第九話
ドゴオオオォォォ!、という音とともに、俺の放った上級魔法『サンブレイクノヴァ』が流めがけて炸裂した。
・・・死んでないよな?
俺、この若さで殺人犯になりたくないよ。
流が死んでないことを天に祈っていると。
「HPが0になりました。現在、HPを1で強制的に止めています。とどめを刺しますか?」という文字が、 「YES」・「NO」の選択肢とともに、俺の視界に現れた。
良かったぁ〜。死んでなかった。
即、「NO」を選ぶ。
すると、周りを覆っていた結界が、上の方から徐々に解けていった。
それだけではなく、ハデスが俺の中に入ったように、光の粒子が集まり、抉れていた地面が全て元に戻った。
俺の目の前には傷だらけで、地面に倒れ伏していた流の姿がある。
ロンギヌスで、つんつんと突いてみる。
「うっ・・・・・・」
微かにだが、息はある。つまり生きている。
「おい、ハデス」
「(ん?なーに?)」
「流に回復魔法を掛けてやってくれよ」
「オッケー!」
「うわぁっ!急に、しかも目の前で実体化するなよ!びっくりしちまうだろうが!」
流のことは、ハデスに任せておくとして・・・。
さて、俺は賭け金をもらうとしますかね。
こいつの全財産は俺のものだ。
こいつのものは、俺のもの。俺のものも、俺のもの。
「ハッハッハッハッハッハッハッハッハ!」
思わず高笑いがこみ上げてきた。
「何笑ってるの?キッモ!」
「そんな事を言っていいのかね?勇者ランキング1位に勝ったんだ。今の俺は、無敵!ヒヒヒヒヒ!」
「・・・・・・気持ち悪いんですけど」
地味に傷つくのでその目で見るのやめていただけませんか。
待つこと、5分程。
流は、ハデスから回復魔法を掛けてもらい、全回復して、ぴんぴんしていた。
対する俺は、
「なんで、賭け金が俺に入ってこねーんだよぉ!?」
賭け金が入ってこないことに腹を立てていた。
「おいおい。この世界のシステムは、不良品か?」
この世界を創った奴に、異議を申し立てる!
「え?僕は、賭け金なんて賭けてないよ」
な、なに!?
急いで、決闘についてのヘルプを読む。
なになに?
決闘に賭け金を賭ける場合は、賭け金を決めた後に、右下に表示されている決定ボタンを
押してください。賭け金を決める時間は、・・・10秒間・・・です・・・・・・。
・・・・・・。
「あああああああああああああああああああ!やっちまったぁーーーーー!」
決定ボタンを押さずに、制限時間を迎えちまったー!
な、なんてことだ。
お、俺の、セカンドライフ建設計画が台無しだ。
「それにしても、君、そんなに強かったんだね。どうだい?世の中の人々を救うために、僕達と一緒に、悪を倒さないか?」
この爆弾発言は、俺に堪忍袋の緒を切らせた。