其の十一
フロリアと別れてもう迷うことはなくなった食堂へ向かう道を歩いていると食堂の方からから肉を焼いているようないい香りがしてきた
そんな香りに少しばかりの期待を胸に食堂に入ってみると食堂の中には今まで見たことないような肉の丸焼きや豪華な料理、その他様々な料理が大量に準備されておりクラスメイト達が談笑しながらそれぞれに食事をとっている
恐らくこれは明日からダンジョンに行く俺達への配慮なのであろう
なら遠慮なく食すべきである
そう思った俺は1人席につくと様々な料理を挑戦して見ることにした
まずは何の肉かは分からない丸焼き、某漫画に出てきたような透明のスープ、彩とりどり過ぎて逆に食欲が無くなりそうな野菜サラダ、極め付きにこれ食べれるの?と思ってしまうような焼物などなど色々と試してみたがどれも想像以上に美味しくて、ここに米が無いのが残念に感じられた
その後俺はひとしきり料理を堪能し、デザートまでしっかりと食べ終えると寝るまでの時間だらだら過ごすために部屋に戻ることにした
部屋に入ると既に希暗がおり明日のための準備をしていた
そんな希暗に向けて俺が
「準備はばっちりか?」
と声をかけると
「おかえり呂阿、とりあえず各回復薬や携帯食料なんかは持っていってるよ」
と答えが返ってくる
そんな希暗が道具を詰めているのはクラスメイト全員に渡された魔法の袋で、よくあるアイテムボックスみたいな感じで見た目以上の量が入るといったものでこの袋は約10kgまで入るにも関わらず重さは常に100gほどらしい
この世界での重さの単位と元の世界の重さの単位とは若干ズレがあるが大差ないので特に問題はなかった
「初実践に加えていきなりダンジョンに行くんだから用心するに越したことはないよな」
「そうだね。明日は様子見だからまぁ何とかなりそうな気もしてるけど。でもテンプレだど何かしら起こるよね」
「まぁそうだな。とりあえず明日は俺と2人で後ろの方で騎士団に守ってもらうとするか」
「それがいいね。というよりさっき玲奈にも私が守ってあげるから後ろで隠れてなさいって言われたばかりだよ」
「相変わらず愛されてんな。まっ、いざとなったら俺が守ってやんよ。今のところ対人戦なら他の奴らと比べてもかなり強い方だしな」
「確かに呂阿は模擬戦なんかでも負けは無かったよね。それなら無茶しない範囲でお願いしようかなぁ。結局僕は何一つ成長していないようなもんだし」
「それに関しては仕方ないな、そもそも簡単に強くなれるような方法があるならみんなやってるだろうし。きっと何か希暗の心持ち変わるような衝撃的な事でもないと覚醒しないんだろ」
「それはあるかも。だって僕は魔獣とは戦えても獣人や魔人とは戦いたくないと思っているから。そこは実践していくうちに変わるかもだけど今はまだ無理かな」
「それは俺だってまだ生き物を殺したことないからどうなるかわからんさ。多分慣れるまではキツイかもな(これは人間やめかけてるけどまだわかんないなぁ)」
「本当はそんなことには慣れたくなんてないんだけどね…。でも玲奈たちみたいな女子が戦ってるのに男の僕が戦えませんじゃ駄目だからね」
「そうだな、なんとか生き延びて元の世界に帰る必要があるもんな。でそのためには戦わないといけないわけだ」
なんてことを話していると不意にドアを叩く音がし
「呂阿。私、開けて」
と声が聞こえくる
どうやら瑠奈が来たようなので扉をあけると瑠奈は両手に何かを持っていた
そんな瑠奈に俺が声をかける
「どうしたんだこんな時間に」
「戦闘組は明日から実践。だから試作だけど魔道具持ってきた」
どうやら瑠奈はこの一ヶ月で作り上げた魔道具を持ってきたようだ
そう言うと瑠奈は俺と希暗は腕輪みたいなものを手渡し説明をしてくれた
「この腕輪は1度だけ体を守る障壁を貼ることができる。多分結構な衝撃でも耐えられるはず」
そう無い胸を張って自慢げにいう瑠奈
とりあえず俺は鑑定を使いその腕輪の性能を確認してみる
【ガードバングル 】
・魔力を込めると1度だけ衝撃を無効化する障壁を貼ることが可能。ただし一定値以上の大き過ぎる衝撃は耐えることは出来ない
とこのような使い捨て性能だがこちらの世界ではこのぐらいの魔道具でも相当な値段がする
なんせ1回死ぬのを防ぐぐらいの性能だ
格上には使えない可能性もあるがそれでも破格だろう
そんな貴重なものを受け取った俺は
「ありがとうな瑠奈。でもこれって本当に試作なのか?かなり使えると思うんだが」
と聞いてみる
すると瑠奈は
「試作の中でも特に出来がよかった2つ。完成品ならもう少し良くなるはず」
と答えてくれた
(試作品でこのレベルか、やっぱり異世界人って存在がチートみたいなもんだな)
と思ったが自分自身がそれの体現者なのでここは目を逸らしておく
そのあと瑠奈は
「じゃあ、頑張ってね」
と言うと自分の部屋に戻っていった
すると瑠奈が出ていってから少しして再びドアを叩く音が聞こえてくる
「希暗起きてる?起きてたら開けて」
どうやらお次は桜前達が来たようだ
希暗が扉を開け2人が部屋に入ってきたときにまた白月が俺の方を見ていたようなのでそちらを向くと顔を下に向けて桜前の後ろに隠れられた
俺は相変わらずの反応にに1人しょげる
そんなことは気づいてない希暗が
「こんな遅くにどうしたの玲奈」
と声をかけると
「明日から実践じゃない?でも希暗弱いから喝でも入れてあげようかと思って」
とぎこちなさげに桜前が返事をした
「そのためにわざわざ?」
「そうよ悪い? といいたいけどちょっと別の用事もあってね。神楽君ちょっといい?」
「ん?なんだ桜前」
「あなた一応強かったわよね?で私と歩は一応最前線の遠山や近山達のパーティーじゃない?だから希暗のところにいるわけにはいかないのよ」
「要するに希暗と一緒にいて、何かあったら守れってことだろ?」
「そういうこと。私からはこれだけね…。歩、言わなくていいの?」
そう言われた白月は顔を下に向け黙ったままだ
「まぁいいわ。じゃあ私達部屋に戻るわね」
そう言い桜前と白月は自分の部屋に戻っていった
再び2人になった俺は希暗に話しかける
「想われてるな希暗、でも白月は何の用だったんだろうな?様子も変だったし」
「まぁ大体察しはつくけどね…。もう少ししたら呂阿にもわかるんじゃないかな」
「ははっ、なんだよそれ」
その後俺達は少し話をした後先に希暗が寝てしまったので俺も考え事をしながら寝ることにした
(さて、とりあえず保険みたいなものも貰ったし安全性が高い位置も確保できそうだ。これで何が起こっても最悪のケースは回避できそうだな…多分。まぁそれに万が一には俺が希暗達に対して一芝居打つってのもありなのかね。まだここで俺の力を見せるわけには行かないし一応あの方法を使うことも考えておくか)
とかなんとかその後色々と考えていた俺は気がつくと意識を手放していた
……To be continued →




