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このまま何も起こらず卒業ですか?

 ついにゲームの最終段階ともいえる卒業パーティがやってくる。

 入学式のあった講堂が会場となっていて卒業生が一堂に集まる手筈となっていた。

 入場までは待機ということで差し迫る時間を待つのみ。

 さすがに最後の日まで別室という訳にはいかず、1組の教室に戻る。

 久しぶりの教室は実に和気あいあいとしていて疎外感。

 以前はAとBというように対立していたのに何だか一体感があるような。

 ピリピリとした雰囲気もなく、とっても穏やかで平和そうな空間。

 本来、悪役令嬢がアイリを孤立させていて攻略対象者が味方についてるような直面のはず。

 けど、別の意味で仲間外れっぽい空気を感じる、ほんわかしたムード。

 呆然と入り口で立ち尽くす私に気付いたBグループの令嬢たちが取り囲んであっという間に輪の中へ!

 この状況はおかしすぎる。みんな仲良し、手を取り合って楽しく、なんて。

 嫌がらせは何処、悪役令嬢、どこ行ったぁぁぁぁぁ?

 そう思って未だかつて拝見したことのない悪役令嬢を探し求める。

 憶えている限りの認識は縦ロールの髪を靡かせ、ケバケバした意地悪そうな顔立ちでいかにも悪役ですという感じだったはず。

 うん、信じられないことに見渡した限りでは教室内にそんな令嬢は存在しないよね。

 代わりにさらっさらのブロンドを靡かせた釣り目だけど上品な顔立ちの見たことのない美少女が目に映る。

 あれってもしかして?

 私を囲んだ一人にそれとなく訊いてみればアナベル公爵令嬢だと。間違いない。名前からしても悪役令嬢のはず。

 なのに、なのに全くそんな素振りもない。ましてや気品のある淑女の鏡といえる貴族令嬢のオーラが。

 その時、ガン見する私とがっつり目が合った。


「まあ、これで1組の皆様が揃いましたわね。皆さま全員が無事に卒業できるなんて嬉しいですわ!」


 教室の中央で眩しく微笑むアナベル。拍手する周囲。暖かな空気が舞い広がる。

 よく見ればそんな彼女のそばに侍っている攻略対象者たちの姿!!!

 婚約者であるエリン王子を始め、カミル、レオナルド、そしてカイルまで!?

 明らかに対象者たちは令嬢を慕っているのが丸わかりでその光景はハーレムエンドに近い。

 てか、アナベルの立ち位置、ヒロインそのものじゃん!

 は? ナニコレ、どういうこと?

 


「この良き日に無事卒業を迎えることとなり……」


 しれっと壇上に立つ私は会場内の出席者に全注目を浴びながら答辞を述べている。

 高度な光魔法を習得し、優秀な成績を修めたとして何故かいろんな人を差し置いて私が総代を務めることになってしまっていた。

 この挨拶が終わった後は式が終了し、パーティーという流れを組む。

 そしてそれこそ悪役令嬢を断罪する場となるクライマックス展開!

 なのに、なのにさぁ、パーティー会場の中心にはアナベルを囲む攻略対象者全員の姿!

 それも5人攻略しないと開始にならないエクストラのカイルまで懐柔されちゃてるし!

 もう断罪卒業パーティーはいずこ? 攻略どうなった?

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