前科7 栗見さんとソーシャルハッキング
クラス委員長の山田くんに頼まれて、教室まで荷物を運ぶお手伝いをした。
「布里須くん、手伝ってくれてありがとなー」
「どういたしまして。委員長の仕事って大変なんだね」
「まーなー。でも皆の役に立てるし、やりがいあるよ」
山田くん、良い人だなぁ。
背も高くて顔も良いし、おまけに性格まで良い。僕とは違ってモテるんだろうなぁ。
「そういや俺達、連絡先まだ交換してないよな?」
「そうだね」
「交換しよーぜー。ID教えて?」
「ちょっと待ってね」
スマホを取り出し、メッセージアプリを起動。自分のIDを表示させる。
「はい」
山田くんに向けて画面を見せた。が、僕達の間に、別の顔がにゅっと割り込んできた。
悪戯っぽくニヤける顔。だけど、そんな顔もとっても可愛いい栗見さんだ。
「ほーほー、これが布里須くんのIDか〜! 登録しちゃお〜!」
自身のスマホを取り出し、勢い良く画面を操作する栗見さん。
直後、僕のスマホが震える。栗見さんから可愛らしいスタンプが届いていたのだ。
「えへへ、布里須くんの連絡先ゲットしちゃった〜」
にっこりと咲く、満面の笑み。
「キャッシュカードの番号も教えてあげる!」
「いらないよ!」
「布里須くん、俺は……?」
本日の罪状:なし(現行の法律では罪にならず)