1章 ---4(黒と赤と学級委員長)
黒井美理と 赤間信也のクラスの
1年1組の 学級委員長は 片山理子
という 女子生徒だった。
片山理子は とてもリーダーシップが あったので
みんなの推薦で 1年1組の学級委員長に
なったのであった。
その片山理子は ちょっと おせっかいなところも
あって 赤間信也が 黒井美理のことを
好きということを なんとなく感じとっていたので
何とか 告白させようと思っていた。
そして学級委員長の 権限で この二人が
放課後に 掃除当番を同じ日に させたのであった。
こうして 6月の中旬に 赤間信也と
黒井美理は 掃除当番を同じ日にすることに
なったのだった。
そんな片山理子のはからいもあって 今
1年1組を 掃除はじめの二人がいて
赤間信也のほうは とてもドキドキしていたが
黒井美理のほうは ただただ 日常が
過ぎて行くことを 祈っていた。
黒井美理は 赤間信也の誠実さと 正義感の強さは
良く知っていた。
だが黒井美理自身の 霊能力を
持っているせいもあって 少しの恋心が
あったとしても 好きという感情には
なっていなかった。
この二人が ちぐはぐしながら掃除を
しはじめたが 二人の思ったように
掃除が 進まなかった。
赤間信也は 自分自身で思った以上に
緊張していることがわかってしまったので
どうしていいのか わからずにいた。
しかし さすがにオロオロすることは
なかったが 思った以上に 動揺している
ところだった。
そんな赤間信也を見て 黒井美理は
いつもと様子が違うので どうしたんだろうと
少し 心配しはじめていた。
そして 少しの勇気を出して こう言った。
「あの 赤間くん なんだかいつもと
様子が違うけど どうしたのですか」
と いうふうに 黒井美理が話しかけた。
そう話しかけられた 赤間信也は こう答えた。
「いやその そういえば 黒井とこうやって
二人っきりになったことが なかったなって
思ってしまったんだ。
だから ちょっと緊張したんだ。
なんか変だったら ごめん」
そういうふうに 赤間信也は 緊張したことを
伝えた。
だが本当の 本音の部分の 好意を
持っていることが 好きってことは
まだ言えなかった。
そういうふうな やり取りがあっただけで
片山理子の 思惑通りに ことは
進まなかったのである。
しかしながら 赤間信也と黒井美理の関係は
この出来事が あってから ちょっとは
良くなっていたのだった。
そういう6月の二人の 出来事だったのである。






