第2話−2〜図書館でバクバク!?愛の告白大作戦〜
とんだアクシデントがあったものの、僕はその後もマリノちゃんに勉強を教えつつ、リプルちゃんとノエルちゃんの勉強のほうも見てあげた。ギルバートは相変わらずウェスリーの熱い指導を受けていたなぁ。
「すっかり遅くなっちゃったね」
閉館時刻ギリギリまでいたためか、日が長くなった夏空もポツポツと星空に変わりつつあった。
ノエルちゃんは今日は家に帰ると言い、僕達と別れた。リプルちゃんも教会の子供達ともう少し遊んでいくと言うので、中央通りで別れることになった。
学校に戻った僕達は、マリノちゃんを寮まで送っていくためにウェスリーとギルバートと別れた。ギルバートもついていこうとしたが、ウェスリーに麻痺の魔法をかけられ引きづられながらウェスリーと共に男子寮への道に去っていった。
「別にいまさら見送りなんかしなくてもいいんだけどね〜」
マリノちゃんは苦笑しながら言う。確かに学校からそれほど離れているわけでもないし、第一学校内だから変質者に襲われることもないだろうけど、それでも女の子を家まで見送るのは男として義務だと思う。
「そんなものかなぁ?」
「そういうものだよ。まぁ、相手が僕だから別にいいって言ったのかもしれないけどね」
昼間の幻術の皮肉も込めて言ってみる。しかし、マリノちゃんからは予想外の答えが返ってきた。
「セシルでもあたしは嬉しいよ。いつもそうやって心配してくれる」
もっと別の答えが返ってくることを予想していただけに、次の文句が言えなくなってしまった。
「フレッドさんのことは確かに好きだけど、あたしはあんたのことも好きだよ。いつもお人好しでへらへらしているセシルが」
図書館のときみたいに冗談めいた調子じゃなく、真剣な顔をして言うマリノちゃん。
今日のマリノちゃんはほんとにどうしたんだろう。そして、僕も。彼女と話すのにこんなに胸が熱くなったことなんてなかったのに。
「め、面と向かってそんなことを言われると照れるな…」
真剣な顔をして言うマリノちゃんが今はとても可愛く見える。
まさか、まさか僕は……。
ピシィ。
「ハッ!?」
僕は再び夢から覚めたような気分になる。そして――
「ププ……」
横には笑いをこらえきれていないマリノちゃんがいた。
「ブァーッハッハッハ!セシル、ばっかでぇー!」
またも腹を抱えて大爆笑するマリノちゃん。
一度あることは二度あるものだなぁ。まさかおんなじ手に引っかかるなんて…。
「今日のセシル面白すぎ〜!」
マリノちゃんは僕の肩をバンバン叩いて大爆笑する。僕はもう呆れることも笑うことさえもする気力がなかった。
穴があったら入りたいとは、こういうときに使うものなんだなぁ。
僕は女子寮からの帰り道、ずっとそんなことを思っていた。