~第四章 霧生流~
「んんん」中々の寝心地にビックリした。
「やっぱ死んでても夢は見るのか」
時計を探してみたが部屋の中にはなかった。
「天国には時間とかないのかな。でも夜はちゃんと来るしな」
そんなことを考えているとドアがドンドンドンと音を立てた。
「咲也ー起きてるー?早く起きないと遅刻するよ~」
「早くしてねー」
制服のままだったので着替えず、顔を洗って、歯を磨き
「おー悪い。ちょっと遅れた」
「よし準備できたね。んじゃいこー!」
そうだ、もう俺は天使学園の生徒だ。頑張っていこう。
「ところで咲也は何組なの?昨日学園長に言われてなかった?」
「あぁ、そういえば確か4組だったと思うぞ」
「マジ!?やったー!!アタシも4組なんだ。今日からヨロシクね」
「おう。知り合いが一人でも居てくれて助かるよ」
そして俺たちは教室のある校舎までダッシュした。ダッシュの甲斐あってギリギリ間に合いそうだ。
「そういえば、咲也は転校生なんだから職員室行ったほうがいいんじゃないの?」
「それもそうか。職員室ってどこにあるの?」
「えーと、3Fだったような気がする、んじゃアタシ先行ってるから」と言い終えたと同時にビュンという効果音が出そうなほど速く走っていた。
あれも天魔法の一種だろう。
「よし3Fだな。よし行くか」
タンタンタンと階段を上がっていき、目的の職員室までついた。
「失礼します」
「おう、新入生か。おっさんから話は聞いてる。んじゃ今から教室に行くからついてこいよ。あぁ、それと私は坂口未来という。以後よろしくな。とりあえずお前の担任だ。わからないことは何でも聞けよ。でも年は想像に任せる」
何か変な人だけど結構若いしきれいだし、いい人っぽく良かった。
先生の後をついていき、6Fにある教室についた。教室の前で待っていろと言われたのでおとなしく待っていた。
「あー、今日は転校生を紹介する。おどろけ、なんと男だ」
「先生ー!その子かっこいいんですか?」「趣味はなんですか?」「彼女いますか?むしろ彼氏いますか?」
「あーめんどくさい。とりあえず入ってっもらうから。来ていいぞ」
なんか期待されてるみたいだけど、逆に入りづらいな。
でもいかなきゃ。
ガラガラガラと扉を開け、教室を見渡した。
「「「・・・」」」数秒間の沈黙。それを一人の生徒の声で破られた。
「かわいい」
「「「カワイイー!!」」」グサグサグサ
う、覚悟はしてたけどかなりショックです。だってそうだろ?この年にもなってよ。まぁ、言われなれてたからなんとか大丈夫だ。
「さぁ、転校生自己紹介をしてくれ」と先生。
「あー、えーと、霧生咲也です。よろしく」
「咲也くんに質問でーす」一人の生徒が言った。
「なんで天使の証ついてるのに学園の生徒なんですか?というか男なのになれるの?」
「そ、それは、俺にもわかりません」
「んじゃー彼女は?」
「いません」
「じゃあどうしてそんなにカワイイの?」
「知らねーよ!」
「よーし。質問タイムはそこまで。SHRを始めるぞ」
「「はーい」」
「あー霧生の席は右端の一番後ろだ」
「はい、わかりました」
教室は大して現世と変わっていないな。まぁ、現世で死んだ奴がここにくるんだから当然と言えば当然か。
「おー、咲也ーとなりじゃん。よろしくね」
「おう、クリスの隣か。なんか気が楽だよ」
「ま、まぁアタシのフレンドリーオーラが滲み出てるから仕方ないかな」
と適当に話していたらSHRが終わった。
途端に強烈な質問攻めにあったのは言うまでもない。
「はぁー」俺は寿命が1年くらい縮そうな溜息をついた。ていうか溜息って寿命3秒縮むって誰がいったのだろう。科学的に証明されているのか?
「大変だったね咲也」
「クリスも質問してきただろ」
「あはーばれちゃった?」
「よーし授業を始めるぞ」
「きりーつ、礼!」と委員長みたいな子が言い
「お願いします」と一同。
「じゃあ今日は咲也のために一から教えてやるから感謝しろよ。他の生徒は復習ということで」
「はーい」
「よーし、んじゃとりあえず系統の説明だな。天魔法には光、水、風、雷の系統魔法がある。天魔法は補助系の魔法が多いからな。対する地獄の魔法、地詠唱は闇、地、火の魔法が確認されている。あと一つ幻の系統が地詠唱にはあると言われているものが未だ見たものはいない。いや、いたかも知れないが殺されたんだろう」
殺される?死んだらどうなるんだ?
「先生、天国や地獄で死んだらどうなるんですか?」
「ここで死んだら魂ごと消され、無になる」
「・・・」
「とりあえず話を戻すぞ。魔法は組み合わせることもできる。まぁそんなことできるのはA+以上のやつだけだけどな。天国にいるやつは大体が魔道具を持っている。杖や剣、弓などをストラップ状にし、持っている。咲也は持っていなかったよな?よし、先生があげよう。頭の中に、理想の武器を思い浮かべろ」
理想の武器か。剣術はできるから剣でいいか。よし。
「咲也は剣か。よし、男は接近戦ということだな?中々見込みがあるやつだ」
「いや、そんなんじゃ・・・」
キーンコーンカーンコーン
「では授業を終了する」
「きりーつ、礼!」
「「ありがとうございました」」
「はぁーなんか疲れた」
『咲也』
「ん?だれかが俺を。このストラップからだ」
俺は黒刀のストラップに耳を当ててみる。
『咲也!』
「うー、み、耳がぁ」
『あーごめんごめん咲也』
「ん、ク、クリスか」
「そうだよー」
「あれ?でもストラップから」
「ストラップには無線機能がついてるんだよ」
「はぁ、すごいな」
「これでいつでも連絡できるね」
「う、うん」
か、かわいい。顔立ちがいいのにそんなかわいい声を出されたらダメだろ。
「どーしたの咲也?顔赤いよー?」
クリスはピンクのツインテールを揺らし顔を覗いてきた。
「え、な、なんでもないよ。そ、それより次、戦闘訓練だよ」
「あ、そうか。そういえば咲也って更衣室あんの?」
「あ・・・」
「んじゃもう、女子更衣室で着替えるってことで」
「そ、それは色々とまずいような・・・」
「大丈夫だよ。みんな女の子だと思ってくれるよ」
「いや。俺は教室で着替えないと何かを失いそうなので教室で着替える」
「そう?んじゃあまたあとでね」
「おう」
んーでも戦闘訓練って何やるんだろう?
「あーみんな集まったか。よし、んじゃ始めるか。みんな竹刀を召喚してくれ」
「「はい」」
「咲也は私のを使え」
「はい」
なんだ剣道か。もっと厳しいものだと思っていた。
それにしてもほんとここは何でもでかいな。
体育館が東京ドーム並みだぞ。
「よし、では二人組になって早速始めろ」
「え?あの防具とかは?」
「何を悠長なこと言ってる。本番を意識して戦え」
「いや、でも、さすがに竹刀は痛いですよ」
「咲也!それでも貴様は男か!」
男、男、男、男、男
「はい!男です!頑張ります!」
「よい、それでこそ男だ」
「あら、転校生さん。私がお相手して差し上げましょうか」
声の主を見ると、なんかお嬢様オーラが出ている金髪の美少女だった。俺も背が低いがこの子も背が低い。
「おう。相手してくれんのか。そりゃ助かる」
「まぁ、私が相手というのは凄くかわいそうですから手加減してあげましょう」
「ん。そんなのは俺はいらない。お前なんて楽勝だ」
「な、なんですか。人がせっかく手加減してあげようと思ったのに」
「そんなの望んでない。本気で来い」
「まぁいいでしょう。ボコボコにしてあげますわ。このミレール・ティナと本気で戦うなんて100年早いってことを思い知らせてやりますわ」
「ブツブツ言ってないで早く来い」
「ふん、言われなくても」
パン、と竹刀同士がたたき合う。
「まぁ、とりあえずはできるようですね」
「お前もな」
そこからミレール・ティナが強烈な連撃を繰り出してきた。
「くっ」
「おほほほ、さっきまでの威勢はどうしたんですの」
「ふ、舌かまないように気をつけろよ」
パッとバックステップで距離を取る。
「霧生流剣術 第一殺 百裂刺殺剣!」
一気に距離をつめ、そこから相手の竹刀にめがけて目にもとまらぬ速さで連続突きを放った。
「し、竹刀が・・・」
見事に竹刀は砕けた。
「んじゃあメーン」
バン
「いっっっっっっっ、剣道を習っていたなんて卑怯ですわ」
「剣道じゃねぇよ。人殺しの剣だ。骨を砕かなかっただけ感謝しろよ」
キュン
この時、ミレール・ティナは完全に咲也に惚れたという。
「あー久々に剣を振ったから明日は確実に筋肉痛だな」
「すごかったね咲也。どっかで習ってたの?」
「ん?あぁ昔な。じいちゃんは人殺しの剣を教えてたんだ。それで孫の俺もやらされたんだ。だから少し剣道は苦手なんだよ。人の代わりに竹刀のほうを狙わないといけないからな」
「あ、あのさ。さっきの咲也さ、か、かっこよかっ」
「咲也さん、私はミレール・ティナ。皆さんはミラと呼んでいるので、ミラとお呼びください。さっきは、その、すみませんでした。あ、あの、私も魔道具が剣なので、もしよろしければ教えてくださいませんか?」
「ん?あぁ、さっきのは気にしてねぇよ。俺でよかったら教えてやってもいいけど」
「ホ、ホントですの!?あ、ありがとうございます!!」
「あーもういいところだったのに。ミラわざとでしょ!」
「別にわざとじゃありませんのよ。たまたまです。たまたま」
「わざととかってなんのことだ?」
「い、いや、別に。ねぇミラ」
「は、はい。そうですよ。ははは」
「変な奴らだな。まぁいいか」
「よーし、そこまでだ。次の授業に遅れないように。以上、解散!」
あぁ、動きが鈍ったな。明日から練習するか。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
この続きはまだ書いていないですが、当時ハマっていた「ハヤ〇のごとく」や「I〇」にめちゃくちゃ影響されて書いていたものなので、正直こっから何したいのかよくわかりませんが、なんとか続けたいと思います。