ワゴン喫茶ノエリエ出張サービス
令嬢、企む?甘ーーーい!!
@短編その82
キリク殿下はお疲れです。
父上である国王殿下が病で伏せって早二年。
私との婚礼も、このために延びています。
20に嫁ぐはずだったのに・・・
ああ、こんなことなら18の時に嫁げばよかった。
と言っても仕方がありません。
殿下は公務やその他雑務でお忙しい。
昨日久々にお顔を拝見してびっくり。
顔悪っ。
あ、違います。
顔色が悪いです。
殿下はとても美男子ですよ。
私は薬師としてちょっとだけ高名です。
だから、18の時はまだ研究のために外国に行っていたので、結婚を伸ばしてもらっていたのです。
「キリク殿下、失礼します」
「ノエリエ、どうした?」
「うふふ。ワゴン喫茶『ノエリエ』、出張サービスで伺いましたわ」
「ワゴン?ああ」
彼女は大きめのワゴンを押して執務室に入る。
「そろそろ集中力も落ちる頃と思いまして。ティーブレイクですわ」
令嬢はメニューと書かれた厚紙を殿下に手渡した。
「このお茶のどれになさいます?」
殿下は婚約者の格好をじっとを見る・・・
「君、お仕着せまで着て・・本格的だね?」
「うふふっ、メイドさんですの」
スカートを両指で摘み、ゆっくりと1回転。
「えーと・・・ノエリエ20%・・?なんだい、これは」
「私のオリジナルブレンドです。すっきりとして喉越しもいいですよ。効能はリフレッシュです」
「ふむふむ。くすっ。ノエリエ50%はどんなものなんだい?」
ああ、殿下が笑っていらっしゃる。
最近眉も寄っていて、しかめっ面でした。殿下が微笑んでいる、それが一番です。
「これは少し体が気怠いな、って時に飲んでいただくといいと思います。頭もシャキッとしますわよ」
「いいね、それ。ではノエリエ70%は?」
「眠気を飛ばしてくれます。なにか集中したい時とかに良いのですが、ノエリエ成分が」
「ノエリエ成分」
「はい。ノエリエ成分が多めですので、あまり連続で飲むのはよろしくありません」
「そのノエリエ成分とはなんなのかな?」
「有害ではありませんよ?」
「だからなんなのかな?」
「・・・・私の」
「うん?」
「気合です」
「気合とか。・・・ぷっ」
・・・もう。食い下がって来ますね、今日の殿下は。
ニヤニヤ笑って、意地悪な顔になってきました。
「愛情とも言います・・」
「おやまあ。嬉しいね。でも、ノエリエ成分が多いと連続で飲んではいけないのは、何故?」
「・・・が付きます」
「ん?」
「キスが付きます」
「ほほう。でも連続は何故ダメかがわからないなぁ」
「・・・・・主に私が・・照れます」
「それが見たいなぁ。じゃあ、最後のノエリエ100%は、70よりも凄いのかい?」
「私がキリク殿下のお膝に乗って」
「んへ?」
殿下、意表な内容に、間抜けな声を漏らしました。
「キリク殿下のお口に・・・口移しで飲んでいただきます・・・きゃぁ」
令嬢、両手で顔を隠しましたが、手で隠れていない部分は真っ赤に染まっています。首も真っ赤です。
殿下、しばし黙っていましたが・・・
「じゃあ、ノエリエ100%を頂こうかな」
「・・・・はい」
令嬢はお茶の用意を始めます。
良い香りのフレッシュハーブをポットに入れ、お湯を注いで。
そして1分ほど成分が湯に行き渉るのを待ち、カップに注いて。
「お待たせしました」
殿下の執務デスクにティーカップを置き、
「失礼します。よいしょ」
彼の膝に乗って、横抱きな格好に収まって、カップを手にして一口含むと殿下の両頬に両手を添え、引き寄せて・・
こくん。彼の喉を、爽やかな風味が通ります。
「・・どうでしょう?」
もう顔は真っ赤っか、令嬢は殿下の顔を見られない。下に視線が向いています。
「こっちを向いて?ノエリエ」
「やです・・」
「こら、こっちを見て?」
無言の令嬢は、彼の胸に顔を埋めてぎゅうとしがみ付きます。
殿下は苦笑して・・そっと抱きしめます。
「御免ね、ノエリエ。結婚が延び延びになってしまって。君と会うのも週に1、2度だ。君に寂しい思いをさせてしまっている。これからもこうしてお茶を飲みたいな」
「はい・・・でももうノエリエ100%は終了です」
「え?どうして?俺はこれ単品で構わないけれどな?それに」
殿下は強引に、彼女の顔を上に向かせました。
「こんなこと企てるくらい、俺とキスしたかったんだろう?ノエリエ」
「〜〜〜〜・・好きぃ」
「俺も大好きだよ、ノエリエ」
こうして、3時のティータイムは日課となりました。
これで公然とイチャイチャ、おっと。
ちなみにノエリエ100%の効能ですが、疲労回復、体力強化、そして僅かな媚薬効果です。
思いつくまま、ほぼ1日1話ペースで書いてたけど、そろそろペース落ちるかな。
9月は『令嬢』がお題。
タイトル右のワシの名をクリックすると、どばーと話が出る。
マジ6時間潰せる。根性と暇があるときに、是非




