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夕立
開け放しの窓から飛び込んだ風が
ごろりごろりと転がりながら
対の壁にぶつかってへなりと崩れた
ご苦労様だね。
入道雲は重たかろうね。
すこし休んでお行きなさい。
ざんざん降りのどしゃ降りに
軒下に転がり込んだ娘が
びっしゃり濡れた裾に悪態をつく
許しておあげよ。
すまなさそうにしているじゃないか。
そろそろゆきます。と、風は言う
丁寧に丁寧に、頭を下げて
呼び止める隙もなく
風らしく、風の速さで
お詫びにと残されたのは
屋根に、木の葉に、水溜まりに
雨と風に洗われて
きらきら輝く 飴色の夕暮れ




