開店準備
バイトや予定がなく5連休に突入した我。
明日から何をするかウキウキで堪らなく帰り道で、いつもは寄らないコンビニで客の足元を見ているような価格設定をされたポティチ―とコーラを買い込んだ。
レジ袋いっぱいに詰め込んだポティチーとコーラを持って帰っていた、その時から、何らかの違和感を覚えていた。
「何か忘れているような……まぁそのうち思い出すか」
これがのちの悲劇を生むなど、まだ我は想像もしなかったのだ。
1日目
とても優雅だ。平日ということもあり、謎の高揚感があり、朝、学校に通う学生や、会社に向かうサラリーマンをアパートの窓から見ていた。
「働け働け社会人共、そして学べ若人よ」
そういうのは、タワーマンションに住めるレベルになってからやるもんだ、と心の片隅で思ってしまった。
少し恥ずかしくなったので、すぐにカーテンを閉めた。
しかし家でやることは特になく、小説を綴るか、ゲームをするかのどれかで、自己啓発本に乗っているような、自分磨きは一切しない。
そんな事に時間をかけている暇があったら一秒でも長くダラダラしたい。
「ゲーム、ゲーム」
ゲームは飽きない、我はゲームをするためにバイトをしている。
「バイト、そろそろ営業が始まる時間か」
まぁ、我は休みなので関係ないんだけどね~。
3日目
さすがに、家の食料が尽きたので、買い物に行くことに、ついでにバイト先でお菓子でも買いに行くか。
説明をしていなかったが、バイト先は駄菓子屋である。
意外にも可愛いバイトをしていると思ったかもしれないが、そう、我は可愛いのだ。多分。
ここで魔法カードを発動!!
『従業員の特権』この効果は社割で駄菓子を1割引きで買うことができる。
うん、お菓子も補充できた、従業員の人に挨拶を済ませ、また、我の城に帰還した。
まだ二日ある、早く今やっているゲームをクリアしなくてはならない、何故ならこの休暇中、我の生活リズムは狂いまくっているからだ。
正しい生活リズムに戻さなくては絶対遅刻してしまう。
5日目
朝の5時、やっとクリアした。
長かったようやく全クリだぜ、目と頭が痛い。
さすがに徹夜はきついぜ、一度集中すると、平気で6時間くらいは没頭してしまうから歯止めが聞かない。
すまないが体を休ませてもらう。
5日目は、ほぼ寝て終わった。
6日目
現在、深夜の1時、全く眠れない。
そうか、俺の5連休はもう終わっていたのか、そして今日はバイトの開店準備が我になっている、しかも一人、絶対に遅刻できない。ならば、いっそこのまま起きるのがいいかも。うん、そうしよう、それが良い。
我は深夜が大好きだ。
お昼は学生の声や車両の音で騒がしいが、深夜になると街から音がなくなる。
我だけしかこの街にいない気がして、自分だけの世界にいるみたいだ。
「このまま起きて、お日様を迎えるとするか」
深夜5時、ここまで来るともう朝だな。
開店準備は9時からだ、家からは8時30分頃に出れば間に合うだろう。
少し寝ようかな、仮眠は大事だしな、そうしよう。
我は、ベットの上で仰向けになり、温かい毛布を掛けた。
「あれ?ちょっと待てよ……そういえば、バイト先の鍵って持っていたっけ?」
我は、ベットから飛び上がり、カバンの中、家の鍵置き場を見て、絶句した。
「思い出した、鍵を持って帰るのを忘れていたんだ」
痛恨のミス、鍵がなければ、バイト先に入れない、しかも、今日は店長が休みだ。
朝は我しかいない!
オーマイガー!
休みに入る前に何か忘れているような気がしたが、そうだ、鍵だよ鍵。
何でちょうど、眠たくなった時に思い出すんだよ。
どうしよう!考えろ考えるんだ。
我なら冷静に何とかできるはず、失敗を失敗で終らせてはいけない。
クソ!3日目にバイト先に寄ったのに、その時に思い出していれば、こんなことには!いや、今は反省より行動だ。
うーんうーんうーんうーん。
考えた挙句、店長に連絡して、鍵を持ってきてもらう他ないと結論づけた。
「店長の家遠いのに申し訳ないが、連絡しない方が良くない」
我は、社会人としての常識はあるが、何故かいつも、何者かによって意図的に足を引っ張られている。
その何者かの事を、【ADHD】と呼んでいる。
結局店長に鍵を持ってきてもらった‥‥‥‥。