走馬灯?
私は30歳未婚の普通のサラリーマンだ。
そんな私が今現在とても妙な事になっている
飛んでいるのだ。
いや飛んでいるのではなく空中に浮いてるという方が正しいのか。
「こまったものだ。」
なぜ私が飛んでいるのか及び空中に浮いているかというと
椅子から投げ飛ばされたのだ。
朝の混んでいる時間の通勤ではなく少し遅めの電車に乗っての通勤。
いつも電車内は空いてるのでいつもゆったり椅子に座りうたた寝をしながらの通勤。
そしていつものようにうたた寝をしていると突然、
甲高い音ともに衝撃と振動が私に走る。
電車の脱線事故だ。
衝撃とともに私は椅子から投げ飛ばされた。
「うわーーー」
自分が投げ飛ばされたのが分かる。怖い。
真正面には電車の壁がありまだ距離があるとは言え自分が壁に向かって飛んでる途中だというのがわかる。
おそらく自分はこのまま壁に当たり首を折って死ぬのだろう。
覚悟した。
「私は死ぬのか」
しかし投げ飛ばされた私はそこに静止していた。
空中で止まっていたのだ。
「事故が起きたとき一瞬の出来事がゆっくりなることがあると聞いたことあるけどこれがそれなのか」
周りを見渡した。
他にも投げ飛ばされたみたいな人に話しかけるが返答もこない。私以外は意識はあるのかないのかわからない。
1時間くらいたっただろうか。
「こまったものだ」
「このままずっとこの状態も怖くてたまらない」
一体いつになったらあの壁にぶつかるのか。
少し怖くなったきた。急にあの壁にぶつかるかも知れないし
はたまたこのおそらく一瞬の出来事が永遠に続いて意識だけで何年も何十年もかかるかも知れない。
空中に浮いていて両手足ブラン状態だが肩とかはこらない。
お腹とかも空かない。 本当に精神的にのみ時間が経過してる感じだ。
少し目をつぶって深呼吸をしてみよう。
目を開けてみた。
「えっ」
「えっ じゃない早く準備しろまだ逆転できるぞ」
さっきまで電車の中で宙に浮いていたのに
どこだここわ?
周りを見渡すとどうやら高校の野球の試合中のようだ。
これは高校三年生の最後の試合で私の三振で終わった試合じゃないか。
この試合で私たち三年生は引退した。
この日私は相手ピッチャーから一本もヒットを打てずに悔しくて高校野球人生に幕を閉じた。
もう一度のあの試合ができるのか。
ならば今度こそは打ってみよう。
私はバットを思いっきり振った。
カキーン 金属バットがボールに当たる。
相手ピッチャーの頭上を超えてセンター前へと落ちた。
ヒットを打ったのだ。
学生時代に三振で終わったあの高校三年生の最後の試合でヒットを打ったのだ。
「っしゃー」と思わず叫んだ瞬間、また電車に戻っていた。
もちろん宙に浮いた状態だ。
少し違うのは壁までの距離が先ほどより少し縮んでいるのだ。
「どういことだ?」
「さっきまで野球をしていてヒット打ったと思ったら戻ってきて、いやむしろちょっと壁まで進んでいるじゃないか」
高校生に戻りヒット打ったら戻ってきた。
どうやら過去の事を思いだして過去を改善したかはわからないが過去の後悔を思いだしてるようだ。
「そうかこれが走馬灯なのか この壁に当たるまでの間で私の人生で後悔してきた事をやり直そう」
私は再び目を閉じて深呼吸した。
目を開け周りを見渡した。
電車に乗る前に戻っていた。
電車に乗る前と言っても大学生だった。
まもなく3番線に電車が参ります
ニャー 後ろから猫の声がした。
私は思いだした田舎の駅だったので猫が入り込み電車に轢かれた。 あの時に助けられなかった猫を助けたい。
私は猫を捕まえて抱き上げ電車が通り過ぎるのを待った。
電車が通り過ぎるのと同時にまた宙に浮いていた。
「またちょっと進んだかな」
気づけばまた電車の中にいた今度も壁に近づいていた。
あの猫は助けれた。自分の中の後悔が減ったきがする。
さぁ死ぬまでにどれだけ自分の後悔をただせるかな。
私は再び目を閉じて深呼吸をした。
今度は、いつに戻るかな?
高校時代に告白出来なかった修学旅行かな?
はたまた小学生の運動会で転んだ日か
目を開けて周りを見渡した。
また電車のホームにいた。
どうやら今度は今朝の電車に乗る前らしい。
どうやらまだまだ生きたいという後悔らしい。
「ここで電車に乗らないとどうなるんだよ」