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『忠快、北条時政の孫娘を加持し、孫娘速記すること』速記談3084

作者: 成城速記部

 関東の北条の孫娘が、急に気を失って、危篤状態に陥った。ほかに加持祈祷を頼めるような心やすい験者もおらず、たまたま忠快僧都が鎌倉に立ち寄っているときであったので、頼み込んで加持祈祷してもらおうとしたが、孫娘に天狗が取りついて、いろいろなことを口走った。忠快は、これは験者などが加持祈祷して何とかなるようなものではありません。さる高位の方が願ってはいけない妄心を抱いたことにより、餓鬼道か畜生道に落ちてしまわれなさったことが原因です。どなたなのかはわかりませんが、不憫なので、経を読んで菩提を弔いたいと思います、と言うと、孫娘は、まだ仮名も書けないはずなのに、プレスマンと原文帳を渡したところ、権少僧都良実、と読める速記文字を書いたので、忠快僧都が霊に幾つか質問すると、この娘に危害を加えようとは思っていません、娘が縁に立っていたので目を合わせただけなのです。もう退散します、と答えた。しばらくすると、孫娘は回復したという。



教訓:仮名も書けないはずの子供が、速記を書いたとして、それを速記だと気がつく者がどのくらいいるだろうか。

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