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機械仕掛けの恋心  作者: 芝桜 綾乃
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02

私は嘘でできている。言うなれば偽物だ。虚像と形容してもいいかもしれない。

嘘ばかりついて来てしまったから。それが生きていく為に必要だったから。

よく、嘘つきは泥棒の始まりだ、なんていう人が居るけれど、それは間違いだと思う。

持論でしかないが、人間が嘘を付くのには究極的に突き詰めれば一つの理由しかない。

それは「守る為」。

守る対象は様々だと思う。自分の秘密を守る為、或いは他人を守る、庇う為。

私の場合は…自分の命を守る為だった。


幼い頃の記憶は朧げで、あまり覚えていない。いや、多分思い出したくないだけだ。

断片的に覚えているのは、男の人の罵声と、女の人の叫び声、身体に響く痛み。

私はそれから逃げる為に、嘘をついた。

偽物を作り上げた。誰にでも愛想の良い、優しく真面目な人。

そんな仮面とも言える外側の自分を作る事で、自分に脅威が向かない様に、自分を偽って来たのだ。

結果として、それが正しかったのかと言えば、間違っていたんだと思う。

何故なら、私は気付けば独りになっていたから。

最初の頃はみんな騙されてくれていた。けれど次第にそれはまったく別の方向へ作用して行く。

「機械みたいな奴」、という、学生時代の同級生が放ったその一言が如実に私を表している。

どういうことかと言えば、外面という仮面を剥がせなくなってしまった。という事に他ならない。

曰く、「本心が読めない」「何を考えているのかわからない」「気味が悪い」だそうだ。

その頃の私は、嫌われたくない一心で、誰にでも良い顔を見せていた。

それは有名な童話にある、蝙蝠の様なもの。

学校という組織にはありがちな、ある対立した二つのグループの、どちらにも良い顔をしていればどうなるか。

火を見るよりも明らかだった。

私は体の良い的になったのだ。それ以降、私は感情というものを捨てた。笑顔という仮面だけを被り続けて。


その結果が今の私。人との関わり方がわからなくなり、人と接触を避け、ネットと携帯を見るだけの日々。

要するに疲れてしまったのだ。偽り続けることに。自分を守る事に、人間に絶望したといってもいい。

進学するも長く続かず中途退学、就職する頃にはすっかり人というものが怖くなってしまい、外に出ることもできなくなってしまった。

唯一の楽しみと言えば、お互いの顔も、声も、素性も詳しく聞かれることのない、このインターネットのコミュニティ。同じ趣味を持った人物たちが集まるサークル。そのチャット程度のものだった。


そこで私は、私を変える一人の人物と出会ってしまった。仮面の外せなくなった私の仮面の奥を見破ってしまった。あの人に。

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