其ノ四
老人達についていき城らしき場所の中をしばらく歩いていくと恐らく大広間であろう場所に出る
そこには甲冑を着た兵士達が両脇に数十人も並んでおり、奥には椅子に座ってる厳格な雰囲気を持つの男性とその両横にふんわりとした雰囲気の女性、さらに将来は美人になるであろう女の子が立っていた
その他にも正装している男性が椅子に座ってる厳ついおっさんの後ろや近くに何人か並んでおりこちらを品定めをするかのような目で見ている
そして俺達が全員部屋に入るのを確認したのか、突然前の集団の中心にいた厳ついおっさんが
「良くぞ来てくれた異世界人の方々よ。我の名前はルーカス、隣にいるのは妻のルミナスと娘のフロリア、後ろに並んでいるのは我が国の大臣達である。これからしばらくの間よろしく頼むぞ」
と言ったあとその周りの人々が一言づつ軽く自己紹介をしていった
いきなりの自己紹介でどうでもよかったので俺は聴き逃していたが、以外にもほかの面々は真剣な表情でそれを聞いていた様子
そして相手側の自己紹介が終えると
「こちらこそよろしくお願いします。こちらの世界のことは全くわかりませんし色々とお世話になると思いますが僕達も全力で頑張っていきます」
とこちらを代表して遠山が挨拶していた
そんな遠山に対して
(これがリア充の力か…もう面倒くさいのは全部こいつに任せよ。俺は自分のことで精一杯だわ)
とか考えていたりする間にも矢継ぎ早にどんどん説明がなされていった
〜中略〜
その後の王や大臣達により説明を受けたこの国と周りの現状は、以下のような感じ
・獣人、魔人、人間はそれぞれ対立しており常に国境付近では小競り合いなどが続いている。なお大きめの争いはまだ起きていない
・人間は他の種族を奴隷として扱うが、獣人や魔人は捕虜の価値のないやつは殺してしており、現在他の種族間での交流は殆ど無いとのこと
・獣人は身体能力が他の2種族と比べてかなり高いが魔法はほとんど使えない。逆に魔人は身体能力は人間程だか魔力が多く魔法に秀でている。
・スリイアは立地上獣人の国ともう片方の人間の国ジァルゼと接しておりどちらの国境もかなり切羽詰まっている状況であるということ
・その他にも魔獣と呼ばれるものが世界中におり、ランクはF〜SSまででどの種族も関係なく襲っているということ
・世界中の様々な場所にダンジョンと呼ばれるものが存在しており、そのなかでも5大ダンジョンは別名・迷宮とも言われていて国にとってダンジョンの攻略は有益であるということ
・またエルフ・ドワーフなどの亜人種もおり、彼らは世界中様々な場所で生活していてその集落の発見は非常に困難とのこと。又亜人種はどの種族とも対立も協力もしていない中立の立場だということ
・火、水、風、土の四属性の精霊が存在しており精霊との契約に成功すると精霊魔法が使えるようになる。だが一般的には精霊を見ることは出来ず、誰でも見えることができるのは力のある上位精霊だということ
等々様々な情報が伝えられた
ぶっちゃけ俺はほとんど聞いておらず
(早く終わらねぇかな~、ほんとこれからどーしよ)
と呑気に違うことを考えていた
今は何よりも先に自分の能力の制御を出来るよになる必要があるのだ
そして説明が一通り終わったのかルーカスが
「では異世界人の方々よ、今はまだ思うこともあると思う。明日からの予定は明日の朝伝えることとする、今夜はしっかりと休んでくれ」
そう言われた俺達は2人1組となり部屋を割り当てられる
勿論俺は希暗と同じであった
部屋に行く途中も俺は
(多分明日から訓練が始まるだろうから今夜中に色々と考えないとな。とりあえず希暗とかと話してみるか、話せないことも色々とあるけど。それに一刻も早くこの力を使いこなせるようにならないとなぁ)
なんて考え事を続けていた
この後俺達は食堂らしき場所に連れていかれ食事を出され、みんなは最初は少し戸惑っていたが遠山が食べ始めたのをしきりにみんな食べ始める
異世界なのでどんなものかと思えば目新しくもないパンやスープ、サラダなどが出され味も元の世界にあったものとほとんど変わらないものだった
ただし見た感じ米の類はなく、中には見たこともない色をした食べ物らしきものまであったが初日のせいか誰も手をつけることは無かったみたいだ
その後全員部屋にいき、もうあとは寝るのみとなったので早速希暗に話しかけてみることにした
「なぁ希暗、とりあえず大丈夫か?色々と疲れてるように見えるが」
「なんとか大丈夫だよ……でも確かにちょっと疲れたね、色々あったし」
「まぁステの件はあれだ、多分後で強くなるパターンだ、だからあんまし気にすんなよ」
「そうだといいね。まぁ異世界もののテンプレだと多分僕みたいなキャラが強くなるんだろうけど今やそれが現実だからなぁ・・・。そういえば呂阿は剣士だっけ?」
「ああそうだよ。至って普通のモブのステータスさ、固有技能も無かったし(すまん、本当は人間卒業しかけてる)」
「それならまだ僕よりましだよ。でももし僕が覚醒でもして強くなったら呂阿に勝てるかもね。だけどいまのステータスだとそれまでがきついねぇ」
「明日から多分訓練始まるだろ?まぁ参加はするにしてその他はどうする?情報収集とか必要だろ?」
「そうだね、帰る方法が分からないとか国がピンチだから助けてくれとかだいたい騙されてるからね。そこら辺も調べないと」
「とりあえず俺ら2人は協力していこう。どうせ俺はお前以外男子の友達いないからな…」
「田中君とか玲奈とかに頼むのもありかな。田中君は多分こういう類のもの詳しいし、玲奈は多分力になってくれるはずだよ」
「田中はなんか暴走しそうな気もするけどな、最初も1人で発狂してたし。桜前はお前が頼めばいけそうだな多分白月もセットで」
「とりあえず明日聞いてみるよ。じゃあそろそろ寝るね、おやすみ呂阿」
「ああ、おやすみ希暗。明日からとりあえず頑張っていこうぜ」
(とりあえず俺のステータスはまだ黙っておくとして俺の能力だと希暗のステータス全部見えそうだな……見てみるか).
名前 黒晴 希暗
固有技能・・・・言語翻訳、精霊王契約
精霊契約………この世界に存在する精霊の王との契約が可能(ただし今は使用不可)
(やっぱり見れたな。それにこれは大分強そうだが使えるようになる条件なんだろうか。やっぱり死にかけるとか誰か大切な人が死ぬとかじゃないと駄目なのかな?これは色々と考えて対策しとかないとな、流石に誰かを無駄死にさせたくはないし)
なんて考えているうちに俺は意識を手放した
……To be continued →