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三時限目『解答と解説、評定②』

 目を覚ますと、机を挟んで反対側には倉富が、僕の横には小宮が座っていた。

 僕が目覚めて直ぐに小宮も目を覚ました。

 

 倉富を見た小宮の目は大きく見開き、何かを喋ろうと口を開くが、その前に倉富が書類を僕達の前に出した。それは恐らくだが、学食で書いていたものだった。

 僕と小宮の名前、それに点数が書いてある。


 

 成る程、そういうことだったのか。


 

 小宮も驚いて空いた口が塞がらないようだ。


「大体君達は学校生活から乱れていたんですよ」

 ピー、と機械音が鳴る。倉富先生は立ち上がり、食器洗浄機を開けると食器を棚に直し始めた。棚には広いスペースがあるにも関わらず、わざわざ奥へとコップをしまっていく。

 先生は奥にしまいたい癖でもあったのだろうか。僕は思考を巡らせる。一通り食器を棚に戻すと、白い手拭いを取り出して額の汗を拭いた。


「それに気持ちが昂ったり落ち込んだりして冷静さを失い、チャンスを逃してはいけませんね。これから鍛錬し直しましょう」

 小宮からの尾行を撒いた時に見た可愛い犬が粉の入った瓶を加えて先生の元へやってきた。先生はそれを手に取ると、食器とは別の棚を開けて水玉模様のカラフルな封筒の横にそっと置いた。

 講義を全部聞いておくべきだった。もしかしたらそれは消しゴムか何かの代わりにも使える優れものだったんだろうか。


「うちも大変なんですからね。他の同業者を出し抜くために殺し屋や後処理だけじゃなくて同業殺しのチームまで作って。評価する側はたまったもんじゃ……」

インターホンが鳴った。

 先生が出ると、店長さんともう一人、男が立っていた。男は店長さんと同い年くらいに見える。

「どうでしたか、うちの教え子達は」

店長さんが尋ねる。

「やっぱりまだまだです。光るものはあるのですが、不真面目ですね。私が二人とも指導し直しましょう」



 倉富先生は僕たちに向き直り、最後に念を押した。

「殺し方に流儀があったり、身近に潜んでいても気づかれない才能があるのは素晴らしいですが、まだまだプロ意識が足りません。そのためにも、もっと視野を広く持ちましょう。今回は見ての通り『不可』です。次は落とさない様に頑張って下さいね?」


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