おまけ①
《side 希暗》
気がつくとダンジョンの入口付近にある少し広いスペースに希暗はいた
他のみんなもスケルトンに多少なりとも傷付けられながらも揃っている状態だ
そして騎士団の人達はかなりのダメージを負っているラハットさんを筆頭に僕達に道を作るためにスケルトンを排除し続けていたため全員が軽くない怪我をしていた
希暗がそんな周りの様子を痛むからだを起こし周りを見渡していると
「希暗!!大丈夫だったの?」
といいながら玲奈が駆け寄ってくる
そんな玲奈に希暗は苦しげな表情で答える
「身体中が痛いけど僕はなんとか無事だよ…」
「良かった…本当に良かった…。後ろの方にいた子が希暗が転んで暗黒騎士に攻撃されていたって言うからもしかしたらって思って・・・無事で良かった…」
そう言って希暗を抱きしめる
それを聞いた希暗は普段は恥ずかしがってすぐに拒むところだが、今は何も言うことが出来ずにただなすがままに抱きしめられていた
そしてこの2人の様子に対して悪意の篭った視線が数本向けられていたことを2人が気づくことは終始なかった
しばらくして玲奈が落ち着いたようで
「身体がボロボロみたいけどあの時何があったの?私は必死で道を切り開いていてついたらすぐに転移したから…。後ろにいた希暗達の様子がわからなかったのよ。そういえば神楽君は?」
と聞いてきた
「っ・・・」
そんな玲奈の問に希暗は即座には答えられない
まだ呂阿が生きているという希望が捨てきれてないからだ
すると最後まで残っていた騎士団員がラハットに纏められた情報を伝える声が聞こえてきた
「団長。我々は逃げ遅れて暗黒騎士のターゲットにされた子の救出を試みましたが、スケルトンや他の転移の終わってない子のサポートのために向かえませんでした。別の子がその子の救出に向かいましたが武器を失い戦闘続行が不能になったと判断したのか逃げ遅れた子をこちらに投げることでその子は助かりましたが、救出に向かった子は暗黒騎士によって攻撃を受けその死はほぼ確実かと…。その後我々は全員脱出、犠牲者はその1名のみと思われます…」
この報告を聞きラハットは
「・・・そうか」
とつぶやくことしか出来なかった
その会話を聞いた希暗の中には様々な後悔と絶望が渦まく
(あの時呂阿と2人逃げていればこんなことにはならなかった…!そもそもこうなる可能性があったのにも関わらずダンジョンなんか行くんじゃなかった。前もって理由をつけて断っておけば…。気を緩めずにちゃんとしてたら…。なんで、、、なんで、、、僕なんかの代わりに……)
希暗の中の後悔が徐々に別の感情へと変わっていく
(そう言えばあの時僕は確実に誰かに足をかけられたような…。そいつが、、、そいつが、そんなことさえしなければ……。それに・・・僕にもっと力があれば、、、こんな低い能力値じゃなくて色んな能力が使えるようになっていればこんなことにはならなかった!!!)
そう心の中に全く分からぬ犯人と自分への怒りがこみ上げてくる
そしてその怒りが希暗の心を黒く染めようとしたとき
急に頭の中に誰かの声が流れ込んできた
『少年よ、お前は力を何のために望む』
(えっ?…だれ?・・どうして僕にそんなことを?)
『我は強く力を欲する者に、力を貸し与えるもの。もう1度問おう、何のための力を望む』
(僕は、、、僕は何にも負けずに大切な人を守れる力が欲しい!!!)
『守るための力か……確かにその心意気は受け取った。よかろうではしばらくの我の力を貸してやろう、これで契約完了だ。その力に溺れず己の信念を貫いてゆくがよい』
そう言うともう頭の中には声は聞こえなくなる
その直後身体中が熱くなり力が湧いてくる様な感覚がする
希暗はとっさに自身のステータスを確認してみる
名前 黒晴 希暗
種族 半妖精
役職 英雄候補(人間種)
体力 A(+)
筋力 A(+)
魔力 S
物防 B(-)
魔防 A
俊敏 A(+)
知力 A(+)
運 S
技能・・・・剣術Lv4、体術Lv3、精霊魔法(火、水、風、土)Lv4、感知Lv3、農耕Lv3、採取Lv3
固有技能・・・・言語翻訳、精霊王契約、知恵女神の加護
精霊王契約…………精霊王と契約することが可能。契約が完了すると、契約終了まで身体能力大幅上昇、精霊魔法の全属使用可能。契約中は種族が半妖精となりほぼ全ての妖精達を視認することが出来る
知恵女神の加護………2つの物事を同時に思考することができ、情報処理能力の向上・知力の向上
感じたとおり様々な秘められし力が解放されていた
更にステータスも見違えるくらい上がっていた
更によく分からない物まで増えている
だが、希暗はあまり喜べずにいた
なぜならもう呂阿を助けることは出来ないからである
遅すぎる自身の覚醒に希暗はただただ落ち込むことしか出来なかった……
それからしばらくして
「全員今からダンジョンを出てすぐさま王都に戻るぞ!比較的怪我を負っていないやつは怪我を負っている者の手助けをしてやってくれ。みんな疲れてるかもしれないが頑張って付いてきてくれ」
そうラハットが号令を出すとクラスメイト達は騎士団員達のあとをついて行く
それを見て希暗は何も言わず玲奈に肩を貸してもらい支えられながら歩いて最後尾をついて行く
周りの様子をみてみても誰も言葉を発していなかったがクラスメイト達は誰もが安心したような表情をしていたように見えた
だがその様子からも殆どのみんなが1人足りないことに気がついていないようでもあったが
大抵このような場合には誰かが一人死んでしまったという情報が与えられた時にパニックに陥るいることや、これからの実践戦闘に対する恐怖を持つことになる可能性をおおいにはらんでいる
今まで異世界人ということから強い力を持ったことで調子に乗っていた近藤や遠山達でさえモンスターハウスでは為す術もなく逃げることしか出来ないのだ
そして希暗達は暗くなる頃王城へと帰りついた
……To be continued →