番外編 昔話
昔々、あるところに一人の勇者がいました。
その勇者は、異世界、「にほん」というところから来たと言いました。
勇者はとても強く、みんなを困らせる悪い魔物をやっつけてくれました。
人々は、彼にとてつもない感謝と尊敬の念を送り、彼を英雄として祀り上げました。
異世界から勇者が来て、長い年月が経ちました。
この世界で十分に力をつけた勇者は、ついに魔王に勝負を挑みました。
勇者は一生懸命、戦いました。
いくら血を吐いても、彼は止まりませんでした。
どんな攻撃を食らっても、一心不乱に剣を振るい続けました。
三日三晩戦い続けた勇者と魔王。
結果は、・・・・・・。
勇者は負けました。
そして、殺されてしまいました。
ですが、彼が魔王に与えたダメージは大きく、魔王はしばらく動きを見せませんでした。
人間は、深く絶望しました。
人間の中で最も強い勇者が負けてしまったのですから、一体誰があの魔王を倒せるとでしょう?
人々は何も出来ずに、ただただ時間が流れていきました。
ある日突然、誰かが言いました。
「魔王を倒せるのは、勇者様のお子様ではないか。勇者様がいた世界に助けを求めれば、あの魔王を倒せるのではないか」
人間は密かな希望を胸に、彼がいた世界に助けを求めて、冒険者を送りました。
人々は、魔王がいつ動くか分からない恐怖に怯えながらも、心にある希望の光を今も絶やさずに抱き続けています。
いつか、勇者がやってくるその日まで、人々は諦めることはないのです。
正義は必ず勝つ。
勇者様がいた世界に冒険者を送ってから、さらに長い時間が経ちました。
魔物という悪を倒してくれる勇者は、本当に来てくれるのでしょうか?
人々は、今日も王神ゼウス様に祈り続けています。
彼に、英雄と名乗った勇者に、心からのご冥福と、神の祝福が訪れんことを。
早く助けに来てください。
勇者の末裔様。
作者 グノーシス=セント