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ヒロインチートでがんばります!

「ここで魔法石に魔力を込めることは禁止だ」


 書庫内のカウンターに魔法石が入った箱を運んでいるとライリー殿下がスッと取り上げた。

 あれから数カ月経ち、書架整理も終わり、書庫番として暇を持て余す日々。

 綺麗に整頓された棚は今ではどこに何があるのか一目瞭然。

 といっても魔法が掛かっているのは変わりなく、禁書庫としての状態はもっと強化された。

 ただ見つけやすく貸し出しがスムーズになったのは確かで便利になり利用者は増えたけど。

 

「全く君は目が離せなくて困るな」


 一度ここで魔力を枯渇させてしまった経験のある私はことある毎にチェックが入る。

 ちなみに気安くということで今まで通り接して欲しいと要望もされている。


「あの、今更なのですがどうして私はライリーさまのことが見えたのでしょうか?」


「おそらくだが君は高度な光魔法を習得しているだろう。私はその反対で闇魔法を習得している。互いの適性を相殺していたのかもしれない。誰に気付かれることもなく、このまま一生を過ごすと思っていたのに君には驚かされた。なのに周囲は君の能力を見誤った扱いした挙句、君自身も無理をしているのに気づかず淡々と働いていた。私が口を出してしまったらエリンの立場を脅かすかもしれないと見守っていたのだが……。本当に君は……」


 うう、そうだよね。ブラック慣れしてたこの身体は熟していけばいくほど感覚が鈍ってた。

 さっさと終わらせてここに来ることでストレス解消していたのもあるし、無理をしてたのかもしれない。

 確かにただでさえ魔力を吸い取られるこの場所で高度な魔法を使えばヤバいわ!

 とはいえ、書庫番をしながらあの部署で縮小して割り当てられた書類を片すだけの仕事は簡単すぎる。

 今までがハードモードだったし、この数カ月であっさり熟せてしまってたから、つい。


「あ、でもこうやってライリーさまがお声掛けしてくれるので時間を持て余さずに助かりますよ。来訪者はない時はないですしね。ただ仕事量が以前より少なすぎて余力が有り余っている状況といいますか」


「だったらいい提案があるのだが……」


「何でしょうか?」


「書庫番をしながら私の仕事を手伝ってほしい」


「ライリーさまの、お仕事を?」


 確か魔法の研究してたんだよね? だからあんなに禁書を読んでいたらしいし。


「私ができることならお手伝いしますが……」


「そうか、では私と婚姻を結んでほしい」


「は?」


「私と共に過ごすことで時間を持て余すことは無くなるし、君は油断すると無理をする傾向がある。かといって君を閉じ込めるつもりもない。私が降格することで王宮勤めをしながら継承に巻き込まれることなく、これからもずっとアナベルとも会うことができる。君にとってもメリットがあるだろう」


「え?」


「私は日の目を見ずに朽ち果てるつもりだったのだが、君と出会ってから欲が出てしまった。何より私にとって君の存在はかけがえのないもののようだ。君が眠り続けたひと月は気が気でなかった。一方的な申し出とは思うが了承してもらえないだろうか」


 ライリー殿下はその場で膝をつくと私の手を取った。突然の王子様感で身体が火照る。


「ユナ、君を愛している。生涯を共にしてほしい」


 青い瞳に見つめられ、突如心臓がバクバクしだす。仕事尽くしで生きてきた人間にとって頭の中はパンク状態。

 前世でもこんな経験はない。仕事以外で誰かに求められるなんて。


「いえ、あの、その……」


 これは乙女ゲームではない。人生という名の選択肢が私自身に委ねられている。


「お、お返事は、もう少し、こ、攻略させていただいた後ということで!」


 私にとって好感のある相手。だから攻略という言葉で誤魔化した恋愛はこれからなんだと思う。

 おそらく攻略されてしまうのは私の方なんだろうけども。

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