「え!!!どこですか??私、本当に早急に探してて、教えてください!」


「ネットや不動産に任せてないとこだけど、1度、時間ある時に話し聞くといいよ。」


そう言ってお姉さんは、メモにシェアハウスの住所と電話番号を書いてくれた。


「arc-en-cielアルコンスィエル…オーナー 七瀬美華」


「お姉さんありがとうございます!」


お姉さんによくよく頭を下げて、私はバイトに向かった。



帰宅し、お風呂後図書館のお姉さんにもらったメモとスマホを取り出す。



ドキドキ…


「はい。もしもーし」


発信音が少し流れたあと女性の声が


「もしもし、えーっと、私シェアハウス物件を探してて、図書館の…名前わかんないけど、お姉さんに教えて貰って電話しました」


「はーい。存じてますよー。うち見にくる?」


「はい!是非!あさってならバイトお休みなので、午後は空いてます!」


「15時でもいいかな?」


「はい!よろしくお願いします!私、早田 穂稀って言います!」


「早田さんねー。待ってるわー」



翌々日


私はarc-en-cielへ


うわ!可愛い大きなお家だー


ドキドキ震える手でインターホンを押すと、ドアから顔を出したのは…


「え!?図書館の?」


「えへ。いらっしゃい。さ、入ってー」


図書館のお姉さんだった。

「そこ座ってー」


お姉さんがお茶を出してくれる


「改めまして、ここのオーナーの七瀬美華です」


「早田です。よろしくお願いします」


「そんなかしこまらないのw」


「あ、えーっと」


私は経緯を話した。


「大変ね。うちは、7部屋あって、私含めて今の住人は4人。年代はバラバラ。敷金礼金無し、家賃は、食事は私に任せて貰って、家賃+水道代、電気代、ガス代、食事代込の月2万5千円、個室鍵付き、お風呂とトイレは共同ね」


安い!大学からはおばあちゃんの家より近い!バイト先も近い!便利すぎる!


「うちはシェアハウスやけど、家族みたいに仲良く、みんなが落ち着ける、みんなの家にしたくてね。あ、一応部屋見とく?」


そう言って、七瀬さんは部屋を案内してくれた


「全部屋同じ大きさ、8畳のロフト付きー」


「めっちゃ広!今のおばあちゃんの家の私の部屋より広いです!」


元の部屋に七瀬さんと戻る


「早田さん可愛いから私は歓迎するわ。お返事はまた連絡でも」

「ここに住まわせてください!」


「え?そんな即決w」


「よろしくお願いします!」


「こちらこそよろしくね」


こうして、私はarc-en-cielの一員になった。


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