表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/12

第ニ話 リベンジ開始!のつもりです

第2話 神様?なにそれ美味しいの?


がむしゃらに走って、城の外に出た俺。

時々、衛兵に見つかって捕まりそうになったが、何故か逃げ切れた。俺、そんなに足は速くないんだけどなぁ。

外は、・・・・・・以外に文明国であったようで、タワマンや、電車、車、バイクがあった。

・・・結構、文明が進んでいる世界に飛ばされたようで良かった。

でも、これからどうしよう。なにをしよう。

金は・・・ビタ一文なし。武器や、装備・・・無い。制服と、シャーペン(使いかけ)のみ。

ほんとになにもないじゃん。勇者として呼ばれたんだから、好待遇で受け入れろよ。

うーむ・・・せめて、この体がどうにかなればな。

俺がそう思った瞬間。

シュー、という音を立てながら、俺の体から煙が噴き出し始めた。

「な、なんだ、なんだ?なにがどうした?」

訳が分からず、混乱に陥る。

しかし、そうやって混乱に陥っている時も、異変は続く。

体から煙が出続け、しばらく経ったときには、

「?なんか、やけに体が軽いなぁ」

変な感覚、体が軽く感じる、があったので、近くにあった水溜りを覗き込む。

そこに写った俺は、・・・・・・痩せていた。

いや、俺なのかどうかも怪しい。

俺は、こんなに美青年じゃない。

「・・・・・・うん?」

そうか、これは夢だ。悪い夢だ。

さっき受けた恥辱は、夢の一巻なんだ。

そう思い、頬を思いっきりつねる。

「痛い痛い痛い!夢じゃねーのかよ!何なんだよ!」

「夢じゃないのに、思いっきり頬をつねるなんて、馬鹿な人だねぇ」

突然、話しかけられた。

声が聞こえた方向を見る。

そこには、銀髪、青と紫のオッドアイ、黒紫がかった服を着た、女性がいた。

「・・・誰だ、あんた。初対面の人に、馬鹿とか言われたくないんだが」

俺は今、不機嫌なので、少しキレ気味で答える。

「失礼な人ねぇ。せっかく、神である私、『ハデス』さんが目の前に出てきてあげたというのに」

・・・え?今、こいつなんて言った?自分のことを『ハデス』だ、って言ってたよな。

確か、『ハデス』って、・・・・・・魔物が崇める神様の名前じゃなかったっけ。

「まあ、いいわ。私は、あなたのスキルである、k・・・むぐぅっ・・・!」

俺が、考えを深めているときに、急に自己紹介を始めたので、急いで口を塞いだ。

もし、あのクソ司祭グノーシスのことが言っていた、魔物達が信仰している、『ハデス』なのだとしたら。

・・・ここで自己紹介されるのは色々とまずい。

いいところはないか、なにか人目につかない場所は・・・・・・あそこだ!

近くにあった路地裏に、ハデスと名乗る女性の手を引き、入った。

「ちょっと。こんなところに連れ込んで、私に何するつもり?」

「別に、あんたの体が目当てじゃないんだよ。それで、もう一度言ってくれ。お前は、冥界の王、神である『ハデス』なのか?」

とても重要なことなので、もう一度しっかり聞く。

「だーかーらー。そうだってさっき言ったでしょ。それで合ってるわよ。私は、この世界の冥界を担当している神が一柱、『冥界王ハデス』よ。」

・・・本当のことらしい。あと、こいつは、『この世界』、というキーワードを強調していた。

・・・・・・、『この世界』・・・、だと?世界によって、神は違うのか?

つまり、ここは完全な別世界という訳ではなく、平行世界、パラレルワールドなのか?

・・・いや、まだそういう判断はしない方がいいな。判断材料が少ない、足りない。

「それが本当のことだとして、なぜ、お前は俺の前に現れた?」

思考を本題に戻す。こいつはなぜ、俺の前に現れたのか。なんの用があるのか。

まさか、・・・いきなり、俺が邪魔者だから殺しに来た、・・・とかはないよな。

「本当のことだとして、じゃなくて、本当のことよ!そして・・・、ああ、そのことね。私は、あなたが入手したスキルである、『隔絶』の管理者、そして、あなたのスキルとして、この世に降りたの」

は?俺のスキルとして?

だって、俺のスキルは無いんじゃ・・・。

いや、待て。あのクソ司祭が見落としていただけの可能性もある。

だとしたら・・・。

俺は、メニューを表示して、ステータスのスキル欄を確認する。

俺のスキル欄には、二つのスキルが書かれていた。

あった。なんだよ、あるんじゃん。

まず一つ目、「隔絶」。

どういう効果を持っているのだろうか?

                  

そして二つ目。   ハデス

・・・ホンマや。「冥界王」と書かれている。

これによって、こいつの話に信用性が持てた。

こいつが言ってることは本当だな。

「・・・なるほど。お前の言ってることは本当のことみたいだから、信じよう。それで?その他になにかあるのか?」

「うーん・・・、あとは特にないわね。あと残っていることといえば、スキルについての説明くらいかな?」

む。それは、結構重要性が高い。

このスキルの性能によって、戦闘スタイルを変えなくてはいけなくなる。

剣士、弓使い、クルセイダー、魔法使い、僧侶、重戦士。

どれに適正があるのか。少し、いやとても楽しみである。

「じゃあ、早速頼む。スキルについての説明をしてくれ」

「オーケー。じゃあ始めるわよ。あなたが入手した『隔絶』は、言うなれば、事象改変の力なの。相手、もしくは自分に影響している現象、理論、理屈に『自分の理論、理屈』を割り込みさせて、『隔』てることによって、元の理論の干渉を『絶』つ能力なのよ。例を挙げると、相手のスキルの対象から外れたり、そもそも相手のスキルを無かった事にしたりできるの。自分に使えば、状態異常を無効にしたり、ステータスを多少操作できたりするわ。でも、このスキルには、リミッターが付いているの。このリミッターは、レベルが上がることによって、少しずつ外されていくわ」

ほう、なかなか・・・、いや、めちゃくちゃ強いじゃないか。

事象改変だろ、最強だ。

これはあたりを引いたな。

「でもね、ここからが注意点なんだけど。隔絶は、解除したら元の状態に戻っちゃうから、状態異常を隔絶したら、その状態異常を治せるようにしておかなくちゃだめなのよ。あと、心身の疲労と、生命の消耗が代償だからね・・・」

「おわっ!風が!」

いきなり強風が吹いてきてよろめく。

風ってこんなに強かったっけ?

後半がよく聞き取れなかった。

それはそうと。やはり、デメリットがあるんだな。後半はよく聞こえなかったが、『隔絶』という能力は一時的なものであり、解除されたときに、元の状態に戻っちゃうから要注意、か。なるほどな。

「そして、『冥界王』。これは、私のこと。私を召喚したり、私をあなたの精神の中に入れたりできるの。あと、あなたの『隔絶』を監督、管理させてもらうわ」

・・・はっきりいうと、『お荷物スキル』、というものではないのか?それは。

「『そんなもの、いらないだろ』、って思ったでしょ。でもね、あなたのスキルの力は、私のような神が、監督、管理しなくちゃいけないくらいに、強力なのよ。・・・分かった?」

「・・・まあ、自分のスキルが強すぎる、ということは分かった」

『隔絶』かぁ。・・・もしかして。

「あのさ、俺の外見が変わったのは、その『隔絶』の力のせい?」

「そうよ。それだけじゃなくて、勇者ランキングとかいう変なやつから抜けてたのも、スキル欄にスキルが表示されてなかったのも、君が逃げているときに急に足が速くなったのも、ぜーんぶ『隔絶』の力よ」

え?マジで?

もしかしてだけど、俺がそうイメージしたから、隔絶が反応したのか?

まあいいや。少し良くない展開になりはしたが、勇者という義務から外れたと思うとだいぶ気が楽になる。

でもなぁ。勇者という義務から外れたということは、良い待遇をされる機会を逃した、ということになるんだよな。

この世界の美味しい食べ物。しばらくグッバイ!後で迎えに行くから待っててくれ。

「で、これからどうするの?」

「わからん」

なんにも決まってない。勇者の義務の邪魔をしてもよし。前世(前にいた世界)の、復讐をしてもよし。

・・・復讐か。でも、復讐に費やせるほどの余裕があるわけでもないし。

今は、生活するための金と、ある程度戦えるほどの装備が必要だ。

「待っていろよ、勇者供!その鼻っ柱へし折って、地面に叩き伏させてやる!!」

漫画の悪役みたいなセリフを空に向かって叫んだ俺のセカンドライフが始まろうとしていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ