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難攻不落の子爵令嬢シリーズ

格差を乗り越えて!花摘みが紡ぐ愛【前編】

作者: 真央幸枝

お読み頂きありがとうございます!

楽しんで頂けたら、幸いです。

ヒソヒソヒソ・・・。


女子生徒たちの蔑視の念のこもった声が、マリアンの耳に届いた。

彼女らの視線を辿れば、王立高等学園の緑眩しい中庭で、王太子殿下と宰相令息と騎士団長令息が4人の令嬢たちを傍らに置き、肩や腰を抱いて談笑しているのが見えた。

王太子に至っては、両脇に令嬢を据えてベンチに座り、腰を引き寄せている。ハーレムでも気取っているつもりだろうか。

マリアンの婚約者である宰相令息は王太子の前に立ち、女子生徒の肩を抱いていた。あの令嬢は男爵令嬢だったか。宰相令息にしなだれかかっている。


マリアンはため息をついた。宰相令息は学園に入学してからというものの、いつもこの調子である。博愛主義などと言えば聞こえは良いが、単に見境がないだけだ。


マリアンは一度、やんわりと、


「ご令嬢に気安くお触れにならない方がよろしいのでは?」


と注意を促したところ、宰相令息は、


「なんだい。さも正論を言ってます、みたいな口ぶり。本当は嫉妬しているだけのくせに。君も僕に触れて欲しいんだろう?」


などと横柄なことを言って、マリアンに触れてきそうだったので、マリアンは思わず後ずさった。宰相令息は片方の眉を上げると、


「君は本当に可愛げがない。まぁいい。簡単にすり寄ってくる下位令嬢よりは、淑女としてのマナーがなっているからな。僕が引き立つよう上品に振る舞い、僕が順調に出世できるよう勉学と社交に励むように」


そう言ってさっさと行ってしまった。


・・・これ以上、婚約を続けるのは無理だわ。


マリアンとて、由緒正しい侯爵家のご令嬢。こんな風に蔑ろにされて、大人しく微笑んでいるだけのお人形ではない。

婚約者も侯爵家ではあるが、マリアンの家の方が歴史はずっと古いのだ。



だが父の侯爵に婚約の解消を訴えてみると、にべもなくあしらわれた。


「お前のわがままで婚約解消はできん。大体、侯爵令嬢たるもの、毅然とした態度でいられなくてどうする。浮気のひとつやふたつ放っておけ。どうしても不満があるのなら、お前がしっかり令息の手綱を握るんだな」


分かっている。これは政略結婚。

でもこれからの長い人生、息を、感情を殺すように生きていかなくてはならないのか。


それに、マリアンは下位貴族令嬢が好きではなかった。

高位貴族男性には無邪気な奔放さを装いつつ、あからさまにゴマをすり、媚びへつらう一方、高位令嬢に対しては、過剰な敵対心や嫉妬心を抱く。知性も品性も欠けた女性たち。全ての令嬢がそうだとは言わないが、少なくとも婚約者のいる男子生徒にすり寄る女子生徒たちは、マリアンにとって不快でしかなかった。


それが、である。


先日、ダイニングホールで、ある子爵令嬢が伯爵令息をこっぴどく振ったと思ったら、今朝は廊下で騎士団長令息に向かって、奇妙な伸びる棒を突き差して、言い負かしている姿を見た。


『毎日毎日、低位貴族令嬢に声を掛けて、貴殿方は婚約者様に対しては、不誠実と思われないのですか』


胸がすく思いがした。マリアンがずっと言いたかった言葉。こういう風に考えてくれる令嬢もいるのか。


フェルナンデ子爵家のセターレ嬢。


実は彼女のことは小さい頃から知っている。

王都で出版される季刊誌などに、度々登場する有名な子どもだったからだ。

実際、彼女が学園に入学してくるのを心待ちにしていた生徒は多かっただろう。だが、あまり学園にはやって来ないし、登園しても勉強ばかりで、生徒たちと積極的に交流することはないようだ。しかも婚約者はいないのに、男子生徒たちの恋の告白に微塵もなびかないカタブツぶり。


どうしようもなくセターレ嬢と話をしてみたくなった。その時、パァン!!と大きな破裂音が響き渡り、生徒たちが悲鳴を上げながら逃げ出したので、マリアンもその場から離れるしかなかった。


その後、セターレを探してみたものの、子爵領へ帰ってしまった後だった。

子爵領までは馬車で4時間以上は掛かる。

もうすぐお昼になろうとする頃、マリアンは決心した。一度、屋敷に戻り、侍女と護衛と共に子爵領へ向かうことを。


「幸い、お父様は不在。今夜は叔母様の侯爵家に泊めさせていただきましょう」


家令に無理を言って、王都と子爵領の中継地点に在住している親戚筋に突然の訪問と、一泊の寝食をお願いする文を早馬で先出ししてもらう。


そうしてマリアンは護衛3人と専属侍女を連れて、アポイントなしで子爵邸へ向かうことにした。


人生初、17歳の大冒険である。



☆彡



フェルナンデ子爵領は、王都より北に、ほぼ直線上にある。

この王国にとって、王都より北部は、一部北側を除いて地方扱い、いわゆる『田舎』だ。

王都より東西南部がハイソサエティーとされている。

特に王宮をぐるりとU字で囲む一部地域が高位貴族のセレブ領だ。

マリアンも王都より北部は行ったことがなかった。


「・・・のどかですね」


王都を抜けて北上するにつれ、田園風景が広がり、暗に田舎だと、バカにするような口ぶりで侍女が言った。


「・・・・・・」


マリアンは無言で外を眺めている。麦や野菜、家畜を育てている王国民や、それを取り仕切る貴族がいるから、ハイソな貴族の絢爛優雅な生活が成り立っているのだが。

残念なことに、高位貴族やその取り巻きは、王都で王国の全てが回っていて、他は付属品(オマケ)だと思っている輩が一定数いる。

北部の貴族や国民は、王都民から正直、見下されていた。


それなのに、である。


フェルナンデ子爵領に入った途端、様子が一変した。

まず領境が綺麗なレンガ壁で区切られている。

しかも子どもの字だろうか、


『ようこそフェルナンデ子爵領へ!by わらびっこ』


などと、意味不明な看板がかかっている。

こんな領境は、王国内にないとは言わないが、あまり例がない。


おまけに領地に入ると、カフェなどが入った大きな案内所があり、警備隊や領民だろうか、歓迎の挨拶を受けた。


「侯爵家のマリアン様、皆様。ようこそフェルナンデ子爵領へいらっしゃいました」


「え!どうして、私たちのことが?」


侍女が驚きの表情を見せると、子爵領の民たちが微笑んだ。


「セターレ様の教えのひとつが『情報を制する者が世界を制する』ですから。なお、今回のご訪問は、マリアン様の私的なものと伺っておりますので、本日は『マリアン様』とお呼びさせて頂きますね」


可愛らしくも機能的な制服を着て、キビキビ動く女性たちを、マリアンは馬車の中からじっと見つめた。

案内嬢や警備隊たちと言葉を交わしたマリアンの護衛は感心したように息を漏らす。


「このように領境を『おもてなし』で管理していたら、領内への立ち入りが監視、統制できるという算段なんですね」


それに驚くべきは、子爵領地の馬車道だ。

広い上に、全くでこぼこしておらず、きれいに整地されているので、馬車が揺れることがない。


十分な道幅に、歩行者のための専用レーンまである。

道の脇には花壇も設置されていて、しかも管理者のサイン入りメッセージなどもあったりする。


『マリーゴールドの季節になりました♪ by わらびの民・アン』


家屋は一般的なレンガ造り。だが他所とは何かが違う。ごちゃごちゃした様子がなく、色彩も周りの風景にマッチしている。しかも計算されたように家が並んでいるのだ。


この家並みには、侍女も絶句していた。


田舎なのに、田舎じゃない。王国のどこよりも整備整理された丁寧な領地。


領内に入ってから、さらに速度を落として、ゆったり動く馬車の脇を、凄いスピードで何かが過ぎて行き、同乗していた護衛がヒュッ!と喉を鳴らした。


「な、何ですか!?」


侍女の軽い悲鳴に護衛が言った。


「今、細い板に乗った青年が、馬車を追い越して行きました」


「・・・板?」


侍女とマリアンが視線を合わせた。何のことだろう。

・・・とんでもない所へ来たのかも知れない。

マリアン達は無言になった。


それでもフェルナンデ子爵邸へ着く間、一瞬でも目が離せなかった。オシャレな店舗。大きな工場。麦畑。野草や野菜畑。家畜がゆったり草を喰む牧草地。注目すべきは点在している運動場やガーデン。


領民たちが運動したり、のんびり休息したり、談笑したりしている。子どもたちが走り回っている姿には、ほっこりした。


侍女ももう『田舎』だなんて馬鹿にできなくなっていた。

いや、地理的には田舎なのだろうが『洗練された領地』という表現がピッタリなのである。



☆彡



フェルナンデ子爵邸は通常の低位貴族に比べて、広めの敷地に構えてあった。本邸の他にいくつかの建物が敷地内にあり、門の近くの立派な二階建て建物には、たくさんの人々が出入りしていた。


門衛らがマリアンたちの馬車や、前後を走っていた護衛の馬たちを誘導する。


「侯爵家のマリアン様。ようこそ子爵邸へいらっしゃいました」


「・・・さっきから人々が出入りしているあそこは何ですか?」


マリアンの護衛も気になっていたのだろう。門衛に尋ねた。


「あちらは子爵ご夫妻やエブラハム様、セターレ様が領民たちと会議や歓談をされたり、商談や執務をされたりするオフィスやサロンが入った商業施設『アワーわらび』でございます」


「・・・・・・」


「考え方はそれぞれでしょうが、セターレ様に限っては、公私を完全に分けるお方です。それに領主が散漫にならない目的もあり、領民たちにも開かれた子爵邸作りを目指しておられます。教えのひとつが『世のため、ひとのため、自分の幸せのために学び、働く』です」


でた。フェルナンデ子爵領の教え。

マリアンの護衛たちが唸っている。


馬車止めに馬車が止まると、オフィスやサロンから、わらわらと人々が出てきた。


「王都からお姫様がいらしたわ」


「王都のお嬢様はお美しいわねぇ」


「お付きの方々もステキだわぁ」


ほどよく距離が取られつつ、突然の訪問にも関わらず、領民たちから歓迎を受け、マリアンたちの自尊心が最大限にくすぐられる。

子爵邸の執事からエスコートを受け、マリアンは馬車から降り立った。ローズガーデンから、バラの良い香りが風に乗ってきた。


「では本邸へどうぞ」


執事や子爵邸の侍女たちに誘導されて、本邸に足を踏み入れると、エブラハムがエントランスホールでひとりで待っていた。

深緑色のジレ姿。髪型は王都ではあまりみないヘアスタイルで、トップがふんわりした顎下までの栗色の緩いクセ。明るめの茶色の瞳に、マリアンはひと目で射抜かれ、雷を受けたように身体中に電気が走り、そして・・・失神した。


「お嬢様!」


「マリアン様!」


挨拶さえできずに意識が遠くなる中、エブラハムの自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。


でも意識を失っていたのは、一瞬だったようだ。

マリアンの護衛にお姫様抱っこされて、応接間に入る時には、意識が戻っていた。


なんだ、エブラハムに抱かれているのではないのか。

内心ガッカリしたのはナイショである。


「・・・大丈夫ですか?」


エブラハムが心配そうに尋ねてきた。マリアンの心拍数が途端に跳ね上がり、頬が赤くなる。


「・・・お恥ずかしいところをお見せして失礼いたしました。子爵領の素晴らしさに当てられたようですわ」


マリアンはチラチラとエブラハムの茶色の瞳を見つつ、お互いに遅い自己紹介を終えた後、


「・・・あの、子爵領のあちこちに掲げられている

『わらびっこ』ってなんでしょうか?『ワラビ』が名産ですの?」


子爵領のメイン出入り口や、ガーデンや馬車道などで散々目にした看板について尋ねる。

エブラハムはマリアンの質問に苦笑しつつ、


「よく聞かれるんですよ。確かにワラビを育ててはいますが、名産というほどの特産物ではありません。

私の妹、セターレは生まれた時から不思議な子でしてね。

フェルナンデ子爵領なのに『ここは蕨市(わらびし) だ!』と、ずっと意味不明なことを言っていたので、いつの間にか、フェルナンデ子爵領は別名『わらび』となったんです。

だから子爵領で育った子どもたちを『わらびっこ』と呼んでいるのです」


「そうなのですの・・・」


マリアンは頷いた。よく意味は分からないが、愛称ということなのだろう。


「それにしても子爵領は無駄がない上、美しいし、良い香りがいっぱいで素晴らしいですね」


侍女が勝手に喋り出す。側に控えた護衛たち3人も、うんうん頷いている。エブラハムと話したくて、たまらないのだろう。マリアンは好きにさせることにした。


「ありがとうございます。セターレの願いを周りの人間が聞いている内に、こうなったんですよ」


エブラハムが答える。


「セターレ様が・・・」


「マリアン様とは今、同じ学園にいますよね」


マリアンの呟きにエブラハムが頷き、言った。


「まぁ、『学園はつまらない、わらびで働いている方が楽しい』と言ってあまり通ってはいませんが。

せっかく王都の出版社の社長夫妻のお屋敷で居候させて貰えているのに」


「そうなのですね・・・」


確かに王都の出版社の社長夫妻の屋敷は、学園から馬車で1時間も掛からない一等地にある。


「『社長夫妻の住む田園調布(でんえんちょうふ)は、お上品すぎて退屈だ、しかも臭いし』とヘンな言い訳をして、すぐに子爵領へ帰って来てしまうんです」


「まぁ・・・」


王国全土にトイレが完備されたとは言え、人口密度の高い王都が、少々臭うのは否めないところではある。

しかし、デ・エン・チョーフとは、なんのことだろうか。

セターレという女性は、ますますもって不思議な人である。その辺の低位貴族令嬢とは、ケタ違いの変わり者だ。王都、しかも中央に憧れを抱かない貴族令嬢だなんて。


「あの・・・そのセターレ様は今どちらに?」


マリアンがおずおずと聞いた。


「今ちょうど、公園で新しい乗り物の試乗会を護衛たちや、わらびっこたちと行っているところです。ご興味があれば、見に行かれませんか?」


エブラハムの提案に乗って、徒歩で10分ほどの公園に来て驚いた。こんな公園は見たことがない。


広い園内は、乗馬場を始め、運動遊戯場と、憩いのガーデンに分かれていた。

運動遊戯場には、壁登りができる巨大な壁や、登り棒や渡り棒などがズラリと並んでいて、老若男女が鍛錬や運動ができるようになっている。木から木へロープで渡る遊具の前には、長蛇の列ができていた。


『心身の健康が一番!by わらびっこ』


などと看板が掲げられている。


その一画に、厚みのある板や平らな石の傾斜があちこちに作られ、木製の障害物が点在するグラウンドがあった。

そこにセターレが乗馬服のような装いで、小さな車輪が4個ついた細い板に乗って、護衛たちや領民たちときゃあきゃあ騒いでいた。


「さっきの板だ!」


マリアンの護衛が興奮している。

小さな車輪のついた細板は、ハンドルのついたものと、ハンドルのついてないものがあった。

小さな子どもたちや、女の子たちはハンドルつきの板、セターレや運動神経の良さそうな子どもや大人たちは、ハンドルのない板に乗って傾斜を滑ったり、障害物を飛んだりと恐ろしいことをしている。


「・・・あれはなんという乗り物ですか?」


護衛がウズウズとエブラハムに尋ねた。


「最近、開発し始めた『キック・で・ボード』という遊具です」


「・・・乗ってみたいのですが・・・!」


マリアンは苦笑いを浮かべる。完全に護衛たちはこの運動遊戯場に浮かれていた。先程の壁にも登りたそうだったし。


「もちろん良いですが、乗馬服を着て防備して下さいね。転んで頭や身体を打ったら大変ですから。

まぁ、セターレに言わせると『多少のケガを恐れて、新しい経験や体験をしないのはもったいない』ですが。

子爵領は、外科医療も発達してますから、そこは安心して良いですよ」


妙な励ましを受けて、護衛3人が喜び勇んで、更衣室で着替えた後に、試乗会に飛び入り参加する。すると見たことのないはしゃぎっぷりで、キック・で・ボードを乗りこなしていた。


「マリアン様の護衛殿は素晴らしい運動神経の持ち主ですね」


エブラハムの笑顔に、マリアンのお腹の辺りがキュンと疼いた。こんな感覚は生まれて初めてである。


キック・で・ボードの試乗会が終わると、セターレたちとマリアンの護衛たちは壁登りをしようと盛り上がっていたので、マリアンとエブラハムと侍女はフラワーガーデンに移動することにした。


フラワーガーデンでは初夏の花々が咲き乱れていて、

ご婦人たちや老夫婦、若いカップルたちがベンチやガゼボに座って、お茶をしていた。

侍女が紅茶を運んで来ると言って、ガーデン内に設営されているカフェスタンド『ガーデンカフェ・わらわらび』に向かう。


シロツメクサのガーデンでは、小さな男の子と女の子が座りこんで、王子さま、お姫様ごっこをして、作った花かんむりを交換し合ったりしていた。


「・・・なんて可愛いらしいの」


マリアンの頬を涙が伝った。エブラハムがマリアンの突然の涙にギョッとする。


「マリアン様!どうされましたか?」


「・・・羨ましいのです」


マリアンは言った。


「・・・子爵領へ入ってから、ずっと羨ましいと思っていました。子爵領の民たち、しかも女性たちが活き活きとしていて。子どもたちも楽しそうで。年配者たちは幸せそうで。

子爵領は・・・『わらび』には、安全と幸福と自由があって・・・素晴らしいですわ。『世のため、人のため、自分の幸せのために学び、働く』その姿勢が・・・」


「・・・マリアン様」


エブラハムは侯爵家令嬢としてのマリアンの立場を慮ったのか、黙ったままガーデンに座ると、シロツメクサを摘み出した。そして器用な手つきで、子ども達が作っているような花かんむりを作り、出来上がると、立ち上がって、マリアンの頭にそっと置いた。


「美しく聡明なマリアン様の幸多からんことを。クローバーの花言葉は『幸福』ですから・・・」


マリアンは思わず、エブラハムに抱きついた。エブラハムはマリアンの頭の上で、腕をバンザイするような格好で固まる。


「わたくし・・・今日、『わらび』に来て、本当に良かったですわ」


紅茶のカップを乗せたトレイを持った侍女が、少し離れたところで静かに見守っていた。

誤字脱字報告、ありがとうございます!

当面の間、感想フォームは閉じさせて頂きます。

m(_ _)m

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