3章 ---5(陰陽師 負ける)
安倍勇は それでも
「この結界を破られないないかぎり 負はしない」
と 強気に言い放っていた。
それから もっと結界を強化しようと
五芒星の印が 押してある札を
ありったけ取り出して 複雑な印を
手の指で結んで 何重にも結界を強化した。
パァーっと光り輝くような さっかくに
おちいるような 結界を 安倍勇が作り出して
「魔女である お前なんかに 負けはしない。
この結界は 破られるものか」
と もうあとがない 安倍勇が
そう 自分自身にも 言い聞かせるように
言っていた。
「ウフフ なにを強がっているの?
なんて哀れなんでしょう。
そんな力しかない 人間の分際で。
愚かしいわ。
私の前から消えなさい」
と 魔女こと白井久美子が 哀れみの顔で
そう言って 一歩 前に出た。
そして 白井久美子が 右手を左から右に振った。
その瞬間 結界が薄れだしていって
あっという間に 結界を破っていたのだった。
あまりにも一瞬で 簡単に結界が
破られてしまった 安倍勇は
顔面を蒼くしながら 自然と震える足で
「なんて化け物なんだ」
と そうひとこと 言うのが限界だった。
安倍勇は あまりの恐怖に 白井久美子に
背を向けて 脱兎のごとく 逃げ出した。
そうして 白井久美子が 圧勝の形で
勝負がついてしまった。




