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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

駆動"快楽"決戦騎士と艶声姫

作者: 山吹向日葵
掲載日:2026/04/26


 カヴァイ王国、王都シルヴァリア

 

 建国600年を越える歴史ある王都。だが、その栄華を誇った美しい都市も、今日、終わりを迎えようとしていた。

 入り込んだ巨大な二体の人型駆動騎士(エーテル・ナイト)によって、街並みが破壊されていく。

 

 騎士団による魔法も、冒険者による攻撃も、古代遺産である人型駆動騎士には意味をなさない。

 

 街が……蹂躙されていく。


 その様子を、城のバルコニーから眺めるのは、二人。

 

 一人は、この国のまだ成人前の幼い王女、ララトルテ。

 

 長い睫毛を伏せる。

 

 金髪がふわりと風に舞った。


「ここまで彼らが来たということは、父さま達は……。もう、わたくししか残っておりませんのね……」


 ララトルテの隣に立つのは宮廷魔術師のマリー。

 

 紫の長い髪に、木の杖。典型的な魔術師の格好だ。


「お逃げになられますか?今ならまだ間に合いますよ 」


 穏やかに言われたマリーの言葉に、しかしララトルテは首をふる。


「わたくし一人、生き残ってどうするというの」 


「……では?」


 ララトルテは、バルコニーから王座の間を見る。

 

 王座の後ろに悠然と佇むのは、赤い女性型の騎士の巨人。


 カヴァイ王家、王妃王女専用、人型駆動騎士(エーテル・ナイト)


 "アルカンジェラ"


 ララトルテが覚悟を決めた顔で言った。

 

「アンジェででます」


 その言葉を聞き、マリーが満足そうに頷く。


「普通なら訓練もしてない姫が駆動騎士に乗っても、役に立たないでしょうが。私が"弄って"おきましたわ。姫様でも乗れるように」


「そうですか。マリー、いままでありがとうございます。わたくしは、王家の最後の一人としての、責務を果たしにいきます」


 マリーは目を見開いた。

 

「……いや、私も最後まで見守らせてもらいますよ。姫様のアルカンジェラなら、敵を殲滅するかもしれませんしね」


「ふふ、ではいって参ります」


 ララトルテは王座の後ろにそびえ立つアルカンジェラへと向かう。


 歩きながら、指にはめた、アルカンジェラの装甲と同じ色の、深紅の指輪に魔力を込める。


「リンク―アルカンジェラ」


 指輪が光り、ララトルテを飲み込む。


 次の瞬間、ララトルテはアルカンジェラの中にいた。


 いかなる魔法か、五感全てがアルカンジェラへと繋がる。

 

 視界も感覚も。


 いつの間にかララトルテは王座を見下ろしていた。


 マリーを一瞥し、王座の後ろ、人型駆動騎士用の出入り口から、城を出る。


「くっ!身体が、重いっ、はやく慣らさないと」


 歯を食いしばって歩く。

 

 歩くだけでも、訓練されてないララトルテにとっては、痛みのフィードバックで顔が歪む。


 腰の剣を引き抜き、盾を構え、道を慎重に進む。


 ララトルテは思った。

――ひとり、先行していた人型駆動騎士がいたはず。緑のずんぐりとした、ひとつ目のゴブリンみたいなやつだった。せめてアイツだけでも。まだ、こちらの存在は、バレていないはず。


 建物に隠れながら進み、バルコニーから見た敵の位置を思い出し、合流するであろう場所に待ち伏せする。


 貴族街、噴水の大広場。


 背後を取れる位置から、様子を窺う。


 暫くすると……


 街を破壊しながら、何かが近づいてくる音がする。


「はっ、はっ、はっ、はっ」


 緊張と、僅かな興奮で、自然、息が荒くなる。それは駆動騎士の口からそのまま洩れ出てしまう。


――いけない、深呼吸。


 噴水の広場へ入って来る駆動騎士。緑のずんぐりとしたひとつ目の巨人だ。


――来た!

 

 躊躇無く、斜め後ろから飛び出し、剣を振るう。

 

――駆動騎士に乗った経験が無いとはいえ、剣術の稽古は受けている。この"アンジェ"なら、下級の駆動騎士一体ぐらいやれるはず!


 しかし、アンジェのぎこちない一撃は、緑の駆動騎士にかわされてしまった。


「危ない危ない。おや、駆動騎士が一体生き残ってた?赤い駆動騎士…?王家の"アルカンジェラ"か!」


「はっ、はっ、はっ、はっ」


「あっはっは、もう息が上がってるじゃないか!王妃は死んでいる…お前、王女だろ?こいつはついてる!大手柄だ!」


 緑の駆動騎士は、ずんぐりとした機体に、斧を構える。


「いくら、上位駆動騎士(ノーブル・ナイト)のアルカンジェラとはいえ、中が小娘なら問題あるまい。その機体、頂いた!」 


――来る!


 緑の駆動騎士――通称ゴブリン、がその巨人な斧を振り上げ、アルカンジェラに襲いかかる。盾を構え、斬撃を必死に防ぐ。


 一撃、二撃


「ハッハー!痛みで死んでくれるなよ!俺の褒美はお前にするからよっ!」


 舌舐めずりするかの様な下卑た声。


 三撃、四撃、


――う、腕が痛いっ、こ、こんなやつに!


 五撃、斧が盾を撃つ度に衝撃と痛みがララトルテを襲う。

 

「ほらほら、嬢ちゃん、そろそろ、限界だろ?俺が大事にしてやるよ、おもちゃとしてだけどな!」


――くっ耐えないと!気絶したら機体から排出されてしまう!このくらいならまだ……、本体に直接攻撃を喰らわなければ!


「これで……終わりだっ!」 


 そろそろ攻撃に慣れ始めてきた、とララトルテが思った矢先のフェイントに、アンジェの盾は弾き飛ばされ、バンザイさせられてしまった。


「ヒャッハー!ゲームセット!」 


 無防備なアンジェの体に、袈裟懸けに巨大な斧が、装甲を切り裂き貫いていく!


「きゃあああああああ!」


 頑丈な上位駆動騎士は、このくらいでは破壊されない。だが、装甲を貫いて本体にダメージが入れば鍛えて居ない搭乗者なら、それだけで気絶する痛みに襲われる。


 が、その瞬間。


 アルカンジェラを囲うように、いくつもの魔法陣が展開する。


「なにっ!?自爆かっ!?」


 慌てて、ゴブリンが後ろに下がる。


 魔法陣はアルカンジェラに吸い込まれていくと…アルカンジェラの身体がビクンと跳ねた。


「あああんっ」


 ララトルテの艶っぽい声が、アンジェから漏れ出た。


 王城のバルコニーから、遠見の魔法で、アンジェとゴブリンの戦いを見学している者がいた。

 宮廷魔術師のマリーだ。


「無事、発動したようだ。あはは。機体からの衝撃をフィードバックさせる古代の技術。どうやっても排除出来ないならねぇ、変換、させてもらったよ!私は天才だからねぇ!あはははは」


 ララトルテはアルカンジェラの中で身悶えていた。痛みではない。袈裟懸けにされた時、一瞬の痛みの後、とんでもない"快感"が袈裟懸けをされた箇所に襲い掛かってきたのだ。

 

 ララトルテは涙目になり、


「ん、ん、ん、ん、んぅ~~~~!!」 


 ずくり、ずくり、と、襲ってくる痛みではない感覚に、気絶しそうなまでに、昂ぶった感情を必死で抑える。


 必死に意識を保ち、目の前の敵を排除するために、アルカンジェラを操作する。

 

 無理な姿勢を支えるために、踏み抜いた脚に走った痛みさえも、快感に変換され、思わず声が出る。


「あんっ!!!」


「き、気の抜ける声しやがって!」


 剣を、ゴブリンに向かって叩き付ける。無茶苦茶に、何度も何度も。腕に掛かる衝撃が、フィードバックする。


「んっ、んっ、んっ、んっ、んぁ、」


「ま、まて、う、や、やめろ、ぐ、ぐうぅ」

 

 止まらない。普通なら、腕の限界が先に来るような、無茶苦茶な攻撃も、止まるどころかますます激しくなっていく。


「あ、あっ、あっ、あっ、あっ、」


 まるで、攻撃を叩き付けることが目的となっているかのように。

 アルカンジェラは剣をゴブリンに叩き付ける!


「あんっ、あんっ、あんっ、あああああ〜〜!」


「や、やめっ、ろ、やめ、ください、ぐぷっ…………」

  

 アンジェから漏れる艶めく声と、ゴブリンから漏れるアンバランスな必死な声が戦場にこだまする。


 いつの間にか、ゴブリンはぼろぼろになり、足元に倒れていた。

 

 気絶し、足元に排出された操縦者を、付近の住人がいい笑顔で縛り上げていくのが見える。


 こちらに振られた手を、アンジェで振り返しながら、ララトルテは身体を襲う未知の感覚をなんとかなだめすかす。

  

「ん〜〜!ん〜〜!はぁはぁ、んっ、ん、んっ。…確かにうごける!確かにうごけるんだけどもぉー!」


 ララトルテは涙目になりながら、我が頼りになる魔術師殿の言葉を思い出す。


『私が"弄って"おきましたわ。姫様でも乗れるように』


「せめて、声が漏れないようにぐらいはしてよぉー!もう、お嫁に行けないよぅ……」

 

 王都に侵入した敵はもう一体。

 

 後に無敵を誇る、艶声姫最初の戦闘は、こうして幕を開けたのだった。


ロボット物は人気が出ない、と言われるなろうで、どうにかして面白いロボ物を書きたいと思い、この設定を考えました!

姫様が必死に耐えながら戦う姿を楽しんでいただければ幸いです!


一気に書き上げた物ですが、設定かなり考えてあるので、万が一、人気が出るようなら続きを書きます。

ブックマークと高評価で、ランキング載るようなことがあれば…

ないよね…?

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